更新日:2021年6月15日

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6月定例会(令和3年6月15日)

 県議会6月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

はじめに、東京2020オリンピック聖火リレーについて申し上げます。

 今月6日と7日の2日間、「Hope Lights Our Way/希望の道を、つなごう。」のコンセプトのもと、県内で57年ぶりに聖火リレーが行われました。
最大限の感染防止対策を講じたうえで、総勢185名のランナーがそれぞれの想いを胸に県内18市町を走行し、聖火をつなぎました。
 また、聖火の到着を祝うセレブレーションは無観客での開催となりましたが、インターネットでのライブ中継を独自に行い、多くの方々に御覧いただいたところです。
山形の地で大切につながれた聖火が、開催地の東京に無事届き、オリンピックで活躍するアスリートたちの姿を通して、世界中の人々に希望や勇気を与えてくれることを期待しております。

次に、本県出身のオリンピック・パラリンピック日本代表内定選手について申し上げます。

 現在、オリンピックにつきましては、ボクシング競技の岡澤セオン選手、アーチェリー競技の中村美樹選手、そして水球競技の鈴木透生選手、三浦里佳子選手の4名が日本代表に内定しており、今後も追加の代表内定が期待されるところであります。また、パラリンピックにつきましては、水泳競技の東海林大選手、齋藤元希選手、テコンドー競技の太田渉子選手の3名が日本代表に内定しております。
オリンピック・パラリンピックという檜舞台での本県出身選手の大活躍を県民の皆様とともに心から期待しております。

 

 次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。

経済の動向

はじめに、経済の動向について申し上げます。

 我が国の経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にある中、持ち直しの動きが続いているものの、飲食業、宿泊業等において弱さが増しております。
 本県経済についてみますと、雇用情勢につきましては、一部で弱い動きが続いておりますが、製造業の回復などにより有効求人倍率が1.2倍を超えるなど、総じてみれば緩やかに改善しており、鉱工業生産につきましても、一服感がみられるものの持ち直しの動きが続いております。個人消費につきましては、食料品や日用品、家電などの消費が堅調に推移し、新車登録台数も回復傾向にあるなど、着実に持ち直しております。
 一方で、新型コロナの影響により、宿泊・旅行業、飲食業、旅客運送業及びこれらの関連産業においては、厳しい状況が続いております。
 以上、本県経済の現状につきましては、全体としては持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナの影響により、依然、厳しい状況に置かれている分野があります。
 県としましては、こうした現状を踏まえ、製造業や個人消費の着実な持ち直しによるプラス効果を、厳しい状況にある分野へと十分に波及させ、官民が一丸となって県経済の好循環を作り上げていくことが重要と考えております。

農作物の生育状況

次に、農作物の生育状況について申し上げます。

 4月の中旬から下旬にかけて県内全域で強い降霜があり、さくらんぼを中心とする果樹に、大規模な凍霜害が発生いたしました。
 さくらんぼでは、村山・置賜地域において、雌しべの枯死被害が発生し、主力品種の「佐藤錦」は2割から6割程度、「紅秀峰」は4割から8割程度の被害となっております。りんごでは、村山・置賜地域で中心花の雌しべの枯死被害が、柿では庄内地域の一部で新芽の枯死被害が、ぶどうでは、村山・置賜地域の一部で「デラウェア」を中心に新芽の枯死被害が発生したところです。
 5月25日に実施したさくらんぼ作柄調査の結果では、今年産の収穫量が9,500トンと予想され、平年比で3割以上の収量減が見込まれております。他の果樹についても、今後結実の状況を調査し、実態の把握に努めてまいります。
 また、5月初旬及び下旬に最上・庄内地域において降雹による被害が発生いたしました。最上地域では、収穫中のにらやアスパラガス等の野菜、庄内地域では柿、日本なし、りんご等で果実の打撲や茎葉の損傷が発生しました。6月1日の時点で、2億円を超える被害が報告されております。
 これら凍霜害・雹害につきまして、先月末には、JAグループ山形と意見交換を行い、深刻な被害の実情を直接お聞きしたところです。
 こうした被害状況を踏まえ、県では6月2日、営農継続に向けた無利子融資に加え、凍霜害・雹害を受けた果樹・野菜等に必要な肥料・農薬等についての支援、さらには、今後の被害を防ぐための農業用ハウスの新設や散水氷結法の導入など施設整備を総合的に支援する「凍霜害・雹害緊急対策パッケージ」を発動いたしました。
 こうした対策を、市町村やJA等の関係機関・団体としっかり連携し、一体的・重層的に講じることにより、被災された農家の方々が引き続き意欲を持って営農にあたられるよう、全力で支援してまいります。
 他の農作物の生育状況につきましては、水稲では「つや姫」「雪若丸」をはじめ苗の生育も良く、田植え作業が順調に進んだことから、全般的に大変良好なほか、7月中旬から出荷期を迎える露地栽培のすいかやメロンにつきましても、病害虫の発生が少なく、順調な生育となっております。今後も、生育状況の的確な把握に努め、気象変動にも迅速に対応しながら、引き続き適切な栽培指導を行ってまいります。

