更新日:2021年12月2日

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12月定例会(令和3年12月2日)

 県議会12月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

はじめに、本県出身選手の国際舞台での活躍について申し上げます。

 先般、セルビアのベオグラードで開催されました第21回世界ボクシング選手権大会において、本県出身の岡澤セオン選手が、日本人選手初となる悲願の金メダルを獲得されました。
 世界選手権という最高峰の舞台で、岡澤選手が成し遂げた偉業は、すべての県民に元気と感動を与え、山形の子どもたちに夢と希望をもたらしてくれたものと思います。
 県では、岡澤選手の輝かしい活躍に対しまして、その栄誉をたたえ、山形県スポーツ大賞を授与することを決定いたしました。
 岡澤選手の今後の更なる御活躍を心より期待しております。

次に、スタートアップステーションの開設について申し上げます。

 去る11月18日、本県の起業・創業支援の拠点となる「スタートアップステーション・ジョージ山形」がオープンしました。
 この施設には、起業に関する総合相談窓口のほか、個人での仕事や利用者同士の打ち合わせにも活用できるコワーキングスペースを設置しております。
 設置場所である霞城セントラルは山形県の玄関口である山形駅に直結しており、県内で起業を考えている方のほか、山形を訪れた県外のビジネスパーソンなど、様々な方々が利用しやすい場所となっております。
 また、この施設に設置しているコワーキングスペースは、県内12か所のコワーキングスペースをオンラインで常時つないだネットワークの中核としての機能を有しており、県内のみならず全国、そして全世界とつながる場への発展も大いに期待しております。
 この施設を活用し、小中学生向けのデザイン思考ワークショップや夜間創業相談の実施等によりスタートアップを促進するとともに、オンラインセミナーの開催等による利用者同士の交流を促進することにより、新たなビジネスが次々と生み出され、地域経済の活性化につながるようしっかりと取り組んでまいります。

 次に、経済の動向及び当面の県政課題について、御説明申し上げます。

【経済の動向】

はじめに、経済の動向について申し上げます。

 我が国の経済につきましては、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、持ち直しの動きに引き続き弱さがみられます。
 本県の状況についてみますと、個人消費につきましては、在宅関連需要の一巡や、海外での新型コロナ感染拡大に伴う部品生産減少の影響等による供給制約のため、家電や自動車などの耐久消費財の動きに足踏み感がみられ、鉱工業生産につきましても、半導体などの部品不足の影響等により、一部に弱い動きがみられます。一方で、宿泊・旅行業、飲食業等においては、厳しい状況が続きながらも、感染者数の減少により人の流れが徐々に戻りつつあり、雇用情勢につきましては、有効求人倍率が増加傾向で推移しているなど改善が続いております。
 以上、本県経済につきましては、全体としては持ち直しの動きが続いているものの、これまで長くコロナ禍の影響を受けてきた宿泊・旅行業、飲食業等の経営環境は依然として厳しい状況にあります。
 本県経済の再生のためには、引き続き消費の喚起や誘客促進に取り組むとともに、ポストコロナを見据えた施策の展開が必要です。地域資源を活かした交流の成果やイノベーションの創出による効果を地域の幅広い産業へと波及させていくなど、中長期的な視点に立った本県経済再生のための取組みをしっかりと進めていくことが重要と考えております。

【当面の県政課題】

 次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、新型コロナへの対応等について申し上げます。

(国内外及び県内の感染状況等)

 新型コロナの感染者は、全世界で2億6千万人を超えました。ワクチン接種が順調に進み、接種を完了している人の割合が7割を超える国もありますが、一方で、ワクチン接種が思うように進まず、新規感染者数、新規死亡者数が再び拡大傾向となる国もあるなど、未だ新型コロナの収束は見通せない状況が続いております。

 国内では、ワクチン接種率の向上などにより、9月30日をもって政府の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が全て解除された後も、全国的に新規感染者数の減少が続き、非常に低い水準となっています。しかしながら、冬季間の気温の低下により屋内での活動が増えることや、年末年始に向け社会経済活動が活発になることなどにより、今後の感染再拡大が懸念されております。また、11月30日には、国内で初めて、新たな変異株であるオミクロン株の感染者が確認されたとの発表がありましたので、オミクロン株による感染の状況について注視してまいります。

