更新日:2025年9月19日

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9月定例会(令和7年9月19日)

県議会9月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

はじめに、本県出身選手の東京2025デフリンピック日本代表の選出について申し上げます。

11月15日から26日まで開催される東京2025デフリンピックにつきましては、陸上競技の齋藤丞選手、水泳競技の齋藤京香選手、そしてハンドボール競技の大崎英人選手、サッカー競技の齋藤心温選手の4名が日本代表として選出されております。

世界の檜舞台での本県出身選手の活躍を県民の皆様とともに心から期待しております。

次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。

【経済の動向】

はじめに、経済の動向について申し上げます。

我が国の経済につきましては、米国の通商政策等による影響が一部にみられますが、緩やかに回復しております。

本県の状況についてみますと、個人消費につきましては、食料品をはじめとする物価高を背景とした節約志向がみられますが、底堅い動きとなっております。鉱工業生産は、弱含みで推移しておりますが、電子部品・デバイス工業などで堅調な動きがみられます。雇用は、あらゆる産業分野で人手不足が続いており、有効求人倍率は高い水準で推移しております。

このように、本県経済につきましては、緩やかに持ち直しておりますが、弱含みの動きが続いているところです。

今後の先行きにつきましては、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクや、国内における物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響などが懸念されることから、引き続き国内外の情勢や県民生活・企業活動への影響について注視してまいります。

【農作物の生育状況】

次に、農作物の生育状況について申し上げます。

今年は、7月が記録的な高温少雨となり、8月は雨の日があったものの、気温の高い日が続き、一部の農作物に影響がみられております。

水稲につきましては、生育が早まったことから県内各地で例年よりも早めの刈取りを推進しており、作業が本格化しているところです。今年も高品質と良食味を確保するため、適期内の刈取り完了と適正な乾燥調製を徹底してまいります。

果樹につきましては、「シャインマスカット」を始めとするぶどうが収穫期を迎えており、糖度が高く食味の良い果実が出荷されております。りんごや西洋なし、柿などの秋果実につきましては、7月の少雨の影響で全般にやや小玉傾向となっておりますが、高品質な果実を消費者に届けるため技術指導を行っているところです。

また、えだまめ、ねぎなどの秋野菜は、現在、例年どおり収穫作業が進められております。りんどう等の花きにつきましては、高温の影響が一部見られるものの、秋彼岸の需要期に向けて出荷が行われております。

今後とも、高温による農作物の収量及び品質への影響を把握するとともに、適切な管理が行われるよう、引き続き技術指導を徹底してまいります。

なお、令和7年度のさくらんぼの収穫量は、8,500トン程度で、2年連続9,000トンを下回る見通しが示されました。このような状況が続けば、山形県のさくらんぼへの信頼が揺らいでしまうことも懸念されます。

本県がこの先も日本一のさくらんぼ産地であり続けられるよう、今後も、結実確保や高温対策への支援、結実が安定し、高温への対応力の高い品種への転換の促進などに全力で取り組んでまいります。

【当面の県政課題】

次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、ツキノワグマによる被害防止対策の状況等について申し上げます。

県内における今年のクマの目撃件数は、現時点で1,000件を超え、統計を取り始めた平成15年以降では、年間としてすでに過去最多となっております。また、人身被害も、昨日までに6件発生しており、クマによる県民生活への影響がより深刻な状況となっております。

このような状況を踏まえ、県ではクマ出没警報を発令し、ホームページ、SNS等の各種媒体の活用による人身被害防止に向けた注意喚起を行うとともに、地域が行う藪の刈払いや不要果樹の伐採に対して補助を行うなど、出没を抑制する取組みを進めております。

また、クマの出没により住民生活が脅かされる事例が全国的に増加している状況等を踏まえ、鳥獣保護管理法が改正され、この9月から市町村長の判断で人の日常生活圏における緊急銃猟の運用が始まり、建物内に長時間にわたり留まるような、住民生活への影響が大きい事案が発生した場合には、より迅速な解決に向けた対応が可能となったところであります。県としましては、市町村が緊急銃猟に適切に対応できるよう市街地出没マニュアルの改正を支援するなど、円滑な運用に向けた取組みを着実に進めているところであります。

これから出没が増える秋を迎えることから、人身被害防止に向けたより一層の注意喚起や、クマの通り道となる河川の藪の刈払いなど、市街地への出没抑制対策を早急に講じるとともに、緊急銃猟の実施に必要となる資材の購入や、訓練・研修等を行う市町村の支援を強化するなど、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。

