第5次山形県障がい者計画 令和元年8月 山形県 目  次 T 総論  1 計画策定の背景・趣旨 1  2 計画の概要                            (1)計画の性格 1  (2)計画の期間 2  (3)計画推進にあたり期待される役割 2  (4)計画の推進体制 3  (5)計画の目標 3  (6)計画の基本方針 3  (7)計画の基本的視点 3  3 施策の体系 4  4 障がい者の現状                           (1)身体障がい者の現状 6  (2)知的障がい者の現状 7  (3)精神障がい児(者)の現状 8  (4)発達障がい児の現状 8  (5)医療的ケア児の現状 9  (6)高次脳機能障がい者の現状 9  (7)難病患者の現状 9  (8)障がい者支援施設利用者の高齢化 10  (9)障がい者支援施設利用者の地域移行の状況 10  5 障がい者を取り巻く状況の変化  (1)国の障がい者制度改革等 11  (2)山形県の動き 12 U 各論  1 自立と社会参加の拡大  (1)障がいの受容に対する支援 13    @ 障がいのある子どもの親の障がい受容及び支援 13    A 成人期以降に障がいが発生した場合の障がいの受容と支援 13    B 本人や障がい者団体等の活動の支援 14  (2)特別支援教育等の充実 15    @ 医療・保健・福祉等と連携した就学前からの支援 15   A 小・中学校等、高等学校における特別支援教育の充実 16   B 特別支援学校における教育の充実 19  (3)雇用・就労の促進と所得の向上 22    @ 障がい者の職業能力開発 22   A 障がい者の雇用促進 23    B 福祉的就労への支援 27 C 農福連携・林福連携の推進 28  (4)文化芸術活動・スポーツ等を通した社会参加の推進 30    @ 文化芸術活動を通した社会参加の推進 30    A スポーツ活動を通した社会参加の推進 31  2 地域で活き活きと生活するための基盤整備  (1)相談支援の充実・ネットワーク化の推進 33    @ 市町村における総合的な相談支援体制の充実 33   A 障がい保健福祉圏域(県内4地域)における相談支援ネットワークの強化 35   B 県全体の専門的な相談機関の充実 37  (2)地域生活の支援 40   @ 早期発見、早期療育体制の整備 40   A 健康の保持・増進 42 B 福祉用具の利用支援等 43   C 在宅障がい福祉サービスの充実 44   D 住まいの確保 47   E 活動の場の確保 48   F 地域リハビリテーション体制の整備 49   G 地域移行の推進 50  (3)地域生活支援のための施設サービスの充実 53  (4)質の高いサービスの提供 55   @ サービス評価等の実施によるサービスの向上 55   A 情報提供の充実 56   B 障がい福祉を支える人材の確保、養成 57  (5)高齢化に応じた支援 62   @ 施設での支援 62   A 在宅での支援 63 B 高齢者施策と障がい者施策の一体化 64  (6)精神保健・医療の適切な提供 65  (7)様々な障がいへの対応の強化 67   @ 重症心身障がい児(者)支援の充実 67   A 発達障がい児(者)支援の充実 67   B 高次脳機能障がい者支援の充実 69   C 難病患者の治療や療養生活の支援の充実 69    D 医療的ケア児支援の充実 70  3 共に支え合う地域づくり  (1)差別の解消と権利擁護の推進 72   @ 差別解消に向けた啓発・広報・コミュニケーションの促進    (理解促進・意識醸成)72   A 心のバリアフリー推進員の養成 73 B ヘルプマークの普及 74 C 成年後見制度等の活用 75   D 障がい者に対する虐待の防止 75  (2)バリアフリー化の促進 76   @ 情報の利用しやすさ(アクセシビリティ)の向上 76   A 意思疎通支援の充実 77 B 手話の普及その他手話を使用しやすい環境の整備のために     必要な施策の推進 80 C 公共的施設等のバリアフリー化の促進 80   D 移動するために必要なバリアフリー化の促進 83   E 市町村の取組に対する支援等による総合的な推進 85  (3)地域における見守り、支援の充実 85   @ ボランティア活動による支援の充実 85   A 福祉教育、交流の推進 86   B 交通安全の確保 90   C くらしの安全・安心の確保 92  (4)災害時の支援・防災対策等の推進 93  第5次山形県障がい者計画において重点的に取り組む事項の数値目標 97 T 総論 1 計画策定の背景・趣旨  本県は、平成26年3月に平成26年度から平成30年度までの5年間を計画期間とする「第4次山形県障がい者計画」を策定し、「障がいのある人もない人も、一人ひとりが主体性を持ちながら、その能力を発揮し、活き活きとした生活を共に送ることができる地域社会の実現」を目指して、障がい者施策を推進してきました。  この間、国においては平成28年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」という。)が施行(平成25年4月制定)されたほか、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下「障害者雇用促進法」という。)の改正や「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」という。)及び児童福祉法の一部改正など様々な法制度の改正が施行され、国内における法整備が進められてきました。  また、国は、障害者基本法に基づき、平成30年3月に計画期間を平成30年度から5年間とする「障害者基本計画(第4次)」を閣議決定しております。  現在、本県においては、平成28年に「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を制定し、障がいを理由とする差別解消に取り組み、障がいの有無にかかわらず誰もが共存できる社会の実現を目指しています。一方で、障がい者の高齢化の進展に応じた支援や、増加する発達障がい児や医療的ケア児※への支援、障がい者が自ら選んだ地域で安心して生活を送るための円滑な地域移行に必要となる支援など、様々な対応の強化が求められているところです。  これらに対応していくためには福祉、保健、医療、労働、教育など広範な分野で、障がい者に着目した横断的な視点を持ちながら、関連機関・団体が連携し総合的な取組を進めていく必要があります。  このような国の障がい者施策の動向や県内障がい者の現状を踏まえながら、障がい者の自立及び社会参加を支援する施策を総合的に進めるため、新たに「第5次山形県障がい者計画」を策定するものです。    ※ 医療的ケア児:医学の進歩を背景として、NICU(新生児集中治療管理室)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な障がい児のこと。 2 計画の概要 (1)計画の性格  この計画は、障害者基本法第11条第2項に規定されている都道府県障害者計画として策定し、障がい者施策の総合的な推進を図ろうとするものです。  平成21年度に策定した「第3次山形県総合発展計画」、平成28年度に策定した「第3次山形県総合発展計画短期アクションプラン」、平成30年度に策定した「山形県地域福祉推進計画」及び、平成29年度に策定した「山形県障がい福祉計画」と整合性を図った計画とします。   (2)計画の期間  令和元年度から令和5年度までの5年間を対象とします。 (3)計画推進にあたり期待される役割  計画の推進にあたっては、県全体で進めていく必要があり、障がい福祉の向上のためには、県民等に次のような役割が期待されます。   ア 障がい者、障がい者団体に期待される役割  障がい者には地域社会の一員として、必要な支援を得ながら自らの決定に基づき、可能な限り地域社会の活動等に参加し、その能力を最大限発揮して自己実現することが期待されています。また、障がい者団体には、特に同じ障がい者仲間からの相談に応じて支援を行うピアカウンセリング※や自主的な訓練等、心の支えなどの部分を充実させていくことが求められています。 イ 障がい福祉サービス等事業者に期待される役割  専門的なサービスを供給するという責任を認識し、自らサービスの質の向上に努めるとともに、他の保健医療サービス事業者、福祉サービス事業者との連携を図りながら、共生社会の理念を理解し、障がい者やその家族の意思を尊重しながら、利用者ニーズに対応したサービスを提供することが求められています。 ウ 地域の住民等に期待される役割  障がい者を地域社会を構成する一員として受入れ、障がい及び障がい者についての理解を深めるとともに、ボランティア活動などへの積極的な参加を通じ、普段からの良好な付き合いや関係づくり、何かあったらお互いに助け合うというような地域づくりが期待されています。 エ 市町村の役割  市町村には、障がい者が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、生活の実態を把握した上で、必要な支援を総合的かつ計画的に行う役割が求められています。 オ 県の役割  @ 市町村への支援  県全体の情報提供、市町村に対する技術的支援、市町村の独自性を発揮できるような財政的支援、市町村職員に対する各種研修の実施、広域的な対応が必要な分野への支援等に力を入れていく必要があります。   A 事業者の育成・支援  障がい福祉サービス事業者に対する指導監督等を行うとともに、利用者へのサービスの質の向上を図るため、障がい福祉サービス事業者等に対する継続的な研修を実施していく必要があります。 ※ ピアカウンセリング:同じ職業や障害を持っているなど、同じ立場にある仲間同士によって行われるカウンセリングのこと。 (4)計画の推進体制  障がい者施策は、保健、医療、福祉、教育、労働、まちづくり等の生活環境の整備等、広範な分野にまたがっており、障がいの内容、程度やライフステージに応じたきめ細かな一貫したサービスが提供できるよう、障がい者に着目した横断的な視点を持ちながら、関係部局、関係機関・団体が連携し、総合的に取り組みます。  障がい者や障がい福祉関係者などで構成する「山形県障がい者施策推進協議会」に計画の進捗状況等を報告し、その意見を踏まえ、計画の効果的な推進を図ります。  また、計画の進捗状況等を客観的に判断できるよう数値目標を設定し、PDCAサイクルにより検証します。     (5)計画の目標  計画の目標を「障がいの有無にかかわらず、一人ひとりが活き活きと、自らが望む地域で、相互に人格と個性を尊重し、支え合いながら共に生きる山形の実現」とします。 (6)計画の基本方針 ○ 障がい者が自らの選択により、望む地域で地域住民の一人として生活できる環境づくりに取り組んでいきます。 ○ 障がい者の活動を制限している社会的な障壁※の除去に取り組んでいきます。 ○ 障がい児(者)が自らの能力を最大限発揮し自己実現が図られるようライフステージに応じた支援に取り組んでいきます。 ※ 社会的な障壁:日常生活や社会生活を営む上で支障となることがらのこと。障害者基本法第2条に規定。具体的には、段差により通行や利用しにくい施設、難しい漢字ばかりで理解しづらい書類などがあげられる。    (7)計画の基本的視点 ア 様々な障がいへの対応の強化  重症心身障がい児(者)、発達障がい児(者)、高次脳機能障がい者及び難病患者への支援を充実するなど、様々な障がい等への対応を強化します。  また、近年、医療技術の進歩等を背景に増加している医療的ケア児への支援も強化します。 