当面の県政課題

次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、新型コロナへの対応等について申し上げます。

(国内外及び県内の感染状況等)

 新型コロナの感染者は、全世界で1億7千万人を超えました。欧米などではワクチン接種が順調に進み、経済活動の再開の動きが本格化しているところもありますが、感染拡大が続いている地域もあるなど、未だ新型コロナの収束は見通せない状況が続いております。

 国内では、新規感染者数が横ばいあるいは減少傾向となる地域がある一方、10都道府県に緊急事態宣言が発出され、5県にまん延防止等重点措置が適用されております。また、変異株では、N501Y変異株よりも感染力が強いとされるインド由来の変異株の感染が各地で確認されており、予断を許さない状況が続いております。

 県内では、県と山形市が共同で発出していた独自の緊急事態宣言を、感染状況が落ち着きつつあったことから4月25日をもって解除したところです。しかしながら、4月下旬には鶴岡市内の高等学校で大規模なクラスターが発生したことを受け、4月26日から5月12日まで、市民の皆様に不要不急の外出自粛を要請するとともに、学校の部活動の一部制限を求める、県と鶴岡市による合同要請を行いました。また、5月中旬には山形市内の高等学校や飲食店において複数のクラスターが発生したことから、5月20日に私と医療関係者が一緒に、県民の皆様に向けて会食時や部活動などでの感染防止対策の徹底を呼び掛ける、緊急メッセージを発出いたしました。さらに、5月下旬には南陽市において飲食店でのクラスターなどによる感染者の急増を受け、5月22日から6月10日まで、県と南陽市とで合同要請を行い、市民の皆様に不要不急の外出自粛を要請するとともに、市独自に行った飲食店に対する営業時間短縮要請では協力金の半分について県も負担するなど、県内の感染拡大の封じ込めに取り組んでまいりました。
 また、感染力が強く、重症化リスクが高いと言われるN501Y変異株が相次いで確認されており、県内でも従来株からの置き換わりが相当進んでおります。現在、237床の新型コロナ専用病床を確保しておりますが、今後とも、変異株の増加による感染拡大や、重症者の増加に対応できるよう、県全域で更なる病床の確保を進め、県民に必要な医療が提供できるよう対応してまいります。

 

(新型コロナワクチン接種)

 次に、新型コロナワクチン接種の状況について申し上げます。
新型コロナ克服の要となるワクチン接種につきましては、65歳以上の方への接種について7月末までに接種を完了させるとの政府方針が示されており、県内市町村ではその達成に向けて精力的に取り組んでいるところです。
昨日6月14日時点の65歳以上の方の接種状況は、1回目接種済が約13.6万人、高齢者人口の割合にして38.0%、2回目接種済が約2.5万人、7.1%となっております。
 県内市町村、そして接種に御協力をいただいている医療従事者及び関係者の皆様方の御尽力に深く感謝申し上げます。
 県としましては、ワクチンの入荷等、政府の動きを的確に把握するとともに、各市町村が抱える課題にも耳を傾けながら、市町村の接種事業が円滑に進むよう、総合的に支援してまいります。
 また、県民の命と健康を守るため、ひいては、県内経済の早期の回復につながるよう、県内のワクチン接種を更に加速させる必要があることから、県が設置主体となる「大規模接種事業」を実施することとし、現在、更なる検討・準備を進めております。