次に、山形新幹線米沢トンネル(仮称)の整備について申し上げます。

米沢トンネル(仮称)につきましては、昨年度まで、県とJR東日本が共同で地質調査を実施し、想定しているルートから大幅な計画変更の必要性はないことを確認したところであり、事業化に必要な調査は終了しております。今後の事業化に向けましては、整備スキームについて関係者間で合意する必要があります。

また、政府では、いわゆる「骨太の方針2025」において、「幹線鉄道の高機能化に関する調査や方向性も含めた検討など、更なる取組を進める」との方針を示すなど、幹線鉄道の高機能化を検討する動きがあるところです。

こうした状況を受けて、米沢トンネル(仮称)の早期の事業化を実現するために、整備主体、費用負担、必要な政府の予算・税制・制度等の整備スキームについて、どのような方法が考えられるのか検討を行うため、「山形新幹線米沢トンネル(仮称)整備スキーム検討会議」を設置することといたしました。

今後、第1回検討会議を10月に開催し、今年度内に一定のとりまとめを目指してまいります。

この会議を通して、米沢トンネル(仮称)の整備を実現するために必要な整備スキームについて関係者間で合意した上で、それぞれが必要な取組みを進めていくこととなります。この会議は、米沢トンネル(仮称)の整備に向けて大きな一歩を踏み出すものと考えており、早期の事業化の実現につなげてまいります。

次に、「みちのくウエストライン」の早期実現に向けた取組みについて申し上げます。

日本海側から太平洋側までをつなぐ、みちのくウエストライン「石巻新庄道路・新庄酒田道路」は、物流の大動脈として、また、救急・救命活動や緊急物資の輸送など「命の道」としても極めて重要な道路であります。

現在、新庄酒田道路は約8割が整備済み若しくは整備中となっている一方、残りの2割は事業化されておりません。また、石巻新庄道路については未だ事業化されていないことから、安全面やアクセス性などの課題が残っている状況にあります。

この2つの路線につきましては、これまでも本県と宮城県及び関係団体等による要望活動をそれぞれ行ってまいりましたが、「みちのくウエストライン」全線について、より強力な要望活動を展開するため、この度、私と宮城県村井知事を会長とする「宮城・山形・4団体連合整備促進期成同盟会」を設立いたしました。

7月28日に開催した設立式では、私と村井知事、沿線自治体の首長や関係団体が一堂に会し、早期整備への思いを一つにしたところであり、8月8日には、財務省と国土交通省に対して、事業中区間の早期完成と、未事業化区間の早期事業着手など、みちのくウエストラインの早期整備に向けて要望活動を行ったところであります。

県としましては、引き続き政府等に強く働きかけるなど、高規格道路ネットワークの早期形成に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

次に、やまがたフルーツ150周年の取組みについて申し上げます。

今年は、本県でさくらんぼや西洋なしなどの果樹栽培が始まってから150年の記念すべき節目、「やまがたフルーツ150周年」となることから、県内外へ県産フルーツの魅力を積極的に発信するとともに、観光誘客の促進や多様な産業との連携などに取り組んでまいりました。

8月9日、10日には、山形ビッグウイングにおいて、「やまがたフルーツEXPO」を開催し、約2万人の方々にご来場いただきました。最先端のスマート農業技術の展示・実演、旬のフルーツや加工品の販売、料理教室やワークショップといった体験型のプログラムの開催などにより、フルーツが持つ多彩な魅力に、楽しみながら触れていただけたものと考えております。

また、これから秋を迎え、ぶどう、日本なし、西洋なし、柿、りんごなどがおいしい季節を迎えます。

秋のフルーツにつきましても、都内でのマルシェ出店や料理イベントの開催、市町村や民間企業が行うイベント等への支援、SNSを活用した情報発信などにより、引き続き、やまがたフルーツファンの拡大と関係人口・交流人口の創出を目指すとともに、その盛り上がりを本県果樹産業の振興につなげてまいります。

次に、国際交流の拡大に向けた取組みについて申し上げます。
(台湾でのトップセールスの実施)

