更新日:2023年12月4日

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12月定例会(令和5年12月4日)

 県議会12月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

【経済の動向】

はじめに、経済の動向について申し上げます。

 我が国の経済につきましては、このところ一部に足踏みもみられますが、緩やかに回復しております。
 県内の状況についてみますと、個人消費につきましては、新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行したことを背景に、サービス消費を中心に緩やかな回復傾向にあります。鉱工業生産は、半導体関連製品の受注減少の影響などにより、このところ足踏み状態にあります。雇用は、あらゆる産業分野で深刻な人手不足が続き、有効求人倍率は高い水準で推移しております。
 このように、本県経済につきましては、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しているところであります。
 今後の先行きにつきましては、食料品をはじめとした物価の上昇が続いており、世界的な金融引締めや中国経済の先行き不安などの景気への影響も懸念されることから、引き続き国内外の情勢や県民生活・企業活動等への影響について注視してまいります。

【当面の県政課題】

 次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、多様性が尊重される社会づくりの推進について申し上げます。

 少子化・人口減少が進む中で、本県が今後も持続的に発展していくためには、多様性を理解し、認め合い、受け入れ、支え合う寛容性のある社会を創っていくことが大切であります。そのような社会を実現することで、異なる考えや能力が相乗効果を生み、地域にイノベーションをもたらすことが期待されます。
 また、今年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が成立し、多様性に関する、より一層の取組みが求められております。
 私自身も、当事者の声を直接お聞きする機会を持つとともに、座長を務めた7月の全国知事会議での有識者や参加知事とのセッションなどを通して、多様性が尊重され、誰もが暮らしやすい社会を目指していくことの重要性を改めて強く認識したところであります。
 こうしたことから、本県においても、性的マイノリティの方が抱えている困難や不安の解消を図るべく実効性ある取組みを推進するため、市町村や有識者の御意見を伺いながら検討を進めてまいりました「パートナーシップ宣誓制度」を、来年1月から導入したいと考えております。
 この制度の導入により、誰もが個性や能力を最大限発揮し、一人ひとりが幸福を実感できる社会が実現できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

次に、本県沖で導入を目指す洋上風力発電事業について申し上げます。

 去る10月3日、経済産業大臣及び国土交通大臣から、遊佐町沖が再エネ海域利用法に基づく「促進区域」に指定され、併せて、酒田市沖が「有望な区域」に選定されました。
 本県の2つの海域が同時にそれぞれ前進したことは、県はもとより、関係市町をはじめ、地元関係者の皆様のこれまでの地道な取組みが評価されたものであり、今後の庄内地域における再生可能エネルギーの大規模開発や地域活性化、ひいては、本県の発展に向けて一層の弾みがつくものと期待しております。
 今後、遊佐町沖につきましては、公募による事業者の選定に向けた準備を進めてまいります。また、酒田市沖につきましては、洋上風力発電導入に向けた漁業振興策について、漁業関係者の皆様と検討を進めてまいりますとともに、酒田市と連携して地域住民の皆様に事業の内容を丁寧に説明してまいります。
 さらに、こうした海域で行う洋上風力発電の効果を県内に最大限取り込んでいくため、酒田港を海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾、いわゆる「基地港湾」として利用していただきたいと考えており、10月19日には国土交通大臣に対し、酒田港の基地港湾指定等について要望を行ったところであります。
 引き続き、山形県エネルギー戦略に掲げる地域協調型の洋上風力発電の導入に向けてしっかりと取り組み、「ゼロカーボンやまがた2050」の実現につなげてまいります。

次に、第78回国民スポーツ大会冬季大会スキー競技会「やまがた雪未来国スポ」の開催準備状況について申し上げます。

 来年2月21日から24日までの4日間、山形市、上山市及び最上町を会場に開催される「やまがた雪未来国スポ」につきましては、先月28日に大会実施本部を設置したところであり、大会の成功に向け、着実に準備を進めております。また、大会に出場する本県選手につきましても、県と県スキー連盟が一体となって海外遠征を行うなど、競技力の強化に取り組んでいるところです。
 本大会は参加総数を延べ3万8千人と見込んでおり、全国から参加される選手や役員の皆様に、食や温泉など、本県の魅力をお伝えする絶好の機会であると考えています。山形らしい温かなおもてなしでお迎えし、本県の素晴らしさを感じていただけるよう、そして、本県選手の活躍が県民に夢と希望を与え、県勢発展の大きな弾みとなるよう、関係機関・団体との連携のもと、全力で準備を進めてまいりますので、引き続き、県議会及び県民の皆様の御支援と御協力をお願い申し上げます。