 県内では、1日当たりの新規感染者数が、9月26日以降、1桁又はゼロの日が続き、県内の感染の第5波は概ね収束いたしました。これもひとえに、県民の皆様、事業者の皆様が、日々感染防止対策を徹底していただいたおかげと考えております。
 こうした状況を受け、県独自の注意・警戒レベルにつきまして、10月9日に県全体でレベル4「特別警戒」からレベル3「警戒」に引き下げ、さらに、10月26日にはレベル2「注意」に引き下げました。県全体でレベル2「注意」となるのは、昨年11月25日以来11か月ぶりであります。
 このような県内の感染状況や、全国的にも感染状況が落ち着いていること、県内のワクチン接種率が向上していることなどを踏まえ、医療専門家からも御意見を伺ったうえで、現在は、会食において、参加人数や相手、時間などの自粛要請を大幅に緩和しています。また、県外との往来につきましても、移動の際や訪問先での感染防止対策の徹底に努め、「うつさない」「うつらない」行動を徹底していただくこととし、特段の制限は設けておりません。
 一方で、先日、保育施設で新たにクラスターが発生しており、予断を許さない状況が続いておりますので、県民の皆様には、引き続き、日々の感染防止対策の徹底をお願いします。
 医療提供体制の確保につきましては、新型コロナの病床の増床に向け、県医師会の協力を得ながら、地域の自治体病院に病床確保の協力の呼びかけを行っており、市町村と一緒になって病床確保に向けた取組みを進めているところであります。
 また、宿泊療養施設につきましては、10月から、新たに庄内と置賜にそれぞれ1か所を確保したところであります。
 さらに、酸素ステーションの設置につきましては、急激な感染拡大により、直ちに入院先が決まらないほど重点医療機関の確保病床がひっ迫することが見込まれる場合に速やかに設置できるよう、医療機関や医療関係団体との調整を進めてまいります。
 今後、第6波は必ず来るとの緊張感を持ち、引き続き県民、事業者、市町村と一丸となって、感染防止や医療提供体制の確保に努めてまいります。

(新型コロナワクチン接種)

 次に、新型コロナワクチン接種の状況について申し上げます。
 ワクチン接種につきましては、11月28日現在、全世代の接種済割合は、2回目接種済が86万人を超え、県人口に占める割合で81.2%、全国2位と全国上位を維持しております。なお、12歳以上の接種対象人口に占める割合で申し上げますと、1回目接種済90.7%、2回目接種済89.0%となっており、11月中には希望する県民の大方の接種を終えることができたものと考えております。
 また、追加接種、いわゆる3回目接種につきましては、2回目接種を終えてから概ね8か月以上経過した方全員が対象となります。今月から医療従事者等への接種が始まり、年明けには65歳以上の方を皮切りに一般の方への接種が本格化していくものと考えております。
 県としましては、今後とも、市町村や関係団体と十分に連携しながら、追加接種が円滑に進むよう取り組んでまいります。

 

(山形県新型コロナ対策認証制度)

 次に、山形県新型コロナ対策認証制度の取組状況について申し上げます。
 11月30日までに2,797件を認証しており、7月末からの第5波では、認証店における飲食店クラスターの発生はありませんでした。認証制度の導入をきっかけに、事業者の感染防止対策の徹底に加え、利用される方の感染防止対策への意識がより高まったことなどが、飲食店等におけるクラスターの発生を抑制する要因の一つとなっていると考えております。
 また、政府が示した「ワクチン・検査パッケージ」では、第三者認証制度の適用を受けた飲食店は、緊急事態宣言時などにおける利用者の人数制限を緩和することができることとなっており、「第三者認証の取得」が重要な要素になっております。
 県としましては、市町村や関係団体と連携し、できる限り多くの飲食店等の認証取得を促進し、安心して飲食や宿泊ができる環境を整備していくことにより、県内の感染拡大防止と経済活動の両立を、しっかりと支援してまいります。

 

(経済活動の持続と回復に向けた取組み)