7月14日から19日までの6日間、台湾を訪問し、教育旅行を含めた観光誘客の促進、県産品の認知度向上と輸出促進に向けて、トップセールスを行ってまいりました。

観光誘客の促進につきましては、台湾観光庁や台湾観光協会を訪問し、本県と台湾の相互交流について意見交換を行ったほか、旅行会社や航空会社に対して、旅行商品の造成やチャーター便の運航に向けた働きかけを行ってきたところです。県内関係者の皆様の継続的な営業活動の成果もあり、中華航空からは、11月に台北・桃園空港と庄内空港との間で、2往復4便の相互チャーター便を運航することに加え、冬季においても、本県空港へのチャーター便の運航を前向きに検討するとのお話をいただいたところです。

加えて、台湾の教育交流連盟との間で、新たに教育交流に関する覚書を締結したところであり、今後、生徒や教員の交流、教育旅行の拡大に努めてまいります。

また、県産品の認知度向上と輸出促進につきましては、台北市のホテルや台中市のスーパーマーケットにおいて、県産フルーツや県産酒などのプロモーションを実施してまいりました。特に、台北市のホテルでは「山形フェアin台湾台北」のオープニングイベントとして、本県の魅力をPRするセミナーと観光、県産酒の商談会を行ったことに加え、訪問後から1か月間にわたり庄内砂丘メロンを使用したアフタヌーンティーセットや県産酒飲み比べセットを販売いただき、大変好評であったと聞いております。

さらに、宜蘭大学の陳威戎学長など6名に「やまがた特命観光・つや姫大使」を委嘱したところであり、今後、本県の魅力発信に強力なお力添えをいただけるものと考えております。

県としましては、このたびの訪問を生かし、イン・アウトバウンドの拡大や県産品の輸出拡大、さらには人的交流や教育旅行など、台湾とのさらなる交流拡大に向けて、取組みを進めてまいります。

(モンゴル国訪問)

さらに、9月2日から5日までの4日間、山形大学及び経済団体の代表、企業関係者とともに、モンゴル国のウランバートル市を訪問してまいりました。

モンゴル国は、国民の平均年齢が28.4歳と若く、大学進学率も高い状況にあり、留学や海外での就労を希望する人も多いことから、大きな可能性があると考えております。また、近年、経済成長が著しく、訪問時も活気を感じてまいりました。

今回の訪問では、新モンゴル学園とのこれまでの交流を更に深めるべく、同学園と山形県、山形大学の三者で生徒・学生の交流促進等を通して人材育成等に取り組むことを目的とする協力覚書を締結してまいりました。

本県が、留学生の受入拡大等に関して、海外の教育機関と協力覚書を締結したのは、今回が初めてとなります。

新モンゴル学園は、日本語教育に力を入れており、多くの学生が日本へ留学していることから、今回の協力覚書の締結を契機として、本県への留学生の増加につながることを期待しているところです。

また、今年夏に県内企業で行われたモンゴルの大学生によるインターンシップの報告会を現地で開催いたしました。

今回のモンゴル訪問を足掛かりとして、モンゴルの優秀な若者と本県産業界の交流が進み、本県の産業を担う人材として就職・定着していただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

さらに、モンゴル観光協会や現地旅行会社を訪問し、本県の観光資源をPRし、意見交換を行うとともに、新モンゴル学園のトゴス理事長など6名の方々に「やまがた特命観光・つや姫大使」を委嘱してまいりました。今後、本県の魅力発信にお力添えをいただけるものと考えております。

加えて、戦後80年の節目にあたり、抑留により現地で亡くなられた県内関係者を、遺族会の皆様の思いも込めて、県民を代表して慰霊してまいりました。

このたびのモンゴル国訪問を契機に、モンゴルからの留学生や高度人材の受入拡大に向けた取組みを加速させるとともに、この度の訪問で得られたネットワークを活かし、経済交流・観光交流の拡大につなげてまいります。

次に、令和8年度県政運営の基本的考え方について申し上げます。

本県においては、少子高齢化を伴う人口減少が続いており、あらゆる分野で人手不足が深刻化するなど、県民生活や地域経済に様々な影響を及ぼしております。

こうした中、若者・女性をはじめ多様な人材を惹きつけ、持続可能な山形県を実現するためには、県民の暮らしの質を高め、多様な活躍・自己実現につなげるウェルビーイングの向上と、県内経済の持続的な成長による県民所得の向上が重要となります。併せて、これら県民の暮らしと経済活動の基盤となる安全・安心を確保していく必要があります。