次に、令和5年産米の作柄と今後の対応について申し上げます。

 令和5年産の県産米の作柄につきましては、この夏の記録的な高温・少雨など厳しい気象条件の中で、生産者の皆様から懸命に御努力いただき、作況指数は100で、10アール当たりの収量は589キログラムと「平年並み」を確保したところです。一方で米の品質につきましては、一等米比率が10月末現在で47.4%と、これまで全国上位を維持してきた本県としては、非常に厳しい状況にあります。
 このような中でも、高温耐性を有する「雪若丸」の品質は比較的高く維持されており、生産者の皆様から作付けを拡大したいとの声をいただいております。こうした声を踏まえ、県としましては、「雪若丸」のさらなる作付拡大に向けて調整し、予定していた令和6年産の作付面積に500ヘクタール程度を加え、5,600ヘクタール程度とする方針について、山形「つや姫」「雪若丸」ブランド化戦略会議において緊急に決定いたしました。
 さらに、気候変動等による気象災害リスクにしっかりと対応するため、高温・少雨に伴う影響について詳細にデータを解析し、速やかに技術対策を取りまとめるとともに、高温耐性を持つ新たな品種の開発や栽培方法の研究を加速してまいります。

次に、海外の山形県人会との交流の推進について申し上げます。

 10月26日から11月4日までの10日間、森田県議会議長とともに、ブラジル及びペルー両国の山形県人会を訪問し、加えて、アメリカ南カリフォルニアの山形県人会と交流してまいりました。
 ブラジルでは、ブラジル山形県人会創立70周年記念式典に出席し、長きにわたり本県と現地との相互理解の深化と友好親善の発展に大きく貢献された方々に対し、表彰状を贈呈するなど、交流を深めてまいりました。
 また、行く先々で多くの日系人や県人会の方々から盛大な歓迎を受け、本県との絆を強く感じたところであります。
 ペルーでは、県人会の幹部の方々等と懇談し、親睦を図るとともに、ブラジル同様、本県との友好親善の発展に寄与された方々に感謝状を贈呈したほか、今後の一層の交流拡大を確認してまいりました。
 今回の訪問にあたっては、ブラジルで2名、ペルーで10名、アメリカで6名の方に、やまがた特命観光・つや姫大使を委嘱し、現地における本県の認知度向上に向けて積極的なPRをお願いしたところです。
 なお、11月27日からのタイ王国訪問においても、タイ・バンコク山形県人会と交流してまいりました。この際にも、8名の方に、やまがた特命観光・つや姫大使を委嘱してきたところです。
 これらの訪問を機に、これまで培われてきた本県との友好の絆をより一層確かなものとし、今後の交流の推進につなげてまいりたいと考えております。

次に、国際交流の拡大に向けた取組みについて申し上げます。

(海外トップセールスの実施)

 ブラジル山形県人会創立70周年記念式典からの帰途にアメリカのロサンゼルスにおいて、県産日本酒プロモーションを実施してまいりました。
 このプロモーションでは、全国新酒鑑評会において金賞を受賞した20の蔵の酒を揃えて、現地の日本酒輸入業者、小売業者、レストラン関係者、関係団体、現地メディアなどに対して、私から本県の紹介を行うとともに、県酒造組合から県産日本酒の優れた点を直接PRしてまいりました。
 その後、招待客の皆様に実際に試飲していただき大変好評を得たところであります。
 今後は、今回参加いただいた関係者の皆様等への働きかけを継続的に実施し、アメリカにおける県産日本酒の消費拡大を図ってまいります。
 さらに、11月27日から県内の観光関係者とともに訪問したタイにおいて、現地の航空会社や旅行会社等に対し、トップセールスを行ってまいりました。本県の魅力ある観光資源をPRするとともに、本県へのインバウンド誘客促進に向けて、仙台空港の国際定期便の早期再開等を積極的に働きかけてきたところです。
 タイは、今後の観光交流の拡大が期待される有望な市場のひとつでありますので、この度の訪問を契機に、タイとの相互交流がますます活発になるように取り組んでまいります。

(国際チャーター便及び外航クルーズ船の再開)

 コロナ禍で中断していた国際チャーター便が、約3年半ぶりに再開しました。山形空港と台湾桃園国際空港とを結ぶチャーター便は、今秋16往復32便が運航され、台湾からの観光客には、色鮮やかな紅葉や実りの時期を迎えた豊かな食など、本県の秋を満喫していただきました。また、来年1月中旬から3月上旬までの冬季においても、31往復62便の運航が決定しており、インバウンド需要の着実な回復を実感しております。
 加えて、外航クルーズ船も約3年半ぶりに再開し、今年4月の「シルバー・ミューズ」の酒田港への寄港を皮切りに、先月の「ダイヤモンド・プリンセス」の寄港まで、今年度は過去最多となる6回、外航クルーズ船を受け入れたところです。
 今後とも、受入態勢の整備を進め、国際チャーター便の運航、外航クルーズ船の寄港を拡大することにより、さらなるインバウンドの誘客促進を図ってまいります。

