更新日:2021年10月22日
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(厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班「化学物質過敏症~思いのほか身近な環境問題」パンフレットより引用)
化学物質過敏症は過敏と言う名が示すように、ごく少量の物質にでも過敏に反応する点ではアレルギー疾患に似ています。最初にある程度の量の物質に曝露されると、アレルギー疾患でいう“感作”と同じ様な状態となり、二度目に同じ物質に少量でも曝露されると過敏症状を来します。時には最初に曝露された物質と二度目に曝露された物質が異なる場合もあり、これは多種化学物質過敏症と呼ばれます。さらに化学物質過敏症はこのようなアレルギー疾患様の性格だけでなく、低濃度の化学物質に反復曝露されていると体内に蓄積し慢性的な症状を来すという中毒性疾患に近い性格も兼ね備えています。化学物質過敏症は未解明の部分が多い疾患ですが、このようにアレルギー性と中毒性の両方に跨る疾患、あるいはアレルギー反応と急性・慢性中毒の症状が複雑に絡み合っている疾患であると考えています。
頭痛、全身倦怠感、不眠、便秘、動悸など、特徴のない症状が多いようです。
このほかにも、めまい、発汗異常、視力障害、下痢、筋肉痛、皮膚炎、喘息など主症状は様々あるようです。
このため、化学物質過敏症は診断が難しい疾患と言えます。
原則的にはアレルギー性疾患同様、その患者さんにとって合わない物であれば何でも原因物質になる可能性があり、世の中の物質すべてといっても過言ではありません。
例を挙げれば、洗剤、漂白剤、芳香剤、ダニ、ちり、動物の毛、防ダニグッズ、防菌グッズ、建材、接着剤、ホルマリン、シロアリ駆除剤、殺虫剤、除草剤、排気ガス、ディーゼル粉塵、花粉、大気汚染物質などのほか、食品添加物や残留農薬なども原因となり得ます。
化学物質過敏症の予防と治療には、接触する原因物質の量をできるだけ少なくすることが必要とされています。
皆さんの近くにも、化学物質過敏症の症状で苦しんでいる方がいらっしゃるかもしれません。
洗剤や芳香剤など、日常的に接する生活物資に含まれる化学物質が原因となって、頭痛や倦怠感、喘息などの症状を誘発することもあります。
公共の場など多くの方が集まるところでの使用に当たっては、化学物質過敏症という疾患があることをご理解いただき、ご配慮くださるようお願いします。
「その香り困っている人がいるかも?」(PDF:1,665KB)
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