 次に、経済活動の持続と回復に向けた取組みについて申し上げます。
 コロナ禍が長引く中、厳しい経営状況にある飲食業や、関連する飲食料品卸売業、運転代行業などの方々の事業継続を支援するため、家賃等の固定経費に対して、法人は40万円、個人事業主は20万円を上限に、支援金を給付する事業を進めております。併せて、飲食店のウィズコロナに対応した事業継続やポストコロナを見据えた新サービスの展開を促進するため、テイクアウトやデリバリーなど、飲食店の前向きな取組みを支援しております。
 雇用の維持につきましては、引き続き、政府の雇用調整助成金の県単上乗せや、相談窓口の開設、申請代行に対する助成を実施しております。また、今年4月以降、新型コロナに起因して解雇・雇止めされた労働者を支援するため、一人当たり5万円の応援金を支給する事業を進めているところです。
 消費喚起策としては、外出自粛等の影響を受けている県内の飲食業、小売業、生活関連サービス業などを支援するため実施している「山形県プレミアム付きクーポン券」の第2弾については、11月19日時点で販売が開始されている店舗数が約5,000店舗となっております。
 観光分野につきましては、国の緊急事態宣言等が解除された10月以降、県内の旅館・ホテルの宿泊客は増加傾向にあるものの、依然として厳しい状況が続いています。県では、観光需要の回復のため、「やまがた四季旅」として、これまで約43万人泊分を支援するなど、観光キャンペーンを展開するとともに、ポストコロナを見据えた新たな需要に対応するため、宿泊施設や観光立寄施設等の施設改修や感染拡大防止対策等にかかる経費を助成しております。

 県としましては、県民の皆様の命と生活を守るため、希望する方のワクチンの追加接種の取組みを進めるとともに、県内の感染状況を見極めながら、県内経済の回復にしっかり取り組んでまいります。
 今後とも、県議会の皆様はじめ、県民の皆様、事業者の皆様、市町村と一丸となって、全力でこの難局を乗り越えてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

次に、女性活躍の推進について申し上げます。

 新型コロナの下では、家事・育児・介護等における女性への負担が増加するなど、様々な課題が顕在化しました。また、首都圏の一極集中リスクから地方回帰への関心が高まってきており、若者、特に若い女性の定着回帰につなげるためにも、地方に根強く残る固定的な性別役割分担意識の解消と、ジェンダー平等の実現に向けた取組みを加速させていく必要があります。
 このような中、私が、昨年秋の北海道東北地方知事会議で北海道・東北が一体となった、女性活躍に向けた取組みの必要性について呼びかけたことを契機として、北海道・東北・新潟県で情報交換や取組みに関して議論してまいりました。1道7県における女性の平均賃金や管理職割合は全国平均よりも低いなど、全国に比べて遅れを取っており、若年女性の流出割合が高く、持続可能な社会が維持できなくなる懸念があります。こういった現状を背景に、11月16日に1道7県の知事が一緒に、政策・方針決定過程への女性の参画拡大や固定的な性別役割分担意識の解消等に取り組むことを内容とする「女性活躍推進に向けた北海道・東北地方・新潟県知事共同宣言」を発出いたしました。
 さらに、同日に開催された北海道東北地方知事会議において、女性活躍の前進に向けて、連携して取り組んでいくことを改めて確認したところです。
 県としましては、誰もが幸せに暮らし働ける社会の実現を目指して、自治体、企業・団体等組織のリーダーと共にしっかり取組みを進めてまいります。

次に、県産米の状況と対応について申し上げます。

 令和3年産の県産米の作柄につきましては、7月の高温や8月の低温・日照不足など厳しい気象条件の中で、10月25日時点の作況指数は104の「やや良」、10アール当たりの収量は、全国で最も多い626キログラムとなる見込みです。また、一等米比率は、10月末現在で94.1%と、生産者の皆様のたゆみない努力により、収量、品質ともに良好な結果となりました。
 しかしながら、米の需要はコロナ禍の長期化により外食等の業務用米を中心に落ち込み、米価が大幅に下落し、いまだ回復の見通しが立っておりません。米農家は非常に厳しい経営に直面し、将来への不安を募らせております。
 こうした状況を踏まえ、県としては、これまでも全国知事会等の機会を捉えて、政府に対して繰り返し、需給改善に向けた対応や、米農家への給付金制度の創設などを強く求めてきたところです。
 また、本県独自の取組みとして、無利子資金の発動による金融支援や、「はえぬき」を対象とした「山形米ハート贈ろうキャンペーン」をはじめとする緊急消費拡大対策を実施してまいりましたが、これに引き続き、現在、年末の贈答需要期を捉えた「新米贈ろうキャンペーン」を展開しているところです。
 一方、米価回復のためには「需要に応じた米生産」をこれまで以上に推進していく必要があります。令和4年産米の「生産の目安」については、本県産米の需給動向を注視するとともに、生産現場の意見を丁寧にお伺いしながら、慎重に検討を進めているところです。
 今後とも、県産米の需要拡大と農業経営の安定に向け、市町村や農業関係機関・団体等と連携しながらオール山形体制で取り組んでまいります。