 

(山形県新型コロナ対策認証制度)

 次に、山形県新型コロナ対策認証制度の取組状況について申し上げます。
 県内外の方々が安心して飲食や宿泊ができる環境を整備するため、飲食店や宿泊事業者が実施する感染防止対策について県が認証する「山形県新型コロナ対策認証制度」を創設し、4月26日から運用を開始いたしました。
 県で定めた新型コロナ対策認証基準に沿った感染対策を講じている事業者に対し、認証ステッカーを交付するとともに、県ホームページなどで認証店リストを公表しております。
 6月11日までに、1,659件の申請を受け、そのうち1,012件の施設確認を行い、326件を認証しております。
 今後、より一層、制度周知に努め、数多くの飲食店や宿泊事業者の認証取得を促進するとともに、多くの事業者の方々から申請をいただいておりますので、県職員に民間事業者を加え、施設確認の体制を強化・充実することにより、認証業務を加速してまいります。
 

(経済活動の持続と回復に向けた取組み)

 次に、経済活動の持続と回復に向けた取組みについて申し上げます。
 全国的な感染状況が予断を許さない状況にあり、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が期間延長される中、その実施区域外である本県においても、飲食店や納入業者、生産者、観光業者、交通事業者など幅広い業種の事業者が深刻な影響を受け続けております。
 このような状況を踏まえ、政府に対し、私から全国知事会を通して、厳しい経営状況にある事業者の事業継続・雇用維持を図るため、業種や企業規模なども勘案した新たな持続化給付金を創設するとともに、緊急事態宣言等の実施区域を除き段階的に縮減される雇用調整助成金の特例措置について、全国一律に適用するよう、強く要請しているところであります。
 また、消費喚起策として、「山形県プレミアム付きクーポン券」の追加配布につきましては、感染の状況に十分に注意しながら、6月5日から取扱店舗での販売を開始したところであり、併せて、利用期限を9月30日まで延長することといたしました。これにより、落ち込んだ消費活動の喚起と、地域の景気浮揚につなげてまいりたいと考えております。
 なお、農林水産省のGoToEatキャンペーンの食事券の取扱いにつきましては、現在、政府と県内事業者において利用期限の延長についての協議が行われていると聞いております。
 観光関係につきましては、今月から、県内での宿泊・日帰り旅行代金の割引や、旅行期間中に土産物屋等で利用できるクーポンの発行を行う「県民泊まってお出かけキャンペーン~やまがた夏旅~」を開始いたしました。
 このキャンペーンの展開にあたりましては、さくらんぼや夏の観光シーズンに向け、観光果樹園やリフト・ロープウェイを新たに対象施設に加えるなど、一層の利用促進を図ってまいります。
農林水産関係につきましては、新型コロナの影響により、業務用米を中心に米の消費の減少が続いている状況にあります。農業者の皆様からは、これから出来秋を迎える3年産米の概算金の下落や、4年産米の作付けの減少につながることを懸念する声が寄せられております。

 このため県としましては、政府に対し、新型コロナの影響による全国的な米の需要減に対応するため、海外への支援米などによる市場隔離や、主食用米から飼料用米などに用途転換するため価格差を補てんする産地交付金の増額などについて、国策として積極的に取り組むよう、あらゆる機会をとらえて要望するとともに、県独自の消費拡大対策を、JAグループ山形と共同して行ってまいります。
 今後も、県内中小企業・小規模事業者の事業継続と雇用維持、さらには、農業者の営農継続に取り組むとともに、県内の感染状況等を踏まえながら、消費活動の喚起による地域経済の回復に向けて全力を挙げてまいります。