イ ライフステージに応じた総合的な支援  幼児期における障がいの早期発見・早期支援の取組や学齢期における教育を充実するとともに、就業や地域での生活を支援するなど、障がい児(者)がライフステージに応じて適切な支援を継続して受けられるよう取り組みます。 ウ 障がい者の活躍の促進  障がい者が活き活きと個性を発揮しながら、生活をより豊かにしていけるよう、文化芸術活動やスポーツなど能力・才能を発揮できる場や、障がい者の特性や意欲に応じた就労の場などの拡大を図り、障がい者の活躍を促進します。 エ 障がい者の地域移行の促進  障がい者が自らの選択により望む地域で、安心して自立した生活を送るため、地域の社会資源を最大限活用しながら、本人が主体的にサービスを選択できるよう障がい福祉サービスの充実を図ります。 オ 障がいを理由とする差別の解消の推進  「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」に掲げる「共生する山形」を目指し、障がいを理由とする差別の解消と共生する社会の実現に向けた取組を推進します。 3 施策の体系   基本的視点を踏まえ、施策の基本方向として次の3点から目標実現に向けて積極的に施策を推進していきます。   (1) 自立と社会参加の拡大 本人の能力を育て、かつ能力を発揮するための施策を推進します。   (2) 地域で活き活きと生活するための基盤整備 保健・福祉サービス等の機能を充実させる施策を推進します。   (3) 共に支え合う地域づくり 社会全体で障がい者を支えていくための施策を推進します。 4 障がい者の現状 (1) 身体障がい者の現状 ○ 平成29年度末(平成30年3月末)現在の身体障がい者(手帳所持者数)は52,936人となっています。そのうち、高齢者(65歳以上)が40,567人で全体の76.6%を占めています。平成25年度末との比較では、全体で2,061人(3.7%)減少していますが、65歳以上は414人(1.0%)増加しており、身体障がい者のうち高齢者の割合が増加しています。障害の程度では、重度障がい者(1級2級手帳所持者)が、全体の42.2%で依然として半数近くを占めています。 ○ 障がいの種類別の内訳では、内部障がい(心臓、腎臓等)が増加(2.2%増)しており、外見からはわかりにくい身体障がい者が増えています。また、肢体不自由(54.5%)と内部障がい(30.3%)で全体の8割以上と大部分を占めています。 (2) 知的障がい者の現状 ○ 平成29年度末(平成30年3月末)現在の療育手帳所持者数は8,638人(うち18歳未満が1,420人、18歳以上が7,218人)で、平成25年度末との比較では全体で、725人、9.1%の増加となっています。療育手帳保持者のうちA(重度)の方の割合は、全体で33.3%となっています。   ○ 平成29年度末現在の療育手帳所持者のうち、65歳以上の所持者は1,204人で、平成25年度末と比べて249人増加しており、高齢化が進んでいます。 (3) 精神障がい者の現状 ○ 平成29年度末(平成30年3月末)現在の精神障害者保健福祉手帳所持者は5,821人で、平成25年度末との比較では全体で、857人、14.7%の増加となっています。精神障害者保健福祉手帳保持者のうち2級(中度)の方の割合が、45.3%と高くなっています。 ○ 平成29年度末(平成30年3月末)現在の自立支援医療(精神通院医療)受給者数は、11,292人で、平成25年度末との比較では、1,563人、16.0%の増加となっています。 (4) 発達障がい児(者)の現状 ○ 発達障がい児(者)の人数を正確に把握することはできませんが、発達障害者支援法により県立こども医療療育センターに設置している発達障がい者支援センターにおける相談件数は、平成25年度との比較で182件、12.0%の増加となっています。また、厚生労働省が実施した発達障がい者の患者調査によると、平成29年度は全国で23万3千人(推計)となっており、増加傾向にあります。 (5) 医療的ケア児の現状 ○ 医療的ケア児は、「医療的ケア児に対する実態調査と医療・福祉・保健・教育等の連携に関する研究(田村班)」の報告によると、平成28年度は全国で約18,000人(推計)となっており、増加傾向にあります。県内の医療的ケア児は、市町村に聞き取り調査を行ったところ、平成30年3月現在で120人となっています。      (6) 高次脳機能障がい者の現状 ○ 高次脳機能障がい支援センターにおける相談件数は、平成25年度との比較で100件、20.4%の増加となっています。   (7) 難病患者の現状 ○  平成29年度末(平成30年3月末)現在の医療費助成対象疾病数は330疾病で、指定難病患者と特定疾患患者を合わせた患者数は6,856人となっています。なお、平成30年4月1日からは、医療費助成対象疾病数は331疾病に拡大されています。 (8)障がい者支援施設利用者の高齢化 ○ 平成29年10月現在の本県の障がい者支援施設利用者1,798人中、65歳以上の利用者が466人と全体の25.9%となっています。なお、全国の65歳以上の障がい者支援施設利用者数は、29,345人と全体の20.6%となっており、全国に比べ本県の利用者の高齢化率が高くなっています。 (9)障がい者支援施設利用者の地域移行の状況 ○ 平成25年度から平成29年度の間に、障がい者支援施設から79人が地域移行しています。平成19年度から平成24年度の間に地域移行した人数(354人)に比較して、その動きが鈍化しています。   ○  障がい者支援施設利用者は、平成25年度の1,657人から平成29年度には1,585人と72人減少しています。一方、障がい者グループホーム(ケアホーム)の利用については、平成25年度の992人から平成29年度には1,252人と260人増加しています。   ※ケアホームは、平成26年度からグループホームに一元化されています。    5 障がい者を取り巻く状況の変化 (1)国の障がい者制度改革等 ○ 前計画の策定(平成26年3月)以降に、様々な制度改正が行われています(下表参照)。 最近の障がい者制度に関わる法制度等の動き 平成25年6月 平成28年4月 障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定 ・差別を解消するための措置(差別的取扱いの禁止、合理的配慮の不提供の禁止) ・差別を解消するための支援措置(相談・紛争解決の体制整備、普及・啓発活動の実施等) 平成28年4月(一部平成30年4月) 障害者雇用促進法の改正 ・雇用分野における障がいを理由とする差別的取扱いの禁止、合理的配慮の提供義務 ・法定雇用率の算定基礎に精神障害者を追加 平成26年4月(一部平成28年4月) 精神保健福祉法の改正 ・医療提供を確保するための指針の策定 ・保護者制度の廃止 平成28年6月 平成30年4月(一部平成28年6月) 障害者総合支援法の改正・重度訪問介護の訪問先の拡大 ・就労定着支援・自立生活援助の創設 ・サービス提供者の情報公開制度の創設 児童福祉法の改正 ・居宅訪問型児童発達支援の創設 ・保育所等訪問支援の支援対象の拡大 ・障害児福祉計画に関する規定の創設 ・医療的ケアを要する障害児に対する支援の明文化 平成28年6月 発達障害者支援法の改正・障害者基本法の基本的な理念にのっとることを規定 ・相談体制の整備の規定を創設 平成30年3月 平成30年3月 障害者基本計画(第4次)の策定 ・計画期間:平成30年(2018)年度から5年間 ・政府が講ずる障害者施策の最も基本的な計画 ・共生社会の実現に向けて障がい者の自己実現を支援 平成30年6月 平成30年6月 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の制定 ・障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画の策定を規定 ・文化芸術の鑑賞の機会の拡大 ・文化芸術の創造の機会の拡大 (2)山形県の動き ○ 前計画策定後、山形県において障がい福祉に係る条例等が整備しています(下表参照)。 平成28年3月 山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例の制定・県の責務、県民・事業者の役割を規定 ・障がいを理由とする差別に関する相談体制 平成29年3月 山形県手話言語条例の制定・県の責務、県民・ろう者・手話通訳者・事業者の役割を規定 ・手話に係る環境整備について規定 平成30年3月 山形県障がい福祉計画(第5期障がい福祉計画及び第1期障がい児福祉計画)の策定・計画期間:平成30年度から3年間 ・障がい福祉サービス等の提供体制の確保及び円滑な実施に関する計画 ・児童福祉法に基づく障がい児福祉計画を一体として策定          U 各論 1 自立と社会参加の拡大 (1) 障がいの受容に対する支援    @ 障がいのある子どもの親の障がい受容及び支援  [現状] ・ 障がいのある子どもの支援においては、早期に障がいを発見し、適切な療育支援を行うことで、障がいの軽減や発達を促し、将来の社会参加へ繋げることが大切です。 ・ また、障がいのある子どもへの支援を進めるに当たっては、本人への支援だけでなく、障がいのある子どもを育てる親や家族への支援が重要です。親や家族に対して、障がいの特性や発達の各段階に応じた丁寧な支援を行うことにより、子ども本人にも良い影響を与えることが期待できます。 ・ 県では、児童発達支援事業所等において、本人の発達支援のほか、親や家族からの相談等に応じるなど、親や家族に対する支援を行っています。 [課題] ・ 親の障がいの受容は、障がいのある子どもの支援の重要な第一歩となりますが、時間がかかったり、受容が困難なケースもあることから、親が療育の必要性や障がいの理解を通して、最も身近な支援者となれるよう、身近な相談機関から専門的な機関まで、連携して継続的に支えていく必要があります。 [今後の取組方向] ○ 市町村、保健所、医療機関、児童相談所、保育所、児童発達支援センター及び学校などの機関は、親が抱えている不安や疑問にはできるだけ早く対応していきます。 ○ また、市町村、保健所等関係機関は、親が子どもの障がいを受容し、子どもの将来の自立に向けて最も身近な支援者として関わっていくという認識を獲得できるようになるまで、粘り強くかかわっていきます。 ○ 県は、地域の関係機関との連携を強化し、県立こども医療療育センターなどの専門機関が、早期療育に向けた支援を行っていきます。  A 成人期以降に障がいが発生した場合の障がいの受容と支援 [現状] ・ 同じ障がいのある人の体験を聞くことを通して、障がい当事者が、障がいを受容するきっかけになる場合もあります。 ・ 現在、身体障がい者が身体障害者相談員として、知的障がい者の家族等が知的障害者相談員として全市町村に配置されており、自らの体験等を踏まえた様々な相談に応じています。障がいに立ち向かう姿勢が生まれ、その後の機能回復訓練等を行う上で効果をあげている例もあります。市町村の枠を越えて情報を交換しながら、継続した相談活動が望まれています。 ・ 相談員の技術力の向上のため、相談員研修を毎年実施し、市町村の枠を越えて情報を交換しながら、相談活動の充実を図っています。 [課題] ・ 身体障がい、知的障がい、精神障がいの場合は、障がい種別ごとに団体を組織し、お互いに制度等の情報交換を行うなど、障がいを受容しながら社会的に自立するため努力しており、これら団体と協力しながら支援の輪を広げていく必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県は、障害者相談員の相談技量の充実を図るため、引き続き、相談員研修を行います。