次に、西村山地域における新たな医療提供体制の構築に向けた検討状況について申し上げます。

 様々な課題を抱える西村山地域の医療提供体制につきましては、管内自治体の首長と学識経験者で構成する西村山地域医療提供体制検討会を昨年8月に設置し、協議を重ねてまいりました。
 今年10月に開催された4回目の検討会では、4月に設置したワーキンググループから、客観的なデータの分析や医療関係者からのヒアリングなどに基づく約半年間の調査検討の結果を踏まえ、中間報告が行われました。その内容は、西村山地域における持続可能な医療提供体制を構築するためには、医療資源を集約し、地域の中核的な役割を果たす新たな病院を整備する必要があり、県立河北病院と寒河江市立病院を統合し、新病院を整備することが妥当であるというものであります。
 この中間報告に対して、各首長の皆様からは一定の御理解をいただくとともに、今後、新病院を整備する基本方針に沿って、整備スケジュールや運営母体など、より具体的な検討に向け議論を前に進めていくことについても、御了解をいただいたところです。
 県としましては、持続可能で充実した西村山地域の新たな医療提供体制を早期に構築できるよう、引き続き、関係者の皆様の御意見を丁寧に伺いながら、新病院の整備に向けた準備を進めてまいります。

次に、昨年12月31日に発生した鶴岡市西目地区の土砂災害への対応状況について申し上げます。

 県では、発災直後より鶴岡市と連携しながら、再度災害の防止と早期の避難指示解除に向けた現地の土砂災害対策工事を鋭意進めてまいりました。このうち、避難中の家屋の上部斜面における不安定土砂の撤去が10月27日に完了し、さらに、この土砂撤去後の斜面に地すべり観測機器と警報装置の設置を行い、11月28日から運用を開始したところです。
 これを受け、同日、鶴岡市災害対策本部会議が開かれ、避難指示解除が決定されたと伺っております。避難されている住民の皆様が一日も早く自宅に戻られ、安全・安心な日常生活を送ることができるよう願っております。
 今後も、鶴岡市と連携しながら、対策工事の早期完了に向け、引き続き取り組んでまいります。

【議案の概要】

次に、このたび御審議いただきます議案の概要について御説明申し上げます。

 提案いたしました議案は、令和5年度山形県一般会計補正予算(第5号)など、36件であります。

まず、一般会計補正予算について申し上げます。

 今回の補正予算案につきましては、農作物の気象災害など喫緊の課題への対応を行うほか、給与改定等に伴う人件費の補正などを行うものであります。

 はじめに、「農作物の気象災害への対応」であります。今年は、春先の降霜、夏季の記録的な高温・少雨、秋季の強風、降雹などに伴い、米の品質低下や果樹等の収量減など農作物に幅広く影響が生じています。
 被害を受けた農業者の生産活動の維持を図るため、運転資金の低利融資を11月7日から開始しているところですが、この度の補正予算案では、一等米比率が大幅に低下している米について、出荷時に品質向上を図る色彩選別機の導入を支援するほか、高い品質を維持している「雪若丸」の作付けをさらに拡大していくため、種子生産体制の整備を支援します。加えて、高温耐性の高い新たな品種の開発や導入を加速してまいります。
 園芸作物につきましては、霜害や収穫期の高温等の自然災害に強いさくらんぼ雨よけハウスの実証を行うとともに、適切な灌水時期を判断するための水分モニタリングシステムを構築します。
 さらに、水稲、園芸作物などの高温少雨対策マニュアルを作成して現場指導に活かすことにより、関係機関等と連携しながら気候変動に強い産地づくりを進めてまいります。

 そのほか、諸課題への対応としましては、電気使用量の大きい農業水利施設を管理している土地改良区等に対し、この夏の記録的な少雨を受けて、例年より稼働時間が増加した実績を踏まえ、電気料金高騰分の支援を追加します。また、大豆の生産性向上のための機械導入を後押しすることにより、生産基盤の強化を目指します。さらに、日系スーパーや日本食レストランの多いハワイにおいて、県産米や県産食材等のプロモーションを行うことにより、山形ブランドの定着や新たな販路の開拓に取り組んでまいります。

 人件費の補正につきましては、10月5日付けの山形県人事委員会勧告等に鑑み、職員等の給料月額等の改定等を行うとともに、議員及び知事等の特別職に対して支給する期末手当の支給割合の改定に伴う経費を追加するほか、職員の異動等を踏まえた補正額を計上するものであります。
 この結果、今回の一般会計補正予算案の総額は、9億4,900万円となり、今年度の累計予算額は、6,983億6,500万円となります。
 繰越明許費につきましては、年度内に支出の終わらない見込みのある経費について翌年度に繰り越して使用するため、総額で119億5,070万円余を計上するものであります。
 債務負担行為の補正につきましては、工事の早期着工を図るため、いわゆるゼロ県債の設定など22件、82億9,200万円を計上いたします。
 土地取得事業特別会計など4特別会計及び流域下水道事業会計など5公営企業会計の補正予算案につきましては、人件費等を補正するものであります。
 なお、物価高対策や、防災・減災、国土強靭化のための公共事業の追加などを盛り込んだ政府の補正予算に速やかに対応するため、必要な予算の調製作業を鋭意進めており、今会期中に追加提案してまいりたいと考えております。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

 山形県立自然公園条例の一部を改正する条例の制定につきましては、自然公園法の一部改正に伴い、県立自然公園における、利用拠点の質の向上のための協議会の設置及び計画の認定に係る制度を創設するとともに、利用のための規制等の改正を行うものであります。
 山形県公共調達評議委員会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

 以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

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