次に、高速道路等の整備促進について申し上げます。

 12月11日に、東北中央自動車道の村山本飯田~大石田村山間が開通することとなりました。今回の開通により、東北中央自動車道の全線開通に向け、また一歩着実に前進することとなります。
 この区間を含む東根~尾花沢間については、村山地域と最上地域を結ぶ重要な区間であり、残りの東根北~村山本飯田間も令和4年内に開通する見通しであります。これにより、新庄市から南側が全国的な高速道路のネットワークで結ばれることになります。村山地域のみならず、最上地域、さらには広く沿線地域において、物流や産業・観光の振興、救急医療の充実など、大きなストック効果の発現につなげてまいります。
 今後とも、東北中央自動車道をはじめとする、県内の高規格道路ネットワークの早期完成に向けて、引き続き、事業中区間の整備推進や、未事業化区間の事業着手について、政府等に強く働きかけを行ってまいります。

【議案の概要】

次に、このたび御審議いただきます議案の概要について御説明申し上げます。

 提案いたしました議案は、令和3年度山形県一般会計補正予算(第7号)など、22件であります。

まず、一般会計補正予算について申し上げます。

 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症につきまして追加の対応を実施するとともに、米価下落及び燃油・資材の高騰に対する緊急対策を実施するほか、人事委員会勧告の実施に伴う給与改定や職員の異動等による人件費の補正などを行うものであります。

 まず、新型コロナへの対応としましては、感染拡大の第6波に備えて医療機器等を整備することにより県立病院等における医療提供体制の強化を図るとともに、感染拡大防止のため、年末の帰省者のうち希望者に対して抗原検査キットを配布し、啓発及び注意喚起を行います。また、生活福祉資金の特例貸付期間の延長を踏まえて貸付原資を追加するとともに、地域経済の更なる回復を目指すため、割引対象を全国に拡大した観光キャンペーンを実施いたします。
 次に、米価下落対策としまして、コロナ禍の長期化による米価下落の影響を少しでも緩和し、次期作に向けた営農意欲の維持を図るため、米農家へ給付金を支給いたします。
 次に、燃油・資材高騰対策としまして、商工業振興資金の融資枠を拡大するとともに、農林漁業者に向けましては、生産資材等高騰緊急対策資金を発動いたします。また、施設園芸農業における燃油使用量の削減と経営の安定を図るため、省エネルギー設備の導入を支援するほか、魚箱の値上がりが漁業者の経営を圧迫しているため、魚箱購入費用の一部を助成いたします。
 このほか、人件費の補正などを行うことにより、一般会計補正予算総額は12億3,700万円の増額となり、今年度の累計予算額は7,175億8,100万円となります。
 繰越明許費につきましては、年度内に支出の終わらない見込みのある経費について翌年度に繰り越して使用するため、総額で106億6,362万円余を増額補正するものであります。
 債務負担行為の補正につきましては、工事の早期着工を図るため、いわゆるゼロ県債など19事業で74億3,200万円を計上いたします。
 土地取得事業特別会計など2特別会計及び流域下水道事業会計など5公営企業会計の補正予算につきましては、人件費等を補正するものであります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

 山形県再生可能エネルギーと地域の自然環境、歴史・文化的環境等との調和に関する条例の設定につきましては、再生可能エネルギー発電事業を行おうとする者と県民等との間で合意形成を図るための手続きを定めること等により、再生可能エネルギー発電事業と地域の自然環境、歴史・文化的環境等との調和を確保するためのもの、やまがた緑環境税条例の一部を改正する条例の制定につきましては、従前の取扱いと同様に、5年後を目途として、条例の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、規定について検討を加えることとするためのものであります。
 山形県公共調達評議委員会委員の任命につきましては、委員の辞任に伴い、その後任として提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

 以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

 

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