 県としましては、県民の皆様の命と生活を守るため、引き続き、ワクチンの円滑な接種に向けた取組みを進めるとともに、安心して社会経済活動ができる環境づくりを進め、地域経済の再生を図ってまいります。
 今後とも、県議会の皆様はじめ、県民の皆様、事業者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、全力でこの難局を乗り越えてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

次に、工業技術センター内に整備した発酵試作支援センターの開設について申し上げます。

 県内企業による新たな発酵食品の開発を促進するため、その拠点として発酵試作支援センターを整備し、5月24日から業務を開始いたしました。
 これにより、発酵食品や日本酒、ワインの実用規模での試験製造をはじめ、発酵の要となる有用な微生物の迅速な選抜など、よりスピーディーで効率的な商品開発が期待されます。
 今後は、センターの利用拡大を進め、県内各地域に存在する乳酸菌や農産物など地域資源を利用した高付加価値商品の開発を促進しながら、県内企業の技術力の一層の高度化、さらには地域経済の活性化につなげてまいります。

議案の概要

次に、このたび御審議いただきます議案の概要について御説明申し上げます。

 提案いたしました議案は、令和3年度山形県一般会計補正予算(第3号)など、18件であります。

まず、一般会計補正予算について申し上げます。

 今回の補正予算は、新型コロナの感染拡大防止の対応や地域経済・県民生活への支援とともに、喫緊の課題に対応するために編成したものであります。

 まず、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のうち事業者支援分を活用した事業者支援としまして、売上減少により経営が困難となっている事業者の事業継続を支援するため給付金を幅広い業種に支給するほか、政府の雇用調整助成金の特例措置の縮減を受けて県単上乗せ助成を拡充するなどの支援を実施いたします。
 次に、地域経済活性化への対応としまして、「県民泊まってお出かけキャンペーン」を「やまがた四季旅」として四季折々のキャンペーンを展開いたします。また、宿泊事業者が行うポストコロナに向けた設備投資や感染防止対策を支援するとともに、「山形県プレミアム付きクーポン券」第2弾を実施するほか、業務用米の需要が減少して厳しい販売状況となっている「はえぬき」の緊急消費拡大対策などに取り組んでまいります。
 次に、県民生活への支援としまして、新型コロナの影響を受けて休業や失業等により収入が減少した方を支援するため、生活福祉資金の特例貸付の貸付原資を追加するとともに、貸付限度額に達しているなど特例貸付を利用できない生活困窮世帯に対し、政府において新たに創設された「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金(仮称)」を支給するなど、様々な支援を追加いたします。
 次に、感染拡大防止への対応としまして、大規模クラスターが発生した場合にPCR検査を民間検査委託するための経費や保健師等外部専門職を保健所業務等に活用するための経費などを計上いたします。また、「山形県新型コロナ対策認証制度」の認証に当たり再調査件数が見込みより多い現状にあることから、認証業務の体制を充実・強化いたします。
その他、喫緊の課題への対応としまして、今冬の大雪等により被災した農業用ハウスの再建・修繕等に取り組む農業の担い手を市町村と連携して支援するなど、支援を追加いたします。

 この結果、今回の一般会計補正予算総額は、100億5,300万円となり、今年度の累計予算額は、6,950億5,900万円となります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

 山形県過疎地域の持続的発展の支援に関する県税課税免除条例の設定につきましては、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の制定に伴い、過疎地域の持続的発展の支援について税制上寄与するためのもの、山形県県税条例等の一部を改正する条例の設定につきましては、地方税法等の一部改正に伴い、自動車税の種別割の税率の特例措置の適用対象を見直すとともに、法人等の県民税の法人税割の税率の特例措置の適用期限を延長する等のためのものであります。
 山形県公安委員会委員の任命、山形県人事委員会委員の選任並びに山形県収用委員会委員及び予備委員の任命につきましては、委員の任期満了等に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

 

 

 以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

 

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