こうした考え方のもと、来年度の予算編成や組織機構等の検討に先立ち、このたび「令和8年度県政運営の基本的考え方」の案をお示しいたしました。

具体的には、まず1つ目として、優れた自然環境など、本県ならではの豊かさを土台に、デジタルも活用しながら、暮らしの満足度を高めていくとともに、性別や年齢等にかかわらず、誰もがいきいきと活躍できる環境を整備していくことで、県民が将来に明るい希望を持って、快適に楽しく住み続けることのできる県づくりを進めてまいります。

次に2つ目として、社会経済情勢の変化をチャンスと捉え、地域に蓄積されてきた知識・技術と外部の人材や資本の掛け合わせにより高付加価値な製品・サービスの創出を促進するとともに、AI・デジタルの活用により業務の効率化・高度化にも取り組んでまいります。

さらには3つ目として、防災対策や気候変動対策の強化、医療提供体制の整備などにより、くらしの安全・安心を確保してまいります。

今後、この案につきまして、県民の皆様、県議会の皆様から広く御意見をいただき、それらを十分に踏まえたうえで「令和8年度県政運営の基本的考え方」を策定し、来年度の予算編成等に臨んでまいります。

【議案の概要】

次に、このたび御審議いただく議案の概要について御説明申し上げます。

提案いたしました議案は、令和7年度山形県一般会計補正予算(第3号)など、33件であります。

まず、一般会計補正予算案について申し上げます。

今回の補正予算案は、山形新幹線の長期にわたる大規模な運休に伴い影響を受けた観光業への支援のほか、人口減少対策の強化や県民の命と暮らしを守る安全・安心の確保の取組みをより一層推進するとともに、本県が抱える様々な課題に対応するため編成したものであります。

はじめに、山形新幹線の運休に伴い影響を受けた観光業への支援としまして、県内の宿泊施設を対象とした宿泊割引クーポンを発行し、本県への観光誘客を図る宿泊需要喚起キャンペーンを展開するものであります。

次に、人口減少対策の強化に向けた関係人口・交流人口の創出・拡大の取組みとしまして、本県アンテナショップの機能強化に向けた現店舗のリニューアル又は移転への対応を進めるほか、県民のアウトバウンド促進に向けて、インバウンドチャーターの回送便を活用した旅行商品造成への支援を行うとともに、モンテディオ山形の新スタジアム建設に対して、天童市と共同で支援するものであります。

次に、県民の命と暮らしを守る安全・安心の確保の取組みとしまして、市街地へのクマ出没の抑制に向けて、緊急に河川の藪の刈払いを行うとともに、人の日常生活圏に出没したクマ等の緊急銃猟を行うための資材購入や訓練・研修、普及啓発等を実施する市町村に対して支援してまいります。また、医師の偏在解消に向けた取組みを進める観点から、医師が不足している「重点医師偏在対策支援区域」において、診療所を承継又は開業する場合に、施設や設備の整備に対して支援するものであります。

次に、諸課題への対応等としまして、放課後児童クラブの運営費等への支援を拡充するほか、地域の農地を引き受けて地域農業の維持・発展に取り組む担い手に対して、農業用機械や施設の導入等を支援するとともに、エネルギー価格高騰の影響を受けにくい農業水利システムへの転換を促すため、省エネルギー化に取り組む農業水利施設の管理者に対して、エネルギー価格高騰分の一部を支援するものであります。

加えて、社会資本整備の着実な推進を図るため、土木・農林関係の公共事業のうち、当初予算を上回る国庫の内示を受けた事業について、事業費を増額いたします。

この結果、今回の一般会計補正予算案の総額は、68億2,300万円となり、今年度の累計予算額は、6,848億9,700万円となります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

山形県個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例の制定につきましては、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部改正等に伴い、個人番号を利用することができる事務の範囲を変更する等のためのもの、山形県防災会議条例の一部を改正する条例の制定につきましては、山形県防災会議の委員のうち自主防災組織を構成する者又は学識経験のある者のうちから知事が任命する者等の定数を変更するためのものであります。

山形県教育委員会委員の任命、山形県土地利用審査会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

なお、令和6年度一般会計及び公債管理特別会計など10特別会計、並びに流域下水道事業会計など6公営企業会計の決算につきましては、監査委員の審査意見書を付し、今会期中に提出いたしますので、よろしく御審議のうえ、御認定くださいますようお願いいたします。

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