また、県自立支援協議会や障がい者団体との意見交換、相談実績の分析を通して、今後も相談支援体制の充実に努めます。 ○ 県は、障がい者が自らの経験に基づき、同じ障がい者仲間からの相談に応じて、自立に向けた支援を行うピアカウンセリングに対する支援に努めます。    B 本人や障がい者団体等の活動の支援 [現状] ・ 障がい当事者の団体は、同じ悩みや心配ごとを持つ方が集まり、人生の体験を分かち合い、支えあうことを目的とする、自助のために組織された活動団体です。 ・ 特に、障がいの受容等の支援や、様々な生活訓練、親睦、意見提案等、多様な活動を行っています。 ・ 県身体障害者福祉協会や県手をつなぐ育成会等の団体では、当事者や家族の活動を支援しています。 ・ 障がいの種別にかかわらず、障がい者の社会参加を促進するため、県は山形県障がい者社会参加推進センターを設置し、障がい者なんでも相談室(障がい者110番)の設置や障がいや障がい者に対する理解を深める催しなどを実施しています。 ・ 県内の関係機関・団体が、重症心身障がい児施設協力会を作り、入所者家族の支援のため活動しています。県では、役員として会に参画するとともに、活動に対して支援を行っています。 ・ 自閉症の子どもを持つ親等で組織した自閉症協会では、児童の療育キャンプや研修会に取り組んでおり、県では、同団体の活動を支援しています。 [課題] ・  障がい当事者の高齢化に伴う活動頻度の減少や、情報化社会の進展により団体に加入しなくても情報が入手しやすくなったことなどによる加入者の減少などにより、一部の障がい当事者団体では機能の低下が生じています。 [今後の取組方向] ○ 県は、各団体の自主性を尊重するとともに、必要に応じて、生活訓練やスポーツ大会等の開催等に対し支援します。 ○ 県は、障がい当事者による自助のための支え合いが継続するために、広く情報提供を行うなど、当事者団体の活動を支援します。 (2) 特別支援教育等の充実  @ 医療・保健・福祉等と連携した就学前からの支援   [現状] ・ 県は、以下の取組により、保育所等での障がい児の受入れ体制を整備しています。 ア 既存の保育所において、障がい児を受け入れるために必要な改修に対する支援 イ 児童館、認可外保育施設等における障がい児の受入れに対する経費の補助 ・ 県教育委員会では、以下の事業を進めてきました。 ア 平成25年度から国の委託事業による「早期からの教育相談・支援体制構築事業」を実施しました。各年度3市町をモデル地区に指定し、各市町の支援のため域内の特別支援学校に早期支援コーディネーターを配置しました。いずれの市町でも、本事業が活用され、園内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの配置、子どもの実態把握や個別の指導計画の作成・活用等、子どもや保護者に適切に対応するための体制整備が進みました。 イ 平成28年度は、早期支援コーディネーターを配置しない「早期支援連携事業」として事業を再構築して取組を継続するとともに、会議等において事業の内容や成果について周知し、県内における普及を図ってきました。 ウ 平成29年度からは、新たに自立と社会参加を目指した「切れ目ない支援」のための体制づくりに向け、対象時期をこれまでの小学校就学前までから、中学校卒業までに拡大した「地域の教育資源活用連携事業」として再構築しました。 ・ 県教育委員会では、モデル地区における連携会議や理解啓発のための研修会等を通して、中学校までの縦の連携の構築と、教育関係だけでなく保健・福祉等ともつながる横の連携の構築を進めていくことに取り組んでいます。    モデル事業の取組 早期からの教育相談・支援体制構築 平成25年度  寒河江市、金山町、大江町 平成26年度  大江町、舟形町、尾花沢市 平成27年度  舟形町、尾花沢市、飯豊町 早期支援連携 平成28年度  飯豊町、庄内町 地域の教育資源活用連携 平成29年度 南陽市、庄内町 平成30年度 村山市、中山町   ・ 県教育委員会では、「障がいのある子どもの発達相談(にこにこ相談)」を県内7か所でそれぞれ年4回実施するとともに、「地域教育相談事業」として県内5か所に地域相談窓口を設置して相談・支援を実施し、多くの障がいのある子どもの保護者等に活用されています。  [課題] ・ 医療技術の進歩等を背景に、医療的ケア児は増加傾向にありますが、保育所等における医療的ケア児の受入れ体制を整備していく必要があります。 ・ 就学前から卒業後まで続く切れ目ない支援の仕組みの構築が求められています。  [今後の取組方向] ○ 県は、引き続き、保育所の改修に対する支援や、児童館や認可外保育施設等における障がい児の受入れに対する経費の補助を行い、障がい児の保育所等での受入れ体制を整備していきます。 ○ 県は、保育所等において医療的ケア児の受入れを可能とするための体制を整備するために、保育所等での医療的ケア児の保育支援のモデル事業を実施する市町村を支援します。 ○ 県教育委員会は、切れ目ない支援体制の基盤となるものとして、これまでの早期からの相談体制や適切な就学のための支援の取組を継続し、充実を図っていきます。 ○ 県教育委員会は、個々の実態を把握し、教育的ニーズに応じた支援の内容や合理的配慮等を検討して個別の教育支援計画を作成し、これを活用して支援を行い、随時評価・改善していくとともに、確実にこれを次に引き継いで、就学前から社会参加まで切れ目なく支援する体制(縦のつながり)の構築を推進していきます。 ○ 県教育委員会は、これまでの早期支援における連携の取組等を活かして、医療・保健・福祉・労働等の関係機関と積極的に連携を図って支援を検討し、互いに協力し合いながら障がいのある子どもをチームで支援する体制(横のつながり)の構築を推進していきます。  A 小・中学校等、高等学校における特別支援教育の充実  (個別の指導計画の作成と活用)  [現状] ・ 目標・手立てを共有した支援の必要性が周知され、個別の指導計画※や個別の教育支援計画※の作成率が増加してきました。個別の指導計画や個別の教育支援計画については、作成が必要な幼児児童生徒数は年々増加傾向にあります。  [課題] ・ 全体的に個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成率は向上してきましたが、個別の教育支援計画については、幼稚園及び高等学校においては作成、活用が追いついていない状況です。 ・ 継続した支援を行っていくためには、個別の指導計画や個別の教育支援計画を活用した学校間の引継ぎを進める必要があります。特に、中学校から高等学校への引継ぎが課題となっています。  [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、個別の指導計画や個別の教育支援計画については、幼稚園、小・中学校、高等学校においては、通常の学級の幼児児童生徒も含め特別な教育的支援を必要とする全ての子どもについて、作成が進むように取り組んでいきます。また、それを活用し、PDCAサイクルで改善を進めながら、関係者や関係機関と情報を共有し、指導・支援を行っていきます。 ○ 県教育委員会は、幼稚園・保育所から小学校、小学校から中学校、中学校から高等学校と学びの場が変わった際に有効な指導・支援が切れ目なく行われるように、個別の指導計画や個別の教育支援計画を確実に引継ぐことを推進していきます。 ※ 個別の指導計画:幼児児童生徒一人一人の障がいの状態等に応じたきめ細やかな指導が行われるよう、学校における教育課程や指導計画、当該幼児児童生徒の個別の教育支援計画等を踏まえ、より具体的に一人一人の教育的ニーズに応じて、指導目標や指導内容・方法等を盛り込んだ指導計画のこと。 ※ 個別の教育支援計画:障がいのある幼児児童生徒などについて、家庭、地域及び医療や福祉、保健、労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、長期的な視点で幼児児童生徒への教育的支援を行うために作成するもの。内容としては、支援の方針や内容・方法、支援を行う人及び関係機関等を記載し、支援の全体像と役割分担を明確にして、必要かつ適切な支援を行う。  (ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業改善)  [現状] ・ 一人ひとりの特別な教育的ニーズに応える教室環境や教材・教具等、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業※が小中学校でも増えてきています。  [課題] ・ 通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒については、集団の中で適切な支援を行っていく必要があります。配慮の必要な子どもが在籍していても効果的な配慮がなされていない、過剰に意識しすぎて、不要な配慮をしているなどの状況が見られます。  [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、小・中学校、高等学校は、集団の中で適切な支援を行っていくため、ユニバーサルデザインの7つの視点※を取り入れた授業づくりを進め、正しい理解のもと、全ての児童生徒の、できる喜びや学ぶ意欲が高まるような効果的な授業実践に努めます。 ※ ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業:全ての児童生徒が分かる喜びや学ぶ意義を実感できるために、配慮を要する児童生徒には「ないと困る支援」で、他の児童生徒にも「有効な支援」を考え、取り入れた授業のこと。(県教育センタ−「ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくりハンドブック」より) ※ ユニバーサルデザインの7つの視点:[学級づくりの土台をデザインする]@教室環境 A学習や生活のきまり B関係づくり[授業づくりを進めるための手立てをデザインする]C授業の構成 D教師の話し方、発問や指示 E板書、ノートやファイル F教材・教具 (山形県教育センター 「ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくりハンドブック」より)  (LD、ADHD等通級指導教室の拡充)  [現状] ・ 障がいによる個々の学習上又は生活上の困難を改善・克服する場として、小学校への通級指導教室※の拡充と中学校への通級指導教室への導入を進めてきました。平成30年度より法令の改正※を受け、高等学校においても通級による指導が導入されました。障がいに応じた自立活動を行う通級指導教室での学習は、そこで学ぶ子どもたちの障がいによる困難さの軽減につながっています。  [課題] ・ 通級指導教室の必要性に伴い、設置校は年々増えており、適切な教室運営や自立活動を指導する担当教員の専門性向上が課題となっています。  [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、通級指導教室設置の必要性を受け、他校通級等の工夫も含め、各地区において効果的に通級指導教室が運営されるよう取り組んでいきます。 ○ 県教育委員会は、障がいに応じた適切な指導が行われるように、研修体制を整え、担当教員の専門性向上に努めます。 ※通級指導教室:小・中学校の通常の学級に在籍している障がいがある児童生徒に対して、各教科等の指導は主として通常の学級で行いつつ、個々の障がいの状態に応じた特別な指導を行う特別の指導の場。 ※法令の改正:学校教育法施行規則の一部改正(平成28年12月告示 平成30年4月施行)により、平成30年度より高等学校においても通級による指導が導入できることとなった。 ※LD:「学習障がい」のことで、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論するの能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態。 ※ADHD:「注意欠陥多動性障がい」のことで、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、又は衝動性・多動性を特徴とする障がいであり、社会的な活動や学校生活を営む上で著しい困難を示す状態。 (特別支援学級への少人数学級編制の導入)  [現状] ・ 本県の特別支援学級の編制基準に少人数学級編制を導入し、平成25年度より1学級8名から6名としています。   [課題] ・ 特別な支援が必要な児童生徒は年々増加しており、また、障がいの状況も多様化、重複化してきています。同じ学級に在籍する児童生徒であっても、障がい特性、一人ひとりの学習のねらいや指導内容が異なるため、指導に当たっては個々に異なる工夫や配慮が必要となることが多く、より一層個々の教育的なニーズに応じた指導が求められています。 [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、児童生徒と向き合い、一人ひとりの実態を丁寧に把握した上で、児童生徒の多様な実態と個々の教育的ニーズに応じた効果的な指導が行われるよう、少人数学級編制の良さをいかした指導の改善に取り組んでいきます。  B 特別支援学校における教育の充実  (共生社会の形成を目指した理解・啓発の推進)  [現状] ・ インクルーシブ教育システム※の考え方を踏まえた特別支援教育の推進について、フォーラムやリーフレット等で周知・啓発を図ってきました。 ・ 特別支援学校と地域の小中学校等との学校間交流については、地域の特性をいかした多様な交流が行われています。また、居住地にある小中学校の児童生徒と交流を行う特別支援学校の児童生徒も増えてきました。  [課題] ・ 障がいのある子どもの学びの場が多様化する中で、あらゆる学びの場の担当者が、インクルーシブ教育システムの考え方を踏まえた特別支援教育について理解する必要があります。 ・ 障がいのある児童生徒と障がいのない児童生徒が互いに理解し合い、個々の多様性を認め共に生きる社会の担い手となるよう、特別支援学級と通常の学級や特別支援学校と小・中・高等学校等との間で、交流及び共同学習を更に広げていくことが必要です。  [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、障がいのある子どもが他の子どもと共に学び共に活躍するために必要な合理的配慮の普及を促進するとともに、適切に提供されるよう推進していきます。 ○ 県教育委員会は、障がいのある子どもたちと障がいのない子どもたち、あるいは、地域社会の人たちとの交流及び共同学習の充実・拡大を図っていきます。 ※ インクルーシブ教育システム:「障害者の権利に関する条約」に示されている、共生社会の形成に向けて、障がいのある人と障がいのない人ができるだけ同じ場で共に学ぶ仕組みのこと。    (一人ひとりの教育的ニーズに応じた授業の充実)  [現状] ・ 児童生徒の障がいの重度・重複化、多様化に対応するために、学識経験者等を招聘した公開研修会を開催したり、作業療法士を配置するなど、外部専門家を活用した教員の専門性向上に取り組んできました。  [課題] ・ 在籍児童生徒の増加傾向や重度・重複化、多様化の進行に伴い、教育的ニーズもますます多様化していくことが予想されるため、これに対応できる授業づくりが求められています。  [今後の取組方向] ○ 特別支援学校は、児童生徒の障がいの状況や学習状況に応じた教育課程を編成するとともに、授業研究を活性化し、一人ひとりの障がいやニーズに応じたきめ細かな授業づくりを進め、授業改善を図っていきます。  (教育環境の整備)  [現状] ・ 知的障がいを対象とする特別支援学校の県内8地域への整備を進め、特別支援学校が設置されていなかった西村山と西置賜に分校を設置したことにより、遠距離通学の負担が軽減され、児童生徒が居住地からできるだけ近い学校で学ぶことができるようになりました。    特別支援学校の開校・開設状況 平成26年4月  村山特別支援学校山形校・天童校 開校 〃  楯岡特別支援学校寒河江校    開校 〃  米沢養護学校長井校       開校 平成27年4月  楯岡特別支援学校大江校     開校 〃 鶴岡養護学校おひさま分教室   開設 平成29年4月 米沢養護学校西置賜校      開校 〃 米沢養護学校長井校に中学部   開設 ・ 高等養護学校が設置されていない最上地区にある新庄養護学校高等部に就労コースを設置(平成29年4月)したことにより、最上地区の就労を希望する生徒が、地域の企業や事業所等で現場実習を行い、就労に向けた支援を受けることができるようになりました。 [課題] ・ 整備した分校の一部では、当初の予想以上に在籍数が増加し、教室不足や施設の狭隘化が生じています。また、米沢養護学校の分校である長井校(小・中)と西置賜校(高)については、緊急対応のための暫定的設置となり、中から高への一貫した指導ができにくいことなどが課題となっています。 ・ 高等養護学校が設置されていない置賜地区への就労コース設置に向けて検討していく必要があります。  [今後の取組方向] ○ 知的障がい特別支援学校の整備等の課題については、平成25年4月に策定した「山形県特別支援学校再編・整備計画」の計画期間を2年間延長し、令和元年度までに検討していきます。  (看護師配置による医療的ケアの充実)  [現状] ・ 学校に看護師を配置し、吸引や注入等の医療的ケアを提供することにより、医療的ケアが必要な児童生徒の登校日数が増え、さらに授業への継続的な参加が可能になっています。また、看護師の配置により、保護者の付添いが不要になり、保護者の負担が軽減しています。     [課題] ・ 医療的ケアの対象となる児童生徒は年々増加しており、また、複数の医療行為を必要とする児童生徒が増加しています。さらに、人工呼吸器への対応等医療的ケアの内容は複雑化しています。このような中で、児童生徒の学びや充実した学校生活を保障するため、医療的ケアの提供体制を充実していく必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍する特別支援学校には、必要な専門性を身に付けた看護師を確実に配置していきます。 ○ 県教育委員会は、特別支援学校における安全で適切な医療的ケアの実施と、高度な医療的ケアにも対応できるような研修会の実施や体制の整備を推進していきます。  (教員の専門性の向上)  [現状] ・ 特別支援学校教諭免許状を保有する者を新規採用すること、また、各校で特別支援学校教諭免許状を保有していない教員に認定講習受講を促すことにより、免許状の保有率が、第2次山形県特別支援教育推進プランにおいて当初目標としていた8割を超えました。     [課題] ・ 特別支援教育に携わる教員全てが高い専門性をもって指導にあたることができるよう、更に特別支援学校教諭免許状保有率向上の取組を進めていく必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、特別支援教育に携わる教員全てが、自信と意欲をもって指導にあたることができるよう、未保有の教員へ特別支援学校教諭免許状の取得を促していきます。 (3) 雇用・就労の促進と所得の向上  @ 障がい者の職業能力開発  [現状] ・ 障害者雇用促進法の改正や法定雇用率の引上げ等により、企業の障がい者雇用に対する機運も高まり、障がい者の雇用者数は増加しています。 ・ 県では、障がいのある人が、その障がいの特性に応じた多様な働き方ができるように、就職を希望する障がい者を対象とした職業訓練(委託訓練)を行っています。  [課題] ・ 障がいの重度化や多様化により、障がいの態様によっては、就職が依然として厳しい状況にあることから、障がい者の雇用については、就職前の職業準備訓練から就職後の職場適応まで一貫した支援が必要です。 ・ 県では、関係機関との連携の下に、職業能力開発を推進しておりますが、障がい者の能力、適性及び雇用ニーズに応じた取組を、さらに強化する必要があります。 ・ 身体障がい、知的障がい、精神障がいなど、障がいのある人がその障がいの特性に応じた多様な働き方ができるように、職業訓練の受講機会を拡大していく必要があります。 ・ 平成28年に開催されたアビリンピック※山形大会のレガシーを引き継ぎ、県民の障がい者への理解をより一層深めていくとともに、産業界の「障がい者の職業能力に対する理解」を進め、働く場、活躍の場を増やしていく必要があります。     [今後の取組方向] ○ 県は、企業と障がい者双方のニーズや現状を把握しながら、効果的な訓練を実施していくため、ハローワークや支援機関等との連携を強化していきます。 ○ 県は、訓練事業の周知と障がい者雇用への理解の促進を図り、障がい者の訓練機会の確保や、就職へ向けた支援の拡充に努めていきます。 ○ アビリンピックに参加することは、障がい者自らの努力によって、社会に参加する自信と社会で生きていく誇りを持つことにつながります。県では、県大会開催への協力や、全国大会参加者の引率等について、関係機関と連携しながら引き続き取り組んでいきます。 ※ アビリンピック:正式名称は「全国障害者技能競技大会」。親しみやすいものとするため、「アビリティ」(ABILITY・能力)と「オリンピック」(OLYMPICS)を合わせた、「アビリンピック」を愛称としている。障がいのある方々が、日頃培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障がいのある方々に対する理解と認識を深めてもらい、その雇用の促進を図ることを目的として開催されている。 A 障がい者の雇用促進 (山形県内の障がい者の雇用状況及び就労支援) [現状] ・ 障害者雇用促進法により、事業主は、進んで身体障がい者、知的障がい者又は精神障がい者の雇入れに努めるとともに、法定雇用率に相当する障がい者を雇用しなければならないこととされています。 ・ 山形県の障がい者の雇用状況について、実雇用率は2.06%(平成30年6月1日現在)と、法定雇用率2.2%を下回っているものの、全国平均2.05%を上回っており、民間企業において法定雇用率を達成している企業の割合も50.8%と、全国平均45.9%を上回っています。 ・ 平成30年4月からは、法定雇用率が0.2%引き上げられ、民間企業2.2%、国、地方公共団体等2.5%、都道府県の教育委員会2.4%となりました。また、障がい者雇用義務の対象に精神障がい者が加わりました。 ・ 令和3年4月までには、法定雇用率が更に0.1%引き上げとなります。 ・ 就職を希望する障がい者、又は在職中の障がい者などが抱える課題に応じて、障がい者に就業面及び生活面での一体的な支援を行う障害者就業・生活支援センターを県内4地域に設置しています。 ・ 就労移行支援事業所等を利用して一般就労をした障がい者については、就労に伴う生活面の課題に対する支援を行う就労定着支援により職場定着を推進しています。 ・ 山形障害者職業センターにおいて、職場適応援助者(ジョブコーチ)を配置し、障がい者、事業主及び家族に対して、障がい者の職場適応に関するきめ細かな支援を実施しています。  [課題] ・ 障がい者が就労し自立していくためには、障がい者本人が仕事以外の面において、生活のリズムの確立、体調管理、金銭管理及び生活設計など、日常生活に必要な能力や習慣を習得していく必要があります。   [今後の取組方向] ○ 県は、障害者就業・生活支援センターにおいて、日常生活の自己管理に関するアドバイス等、障がい者本人に対し生活面での支援を行うことで確実な就労に結びつくよう、労働局等の関係機関と密接な連携を図りながら支援を行っていきます。 ○ 県は、地域における関係機関等のネットワークを活用し、関係者間による情報交換や各種研修等の開催を通じ、障がい者の就労の場の確保に努めます。 ○ ジョブコーチの活用が更に促進されるよう、県において、セミナーやホームページ等において好事例を紹介するなどして、積極的に周知を行っていきます。 (山形県及び山形県教育委員会における雇用の促進) [現状] ・ 県の知事部局、企業局及び病院事業局(以下「知事部局等」という。)における法定雇用率の算定に係る障がい者の把握について、厚生労働省の通知やガイドラインによらない不適切な計上を行っていたことが平成30年8月に判明し、その後、正しい方法で算定し直した平成30年6月1日現在の障害者雇用率は1.28%であり、法定雇用率の2.5%を大きく下回っています。 ・ 知事部局では、障がい者の職域開発や支援体制の構築を図るため、平成21年度から、障がい者トライアル雇用として、障がい者を非常勤嘱託職員の身分で、6か月以内の期間を1単位として最大1年の雇用を実施する制度を設けています。このトライアル雇用でマッチングが図られた障がい者については、一般の非常勤嘱託職員(1年更新、原則最長3年)として雇用を継続し、又は知的障がい者については、5年間を基本単位として最長60歳まで更新できる非常勤嘱託職員として雇用することとしています。 ・ また、平成22年度からは、一般の職員採用試験とは別に、身体障がい者を対象とした選考試験を実施してきました。さらに、障害者雇用率の不適切な算定を受けて、平成31年1月には、身体障がい者に加えて、知的障がい者及び精神障がい者も対象とした選考試験を初めて実施しました。 ・ 一方、県教育委員会の平成30年11月1日現在の障害者雇用率は2.42%(法定雇用率2.4%)となっています。 ・ 県教育委員会では、これまで身体障がい者を対象とした教員採用試験の実施や、知的障がい者の長期的・継続的な雇用制度の創設、身体障がい者を非常勤職員として県立高校で雇用する取組などを実施しています。 [課題] ・ 知事部局等の障害者雇用率が法定雇用率に大きく満たない状況にあることから、障害者雇用率の算定に係る適正な事務執行の徹底を図りながら、法定雇用率の達成に向けた障がい者の雇用の推進を図る必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県においては、障がい者を対象とした選考試験を継続して実施し、正職員としての採用を進めていくとともに、知事部局では、障がい者が従事可能な業務の掘り起しやトライアル雇用の推進等による非常勤職員としての採用を拡大します。また、雇用の拡大と定着に向け、専門的知見を有するアドバイザーの委嘱、各職場や雇用した各障がい者に対する相談支援体制の整備、障がい者の勤務条件の改善を進めるなどして、障がい者が働きやすい職場環境づくりを推進します。 ○ 企業局では、障がい者が十分な能力を発揮しやすい業務を掘り起し、非常勤嘱託職員として採用する等、障がい者雇用を促進します。 ○ 病院事業局では、病院内の診療行為関連以外の業務を中心として、障がい者がそれぞれの状況に応じて十分な能力を発揮しやすい業務を掘り起し、非常勤職員として採用する等、障がい者雇用を促進します。 ○ 県教育委員会は、引き続き、法定雇用率の達成に向け、各種取組の着実な実施と充実を図り、雇用を促進していきます。  (特別支援学校における就労移行支援) [現状] ・ 平成20年度から、重度の知的障がい(療育手帳A)のある未就労の特別支援学校卒業生や卒業予定者等を非常勤嘱託職員として雇用しています。平成23年度からは、すべての知的障がいの特別支援学校へ雇用事業を拡大し、軽度知的障がいまでも対象に含めることによって、障がい者の働く意欲をより一層高めて、学校以外の職場に就労できるように支援に努めています。 ・ 特別支援学校に就労支援コーディネーターを配置し、実習先や就労先の開拓を行い、特別支援学校高等部の生徒の就労及び自立や社会参加を支援しています。また、高等学校と連携して、高等学校に在籍する発達障がい等の障がいのある生徒の就労の支援も行っています。 ・ ここ数年、社会の障がい者雇用に対する認知度が広がったこともあり、高等部卒業生の就労率は高い数値で推移しています。認知度が広がったことにより、今までは就労を諦めていた、より障がいの重い生徒も、就労に向かう傾向が強くなってきています。 [課題] ・ 特別支援学校の卒業生を特別支援学校の非常勤嘱託員として雇用する「特別支援学校ステップアップ雇用事業」を、未就労者に限らず、退職した卒業生等が次の就労先へ雇用してもらうための準備として、幅広く活用してもらう必要があります。そのためには、より多くの対象者に周知していく必要があります。 ・ 特別支援学校への就労支援コーディネーターの配置は県内で1名となっており、2年毎にコーディネーターが配置される重点地域を変え、実習先等の開拓を行っていますが、重点地域として取り組んでいない地域では、就労先、実習先の開拓が十分ではありません。 ・ また、就労支援コーディネーターが開拓した実習先等の情報は、障がいのある生徒の就労支援に対して有効な情報となっていますが、特別支援学校間の共有がメインとなっており、高等学校においてもこのような情報を必要としている学校があります。 ・ 障がいの重い生徒も就労に向かう傾向が強くなってきていますが、その結果、就労しても実際の就労先とのミスマッチにより、短い期間で退職している卒業生も出ています。 [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、ハローワーク等の就労関係機関との連携をこれまで以上に密にし、就労に向けてステップアップを必要としている方に対して「特別支援学校ステップアップ雇用事業」を適切に周知し、効果的な支援となるように取り組みます。 ○ 県教育委員会は、重点地域としてまだ取り組んでいない地域に対して、計画的に就労支援コーディネーターを配置していきます。 ○ また、就労支援コーディネーターが開拓した実習先や就労先の情報の有効活用を一層進めるため、特別支援学校間に限らず、同じ地域の高等学校と連携を深めていきます。 ○ 県教育委員会は、就労支援コーディネーターの活動や、障害者就業・生活支援センター等の関係機関との連携により、就労先とのミスマッチ解消に取り組んでいきます。  B 福祉的就労への支援 [現状] ・ 県は、就労継続支援B型事業所※で働く障がい者の工賃向上を目的として、平成30年4月に「第三期山形県工賃向上計画」を策定し、障がい者の福祉的就労の充実に向けた支援を行っています。 ・ 計画の対象となる本県の就労継続支援B型事業所等の平均工賃は、平成29年度実績で月額11,016円となっており、平成28年度実績の11,430円に比べ414円、率にして3.6%減少しています。なお、全国の平均工賃も、月額15,603円と障がい者が地域で自立した生活を送るための十分な水準とはなっていませんが、本県は全国平均に比べても低い状況となっています。 [課題] ・ 今後さらなる工賃の向上を図るためには、事業所の意識向上のほか、「商品の改良や新たな開発」、「商品の販路拡大」、「事業所製品のPR」等に取り組んでいく必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県は、毎年度、事業所に対し工賃向上計画の進捗状況、評価・検証結果、必要に応じて行う見直しの報告等を求めることにより、事業所における工賃向上に関するPDCAサイクルの確立と事業所の更なる意識向上を目指します。 ○ 県は、企業的経営手法の導入による効果的な経営改善を図るために、経営コンサルタント等専門的な知識を有する者を活用した工賃向上研修会を開催し、現状分析や経営改善に必要な知識の習得を支援していきます。また、専門的な知識を有する者をアドバイザーとして事業所へ派遣し、事業所の実情を踏まえた個別指導を行い、事業所の工賃向上に向けた具体的な取組を支援していきます。 ○ 県は、工賃向上に積極的に取り組もうとする事業所に対し、インターネットを活用した複数事業所の商品販売を通して、商品のPRや販路拡大を支援します。 ○ 県は、障害者優先調達推進法の主旨に基づき、毎年度、障がい者就労施設等からの物品及び役務の調達を推進するための方針を定め、工賃向上のための受注機会の確保に努めます。また、市町村等に対し、毎年度の調達方針の策定や調達の推進等について働きかけるほか、県内事業所製品等の情報提供により、市町村等も含めた県内公的機関の優先調達を推進します。 ○ 県は、県内事業所が作成した木製名札を職員が着用し、対外的にPRするなど、県内事業所製品の普及に努めます。 ※ 就労継続支援B型事業所:障害福祉サービスの一つで、一般企業等で雇用契約に基づく就労が困難な人に、就労する機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行う。 C 農福連携・林福連携の推進 [現状] ・ 県は、農林業分野における障がい者の就労機会の拡大を図るため、平成28・29年度に、障がい者が農林作業に従事するモデル事業を実施し、その中で、一連の作業を細かく分けたり手順をわかりやすくしたりすることで、障がい者が従事できる農林作業が多くあることを確認しました。 ・ 県は、農福連携※を本格的に推進するため、平成30年4月に「山形県農福連携推進センター」を設置し、農業者等と障がい者施設との仲介役となる「農福連携推進員」を1名配置して、農業者等と障がい者施設の施設外就労(農作業の請負)とのマッチングや農業生産を行う施設に対して農業技術指導を行う専門家派遣等の支援を行っています。 ・ また、平成30年5月には、農業と福祉の関係機関・団体で構成する「農福連携プロジェクトチーム」を設置し、農福連携に取り組む体制を整備しました。 ・ 県では、地域の豊かな森林資源を「森のエネルギー」、「森の恵み」として活かしていく『森(モリ)ノミクス』により、林業の振興を目指しており、林福連携も併せて推進しています。 [課題] ・ 県内の就労継続支援B型事業所の平均工賃は全国と比較しても低く、障がい者が地域で自立した生活を送るためには、十分な水準とはなっていません。 ・ 少子高齢化、人口減少が進む中、農林業分野においては、労働力が不足しており、様々な分野からの労働力確保について検討が行われています。 ・ 農福連携・林福連携を効果的に進めるためには、農業者及び林業者が障がい者に対する理解を深めるとともに、施設指導員等も農林業に関して一定の知識を持つことが必要となります。 [今後の取組方向] ○ 県は、本県産業の特徴である農林業と障がい福祉とが就労を通して連携する農福連携・林福連携の取組をさらに推進することにより、障がい者の就労機会を拡大し自立を促進するとともに、農林業分野において不足している労働力を補い、農林業と福祉の双方にとって利益のある事業となるように取り組みます。 ○ 県は、健康福祉部、農林水産部が互いに協力し、「農福連携プロジェクトチーム」を核として、引き続き農福連携を推進していきます。 ○ また、農福連携推進員の活動により、農業者等と施設外就労を行う事業所とのマッチング支援等を継続して行います。 ○ 県は、自ら農業経営を行う障がい者施設に対しては、農作業の技術的助言等を行う専門家派遣等の支援を行います。 ○ 県は、「山形県農福連携推進センター」に集約された、農業と福祉双方のニーズや情報を共有し、地域の実情に応じた取組が柔軟に行われるよう、市町村との連携を図ります。 ○ 県は、県内4地域ごとに現地視察研修・交流会等を実施し、障がい者が従事可能な作業や必要な配慮について学び、農業者の理解の促進を図るとともに、施設指導員等に農業に関する情報を提供することにより、農福連携に取り組む農業者・障がい者施設の増加につなげます。 ○ 県は、農業者と障がい者が一緒に作った農作物や加工品を販売する農福連携マルシェやセミナー等の開催により、農福連携に対する県民の理解を広げる取組を進めます。 ○ 県は、農福連携と共に、林福連携を推進するため、農福連携推進員が林業とのマッチングを行うなど、林業分野における就労を推進していきます。 ※ 農福連携・林福連携:労働力不足・担い手不足等の課題を抱える農林業分野と、障がい者等の就労機会の拡大、自立促進等の課題を抱える福祉分野が連携し、障がい者等が農林業分野で働くことによって、双方の課題の解決を図る取組のこと。 【障がい者の所得向上の事例】 (クロモジで香りビジネス)  小国町の障害者就労継続支援B型事業所「まんまる」では、町に自生するクロモジを活用した香りビジネスに取り組んでいます。クロモジは、クスノキ科の低木で香りがよく、楊枝等に利用されていましたが、枝葉に含まれる油から精製したアロマオイルは製品になると1m?で数千円の値がつきます。新技術を持つ研究者の協力も得て、抽出量をこれまでの数倍に高めることにも成功しました。障がい者がクロモジの植林と収穫、オイルの抽出と精製という付加価値の高い作業を担うことで、これまで月数千円の工賃を数倍に伸ばしていくことが可能となります。 (4) 文化芸術活動・スポーツ等を通した社会参加の推進  @ 文化芸術活動を通した社会参加の推進  [現状] ・ 平成30年6月に「障害者による文化芸術活動に関する法律」が施行され、全国的にも障がい者の文化芸術活動に関する気運が高まりを見せています。 ・ 県は、「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」(平成28年4月施行)において、共生社会の実現に向けた施策として、障がい者が文化芸術活動などの社会参加活動を円滑に行えるよう、参加の機会を確保していくことを明記しました。 ・ 本県の障がい者の文化芸術活動については、平成28年9月から推進拠点として位置づけられている「やまがた障がい者芸術活動推進センター」が、芸術作品の常設展示、企画展の開催、県内障がい者の芸術活動の情報発信等を行っています。障がい者の作品は、ほかに、法人・施設等における文化祭やイベント開催と併せた展示のほか、法人・施設等が独自に設置しているギャラリー等で展示されています。 ・ 障がい者への県民の理解を促進するため、障がい者との触れ合いをテーマとした体験作文と12月の障がい者週間の普及啓発のためのポスター原画を募集し、優秀な作品を表彰しています。  [課題] ・ 県民が、身近に障がい者芸術を享受できるよう、また、障がい者に対する理解が進むように、優れた文化芸術の鑑賞機会や活動機会の充実などを図っていく必要があります。 ・ 「やまがた障がい者芸術活動推進センター」を中心とした障がい者の芸術活動を推進するとともに、障がい者からの芸術活動に関する各種相談に応じていくなど、当該センターの機能の充実を図っていく必要があります。 ・ また、県民誰もが、年齢、障がいの有無、経済的状況等にかかわらず文化活動に取り組める環境づくりを更に進めていく必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、引き続き、「やまがた障がい者芸術活動推進センター」の活動を中心に、県民が優れた作品を鑑賞する機会や、文化活動を行う場の提供を行うとともに、芸術活動に取り組む障がい者の相談支援を行います。 ○ 県は、隣県と合同で障がい者芸術作品展を開催し、優れた作品や話題性のある作品を相互に展示することにより、県民が障がい者芸術に関心を持ち、親しむ機会を提供するとともに、芸術活動を行っている本県障がい者が、隣県の方と交流し活動範囲を広げる機会とします。 ○ 県は、障がい者の自立と社会参加意欲の高揚を図るため、障がい者の文化芸術活動の充実について、施設運営者に対し働きかけます。 ○ 県は、市町村や関係団体と連携を図りながら、各種作品展等の開催を推進します。 ○ 県は、障がい者にとってのバリアを取り除く取組を含む文化イベントを認証する「beyond2020プログラム」の推進や、県民芸術祭への障がい者の参加促進を通じ、年齢や障がいの有無等にかかわらず文化を鑑賞、創造、参加することができる環境づくりを進めます。  A スポーツ活動を通した社会参加の推進  [現状] ・ 障がい者スポーツは、障がい者の体力の維持・増強、機能回復に有効であることはもとより、障がい者が競技等を通してスポーツの楽しさを体験するとともに、県民の障がいに対する理解を深め、障がい者の自立と社会参加に寄与するものです。 ・ 「スポーツ基本法」において、 障がい者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障がいの種類や程度に応じた必要な配慮をしつつ、スポーツを推進することが求められています。 ・ 「山形県スポーツ推進計画」において、年齢、性別、障がいの有無を問わず、ライフステージに応じて楽しめるスポーツ機会の提供等を施策目標に掲げています。 ・ 県は、障がい者が取り組みやすい多様なスポーツの普及拡大に努めるとともに、全国障害者スポーツ大会へ県選手団を派遣しているほか、各種スポーツ大会やレクリエーション大会の開催を支援しています。 ・ 2020年パラリンピックの東京開催を控え、競技スポーツとしての障がい者スポーツが注目されており、その一層の普及と競技力の向上が期待されています。 ・ 県は、平成26年度に「山形県障がい者スポーツ競技力向上等検討委員会」を設置し、有望選手の発掘方法や選手のサポート手法等について検討を行っており、東京パラリンピック等におけるメダリスト輩出に向けて、強化指定選手を認定し、経済的支援のほか、選手の栄養面・心理面など、スポーツ医・科学の面からも支援を行っています。 ・ 特別支援学校においては、個々の障がいの実態に合わせ、体育や課外活動等様々な場面を捉えて運動に親しみ、体力の向上を図る取組を行っています。  [課題] ・ 障がい者スポーツの分野においては、より多くの障がい者が能力を発揮できる機会の拡大が重要であり、障がい者スポーツ人口の拡大と関係機関の活動支援が望まれます。 ・ 地域において障がい者のスポーツ活動を進めていくにあたっては、障がい者スポーツを普及する人材や大会開催等を支えるボランティアの確保が課題となっています。 ・ 障がい者スポーツが競技スポーツとして発展していくためには、競技団体の理解と協力のもと、有望選手の発掘や育成のためのスポーツ指導者等の確保が必要です。 ・ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、障がいのある児童生徒が、より一層、スポーツに親しみ、意欲的に体力の向上を目指すことができるよう取り組んでいくことが必要です。また、取組を進めるにあたっては、障がいのある児童生徒と障がいをもたない児童生徒が交流する、共に活動する機会を充実させていくことも必要です。  [今後の取組方向] ○ 県は、障がい者が取り組みやすい多様なスポーツ・レクリエーションの普及を図り、社会参加の機会拡大に努めるとともに、関係団体等との連携を強化し、障がい者スポーツを推進します。 ○ 県は、障がい者が地域において気軽に参加できるよう、スポーツ大会の種目やレクリエーション行事の内容を工夫するとともに、市町村等との連携・協力により、地域住民との交流が図られるような体制づくりを進めます。 ○ 県は、障がい者スポーツに対する県民の理解をさらに深めるため、引き続き関係機関と連携し、障がい者スポーツ交流会などにより、障がい者と健常者の交流を推進します。 ○ 県は、スポーツ大会やレクリエーション大会の開催、全国障害者スポーツ大会への県選手団派遣等について、継続して支援するとともに、各種大会の開催をサポートするボランティアや指導者等、障がい者スポーツを支える人材の育成・確保に努めます。 ○ 県は、障がい者のスポーツクラブ等の活動について、山形県障がい者スポーツ協会を通して支援します。 ○ 県は、「山形県障がい者スポーツ競技力向上等検討委員会」を中心に、スポーツ関係団体の相互連携による選手発掘や指導者の確保、選手への支援方法等について検討を進め、障がい者スポーツの競技力向上を図ります。 ○ 県は、障がい者スポーツの普及及び競技力向上等に向けた各種支援策の実施については、関係団体と連携・協力を図りながら進めます。 ○ 県は、2020東京パラリンピックにおける本県選手のメダル獲得を目指し、有望選手への支援・サポートを実施します。 ○ 県教育委員会は、関係団体等と連携し、障がいの有無に関わらず、ともに体を動かす喜びを味わう活動が展開できるような、学校における体育・スポーツ授業の在り方について検討します。 ○ 特別支援学校においては、オリンピックやパラリンピックの種目を学校活動や交流活動に採り入れるなどして、個々の障がいの実態に合わせ、より一層、スポーツに取り組む機会の充実を図っていきます。        2 地域で活き活きと生活するための基盤整備 (1) 相談支援の充実・ネットワーク化の推進  相談支援は、障がい者の意思決定の支援に配慮しつつ、障がい者及びその家族に対し適切に行われ、また広く活用されるようでなければなりません。相談支援を実施している機関は多岐にわたるため、市町村単位、圏域単位、県単位という段階に応じて関係機関の連携を図る必要があります。  児童期、成人期、高齢期の各ライフステージにおいて、関わる相談機関は異なりますが、関係機関相互の有機的連携のもとに、一貫した総合的な相談体制を構築することが必要です。  また、障がい者の障がいの種別、性別、状態等に対応し総合的な相談支援を提供する体制の整備が必要です。  @ 市町村における総合的な相談支援体制の充実  市町村は障がい者やその家族からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の障がい福祉サービスの利用支援等、必要な支援を行うこととされています。    (児童期の相談)  [現状] ・ 障害者総合支援法及び児童福祉法では、障がい児の家族からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言及び通所型障がい福祉サービスの利用支援等の必要な支援を市町村が行うこととされています。 ・ 市町村の母子保健部門と児童福祉部門とが連携するとともに、保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童については、要保護児童対策地域協議会が中心となって関係機関が連携し、児童及びその保護者への支援を行っています。 ・ 県自立支援協議会では、市町村単位の障がい福祉施策の中核的な役割を担う市町村(自立支援)協議会の相談支援体制や取組状況を把握・評価し、障がい者等への支援体制の強化やネットワークづくりに向けた支援を行っています。    [課題] ・ 各市町村では地域における障がい者への支援の体制の整備にあたり、地域内の関係機関等で構成される市町村(自立支援)協議会を活用して関係機関の連携強化、社会資源の開発等を推進する必要があります。 ・ また、医療的ケアが必要な障がい児に対しては、相談支援を含む包括的な支援の体制を整備する必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、市町村における児童家庭相談及び要保護児童対策地域協議会の機能強化を図るための取組を支援していきます。 ○ 県は、引き続き県自立支援協議会にて市町村(自立支援)協議会の実態把握に努め、市町村における総合的な相談支援体制の充実に向け、関係機関の連携強化、社会資源の開発等を推進します。 ○ 県は、医療的ケアが必要な障がい児の支援に関わる機関が連携を図るための協議の場を設置し、包括的な支援体制の整備に向けた対応策の検討等を行います。 (成人期の相談)  [現状] ・ 総合的な視点から障がい者の地域生活を支えるため、平成30年に障害者総合支援法の一部が改正され、自立生活援助等のサービスが制度化されました。 ・ 県自立支援協議会では、市町村単位の障がい福祉施策の中核的な役割を担う市町村(自立支援)協議会の相談支援体制や取組み状況を把握・評価し、障がい者等への支援体制の強化やネットワークづくりに向けた支援を行っています。(再掲) ・ 県では、市町村が配置している身体障害者相談員、知的障害者相談員に対して、各種情報の提供や相談対応能力等の向上を図るための研修会等を実施し、相談員の資質の向上に努めています。 ・ 民生委員・児童委員は、地域住民の様々な相談に応じ、必要なサービスに繋げることや福祉サービスに関する情報を適切に提供するなど、地域と行政を繋ぐ重要な役割を担っており、県内では、約2,600人の民生委員・児童委員が活動しています。 ・ 民生委員・児童委員に寄せられる相談は多岐に渡っていることから、県では、社会福祉制度への理解を深めるとともに相談援助活動等を行ううえで必要な知識等の習得など資質向上に向けた研修を実施しています。    [課題] ・ 障がい者の地域生活を支える新サービスの円滑な利用のため、各市町村における相談支援体制の充実が求められているところです。 ・ 各市町村では地域における障がい者への支援の体制の整備にあたり、地域内の関係機関等で構成される市町村(自立支援)協議会を活用して関係機関の連携強化、社会資源の開発等を推進する必要があります。(再掲) ・ 人口減少や少子高齢化の進展等により、本人や世帯が抱える課題は多様化・複雑化しており、住民に身近な相談役として民生委員・児童委員の役割は重要性を増しています。 ・ 多様化する福祉ニーズや、変化が著しい福祉制度の動きを踏まえ、民生委員・児童委員のなり手不足の解消と資質の向上を図る必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、引き続き県自立支援協議会にて市町村(自立支援)協議会の実態把握に努め、市町村における総合的な相談支援体制の充実に向け、関係機関の連携強化、社会資源の開発等を推進します。(再掲) ○ 県は、民生委員・児童委員の活動に必要な知識・技能を習得するための研修を実施し、資質向上を図ります。 ○ 県は、民生委員・児童委員の制度や活動内容、守秘義務等について、県の広報誌やホームページ等で県民に広く周知し、活動しやすい環境を整えます。 ○ 県は、市町村が配置している身体障害者相談員、知的障害者相談員に対する相談対応能力等の向上を目的に開催する研修会等を通じ、引き続き相談員の資質の向上に努めます。 (高齢期の相談)  [現状] ・ 各市町村では、地域における包括的なケアを実施し、地域住民の心身の健康の保持と生活の安定のための必要な機関として地域包括支援センターを設置しています。 ・ 地域包括支援センターには、原則として保健師、主任介護支援専門員、社会福祉士が配置されており、介護予防事業のマネジメント、総合相談・支援、権利擁護事業及び地域の介護支援専門員の支援、という4つの機能を担っています。 ・ 地域包括支援センターは、地域共生社会の実現に向けた取組として、高齢者に加えて、障がい者、児童に対する相談に応じ、関係機関と連絡調整を行う包括的な支援体制づくりに努めています。  [課題] ・ 地域サービスの活用や利用者の状態に適応したサービスの提供がなされるには、地域包括支援センター職員に高い資質が要求されることから、センター職員に対する業務研修や人材育成が重要になっています。 ・ また、高齢者のみならず包括的な総合相談窓口としての、初期相談に対応する技術や、地域関係者とのネットワーク形成スキルの習得などもセンター職員に求められています。  [今後の取組方向] ○ 県は、地域包括支援センター職員の資質向上を図るための研修を実施します。また、センター事業の円滑な実施と問題解決のため地域包括支援センター間の協力体制の構築を図ることを目的として、職員情報交換会を実施します。 ○ また、地域包括支援センターの機能強化の方向として、先進地の情報提供等により、センター機能強化を支援するとともに、センターを設置している市町村に対し、地域支援事業交付金により財政的支援を行います。    A 障がい保健福祉圏域(県内4地域)における相談支援ネットワークの強化  障がい保健福祉圏域は、市町村だけでは対応困難な各種のサービスを面的・計画的に整備することにより、広域的なサービス提供網を築くため、複数市町村を含む広域圏域として設定します。本計画においては、「山形県障がい福祉計画(第5期障がい福祉計画及び第1期障がい児福祉計画)」の圏域及び「山形県保健医療計画」の二次保健医療圏との整合性を図り、村山、最上、置賜、庄内の4圏域とします。 圏 域 構 成 市 町 村 村 山 山形市、寒河江市、上山市、村山市、天童市、東根市、尾花沢市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町 最 上  新庄市、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村 置 賜  米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町 庄 内  鶴岡市、酒田市、三川町、庄内町、遊佐町    [現状] ・ 各圏域単位に、県自立支援協議会圏域相談支援連絡会を置くとともに、県自立支援協議会相談支援推進員を指名し、圏域における障がい者及び障がい児等にかかる相談支援ネットワークを構築しています。 ・ 保健所では、精神保健福祉業務の一環として、精神保健福祉相談員や保健師を配置し、広範にわたる相談への対応を行っています。 ・ 障がい者の就業や就業に伴う生活上の支援を行うため、県内4圏域全てに障害者就業・生活支援センターを開設し、窓口での相談や職場訪問等を行っています。 ・ 発達障がい者支援体制の構築については、圏域単位に保健所と関係機関が連携し、課題の共有及び支援・連携体制推進に向けた会議や、関係者の発達障がいへの理解と支援技術向上のための研修会等を開催しています。 ・ 難病の患者等の療養上の不安解消を図るとともに、きめ細かな支援が必要な要支援難病患者に対する適切な在宅療養支援を行うため、各保健所で、医療福祉相談事業や訪問相談事業等を実施しています。 [課題] ・ 自立支援協議会相談支援推進員には、市町村(自立支援)協議会の活性化を促し、圏域の相談支援体制の充実を図る役割が求められています。 ・ 進学や就職等ライフステージの変化により、支援を担う関係機関の引継ぎが不十分な場合があります。 ・ 障がい者やその家族のニーズが障がい福祉分野で完結せず、保健・医療・教育・労働等複合的になってきており、他の分野と連携を図りながら対応していく必要があります。 ・ 難病の患者が地域で安心して療養しながら暮らしを続けていくことができるよう、保健・医療・福祉等多方面から支援していく必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県では、引き続き、県自立支援協議会圏域相談支援連絡会及び県自立支援協議会相談支援推進員の活動を通し、圏域における障がい者及び障がい児等にかかる相談支援体制の充実強化を行います。 ○ 県は、県内4圏域に開設している障害者就業・生活支援センターを通して、就職を希望する又は在職中の障がい者からの相談等に対応するため、山形労働局と共同して就業と生活の両面から一体的な支援を推進します。 ○ 県は、利用者個々のニーズに応じたサービスの選択に資するため、圏域内の障がい福祉サービス等について引き続き情報提供を行います。 ○ 県は、地域保健や福祉における専門的・技術的な拠点としての役割を十分に発揮するために、総合支庁が自ら行う保健福祉サービスの充実、また、市町村への支援及び広域的な連絡調整機能などの充実を図っていきます。 ○ 県は、各種相談支援に携わる職員を研修会に派遣するなど、専門的スキルの向上を図るとともに、相談窓口の周知に努めます。 ○ 県は、保健所が開催する地域精神保健福祉連絡協議会において、精神障がい者やその家族からの相談に対して、望ましい相談機関相互の連携のあり方など、具体的事例に即して検討を行うとともに、関係機関のネットワーク化を図るなど、圏域単位の対応力の強化に努めます。 ○ 県は、発達障がい者支援体制について、各保健所において圏域単位に発達障がい者支援体制推進会議を開催し、関係機関と連携し継続した支援体制の強化に取り組むとともに、発達障がい児(者)支援に携わる関係者への理解促進と支援技術向上のための研修等を開催し、身近な支援者の育成を図ります。 ○ 県は、学業・就労と治療を両立できる環境を整備するため、保健所が中心となって、難病対策地域協議会を開催し、地域における難病の患者への支援体制について情報を共有し、医療・保健・福祉の連携強化を図ります。 ○ 県は、各市町村における地域包括支援センターの円滑な運営を目的として、圏域ごとに地域包括支援センターの連絡調整会議を開催することで、高齢者施策からも相談支援ネットワークの強化を図ります。 B 県全体の専門的な相談機関の充実 (精神医療・ひきこもりに関する相談機関) [現状] ・ 精神保健福祉センターは、こころの健康相談や精神医療に係る相談などに対応していますが、高齢化の進展、生活環境や価値観の多様化、人間関係の複雑・希薄化等を背景に、心の健康に関する相談件数は年々増加し、心の健康に不調を抱えている人が増加しています。 ・ 精神保健福祉センター内ひきこもり相談支援窓口「自立支援センター“巣立ち”」において、ひきこもりに悩んでいる本人やその家族からの相談対応と、ひきこもりに関する理解促進・情報発信を継続的に実施しています。 ・ 精神保健福祉センターは、医療・教育機関、NPO等ひきこもり相談支援に携わる関係機関との情報交換を目的とした「ひきこもり地域支援関係機関連絡会議」を毎年開催しており、関係機関同士の連携強化を進めています。 ・ 県と民間団体が協働し、「若者相談支援拠点」を県内4地域6か所に設置しています。相談窓口を開設するほか、関係機関との連携強化、居場所づくりなど、ひきこもり等の困難を有する若者及びその家族の支援体制整備を進めています。 ・ 若者支援に携わる医療、教育、雇用等の各関係機関との情報交換を目的とした「山形県子ども・若者支援地域協議会」を開催し、関係機関同士の連携強化を進めています。 [課題] ・ 社会環境の変化とともに、依存症関連相談やひきこもりなど、相談支援における難易度も高まっており、専門的スキルの向上や地域における精神保健福祉行政推進のための調査研究等の充実が必要です。また。様々な要因がからみあう複雑困難な相談ケースが多くなっており、地域の保健・医療・福祉の関係機関・団体における相談支援技術の向上が必要となっています。 ・ ひきこもりの長期化・高齢化が進んでおり、早期解決に向けた支援へのニーズは高まっていますが、ひきこもる要因は多岐に渡ることから、支援者のスキルアップを図るとともに、異なる分野の関係機関同士が円滑に連携し、多角的な支援を行っていく必要があります。  [今後の取組方向] ○ 精神保健福祉センターは、保健所、市町村等関係機関の精神保健福祉業務に従事する職員等に対する専門的研修を行い、支援技術の向上を図るとともに、保健所、市町村、民間支援団体などが抱える地域の複雑困難なケースについて、専門的立場から技術指導及び技術援助を行うとともに、関係機関との連携に積極的に参画します。 ○ 県は、「自立支援センター“巣立ち”」による相談支援等を継続していくとともに、ひきこもり相談支援者を対象とした専門研修会の開催により、支援者のスキルアップと、関係機関同士のさらなる連携強化に努めます。 ○ 県は、「若者相談支援拠点」による相談支援等を継続していくとともに、「山形県子ども・若者支援地域協議会」を開催し、関係機関同士のさらなる連携強化に努め、ひきこもり等の困難を有する子ども・若者に対する支援を効果的かつ円滑に実施します。 (発達障がいに関する相談機関) [現状] ・ 発達障がい児(者)に対し、個別の相談支援・発達支援、関係機関との連絡調整、障がい理解のための普及啓発等の総合的支援を行う、山形県発達障がい者支援センターを、県立こども医療療育センター内に設置し運営しています。 ・ 児童福祉法に定める県立福祉型障がい児入所施設(最上学園、やまなみ学園、鳥海学園)では、発達障がい児を主たる対象とした療育相談事業を実施しています。なお、平成25年4月から療育相談の担当職員を配置して支援機能の強化を図っています。 [課題] ・ 発達障がいへの関心の高まりから、発達障がい児(者)の支援ニーズが高まっており、市町村や関係機関等の相談対応力の向上や、困難事例に対応できる連携支援体制の整備等、地域での相談・支援体制の強化が求められています。 ・ 発達障がい者支援センターでは、発達障がい児の地域における生活の支援のため、引き続き療育機関等との連携を強化する必要があります。 ・ 発達障がいの認知度向上等に伴い、県立福祉型障がい児入所施設では、地域の中核的療育支援機関として、療育相談等の職員の技術向上を支援することが求められています。  [今後の取組方向] ○ 発達障がい者支援センターは、発達障がい支援の中核的・専門的機関として、発達障がい児(者)やその家族に対する相談支援等を行うとともに、関係機関と連携しながら、ライフステージに対応した地域支援体制の充実を図っていきます。 ○ 県立こども医療療育センターは、在宅障がい児に係る療育相談・指導の専門機関として今後とも地域生活を支援するとともに、地域の中核的な療育支援施設である児童発達支援センターとして、その専門機能を活かし、療育機関に対して療育技術の指導等を行います。 ○ 県立福祉型障がい児入所施設は、多様化・複雑化が進む入所児の障がいに対し、より的確に対応していくとともに、地域療育の拠点施設として、高まっている療育相談のニーズに応えていくために、施設職員のスキルアップを図っていきます。 (高次脳機能障がいに関する相談機関) [現状] ・ 高次脳機能障がいに関する専門相談機関として、山形県高次脳機能障がい者支援センターを県内に2か所設置し、個別の相談支援、社会復帰支援、障がいの理解促進に取り組んでいます。 [課題] ・ 高次脳機能障がいは、障がい特性から、相談対応には高い専門性を必要とするため、関係機関と連携し、包括的な支援を行うための支援ネットワーク体制の整備が求められています。  [今後の取組方向] ○ 県は、山形市(国立病院機構山形病院)及び鶴岡市(鶴岡協立リハビリテーション病院)に設置している高次脳機能障がい者支援センターおいて、高次脳機能障がい者及びその家族等への専門的相談支援、復学・就労等の社会復帰支援、地域支援ネットワークの整備、高次脳機能障がいへの支援手法等に関する研修等、支援の充実に努めます。 (難病に関する相談機関) [現状] ・ 県は、難病の患者等に対する相談・支援、地域交流活動の促進や就労支援などを行う拠点として、難病相談支援センターを設置しており、難病相談支援員が、難病患者等からの療養生活上、日常生活上の相談に対する対応や情報提供を行っています。 [課題] ・ 難病の患者等が持つ様々なニーズに対応するため、医療・保健・福祉等関係機関と連携した支援が必要です。  [今後の取組方向] ○ 難病患者及びその家族の抱える様々な悩みや不安を和らげ、適切な治療を受けながら生活することができるように、難病相談支援センターにおいて、難病に関する情報の発信、各種情報提供や相談対応、ピアサポート等の患者交流事業及び医療機関を始めとする関係機関との連携による患者支援を行い、相談支援機能の充実を図ります。 (その他の相談機関) [現状] ・ 児童相談所では、障がい児に係る相談・指導・判定を始め、療育手帳の判定、精神発達の精密健康診査等を実施しています。 ・ 平成28年4月から県障がい福祉課内に、山形県障がい者権利擁護センターを設置し、障がい者虐待に関する相談対応など障がい者虐待防止に関する業務を行っています。 [課題] ・ 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号)の施行により、障がい者虐待の状況の公表が義務付けられた平成24年度以降、障害福祉施設従事者等による障がい者虐待が毎年発生しているため、障がい者に対する権利擁護や、虐待の未然防止に係る相談体制の充実が求められています。  [今後の取組方向] ○ 児童相談所は、専門的な判定や相談支援を行う機関として、引き続き、市町村を支援していきます。 ○ 県は、山形県障がい者虐待防止・権利擁護研修を引き続き開催し、市町村職員や相談支援事業従事者における、障がい者虐待の専門性の強化を図ります。 (2) 地域生活の支援  @ 早期発見、早期療育体制の整備 [現状] ・ 児童相談所では、障がい児にかかる相談・指導・判定を始め、療育手帳の判定、障害児入所給付費の支給決定事務、精神発達の精密健康診査などを実施しています。また、障がい児施設への入所措置の決定を行っています。 ・ 県教育委員会では、平成25年度から国の委託事業(早期からの教育相談・支援体制構築事業)を中心に事業を実施し、各年度モデル市町村を指定して早期支援体制の整備を図ってきました。いずれの市町においても、園内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの配置、子どもの実態把握や個別の指導計画の作成・活用等、子どもや保護者を適切に支援するための体制整備が進みました。 ・ また、特別な支援が必要な子どもについては、個別の指導計画や個別の教育支援計画を作成して指導・支援を行い、就学の際にこれを引き継いで市町村内の医療・保健・福祉等の関係機関が連携して支援する仕組みを構築してきました。 ・ 市町村では、妊娠期から出産、子育て期にわたる切れ目のない相談支援を行うとともに、1歳6か月児健康診査や3歳児健康診査等の乳幼児健康診査等の母子保健事業を実施しています。 ・ 県は、発見が遅れることで知的障がい等が出現するおそれのある疾病を早期発見し、早期に必要な治療を行うことにより障がいの発生を予防するため、新生児先天性代謝異常等検査を実施するとともに、慢性疾病により長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成を図るため、小児がんなどについて医療費の給付を実施しているほか、小児慢性特定疾病児童等自立支援員を県難病相談支援センターに配置し、自立に向けた相談支援等を実施しています。 ・ 児童福祉法に定める県立福祉型障がい児入所施設では、発達障がい児を主たる対象とした療育相談事業を実施しています。なお、平成25年4月から療育相談の担当職員を配置して支援機能の強化を図っています。(再掲)  [課題] ・ 市町村や保健所、医療機関等において、障がいのある、またはあると思われる児童が、できるだけ早い段階でより適切な医療機関や福祉施設等での診断や治療・訓練、障がい福祉サービスを受けられるように支援していくことが必要です。 ・ 障がい児支援を行うに当たっては、障がい児本人の最善の利益を考慮しながら、障がい児の健やかな成長を支援することが必要です。 ・ これまでは、早期の相談・支援体制の構築を重点に進めてきましたが、これからは、就学前から就労まで続く切れ目ない支援の仕組みの構築が求められています。 ・ 各市町村において早期支援の体制整備が進み、関係機関との連携がなされるようになってきましたが、中には、まだ独自の市町村の巡回相談や連携会議の仕組みがないところがあるなど、取組状況には差があります。 ・ 各市町村において、早期からの切れ目ない支援を確実に引き継ぐために、医療、保健、福祉、教育等の関係機関の連携や近隣の特別支援学校教員による巡回支援の活用など、地域の教育資源を活用した継続的、総合的な支援を行うことが必要です。 ・ 発達障がいの認知度向上等に伴い、県立福祉型障がい児入所施設全体では、地域の中核的療育支援機関として、療育相談等の職員の技術向上を支援することが求められています。(再掲) [今後の取組方向] ○ 障がい児及びその家族に対し、障がいの疑いがある段階から身近な地域で支援できるように、障がい種別にかかわらず、質の高い専門的な発達支援を行う障がい児通所支援等の充実を図ります。 ○ 障がいのある子どもの支援にあたっては、地域の医療・保健・福祉・労働等の関係機関と連携し、互いに協力してチームで支援する体制の構築を目指します。 ○ 県は、疾病の早期発見及び早期治療を図るため、新生児先天性代謝異常等検査を引き続き実施するとともに、慢性疾病により長期にわたり療養を必要とする児童等の社会生活への自立を促進するため、地域の実情に応じた相談支援等の充実を図ります。 ○ 市町村は、子育て世代包括支援センターを設置・運営し、妊娠期から出産、子育て期にわたる切れ目のない相談支援体制を整備するとともに、乳幼児健康診査については、受診率の維持向上に加え、子どもの心身の健康状態を把握して健康増進に役立てるほか、疾病や障がいの発見だけでなく、日頃の子育ての疑問や悩みを相談する場として活用し、未受診家庭の状況把握と受診勧奨を行います。 ○ 県は、子育て世代包括支援センターに配置する、妊娠・出産・子育てに関する相談支援を行う母子保健コーディネーターの研修会を開催し、相談支援の技術力向上を図るとともに、市町村や医療機関等との連絡会議を開催し、関係機関の連携体制強化を推進します。 ○ 県は、ノーマライゼーションの理念に基づき、障がい児の在宅生活を支援し、併せて家庭への育児支援を図るため、市町村と連携し、相談支援と在宅障がい福祉サービスの充実及び療育支援の強化を図ります。 ○ 障がい児への支援は、子どもの障がいの状況、発達段階、障がいに対する親の受容の状況や家族の状況等によって様々な機関が関係していることから、県では、一人ひとりの状況に応じてより適切で総合的な療育の提供と家庭への支援ができるように、各関係機関の連携を図り、市町村(自立支援)協議会の活性化を支援します。 ○ 保健・医療・福祉の関係機関が連携した巡回相談の仕組みの整備や専門家チームの設置など、障がいの早期発見及び早期療育のための市町村独自の体制整備を総合的に推進していきます。 ○ 円滑な就学や就学後の一貫した支援のため、保健・医療・福祉の関係機関が連携し、幼稚園・保育所等で行われた支援を確実に小学校へ引継ぐ体制を構築していきます。 ○ 県立福祉型障がい児入所施設は、多様化・複雑化が進む入所児の障がいに対し、より的確に対応していくとともに、地域療育の拠点施設として、高まっている療育相談のニーズに応えていくために、専門的な研修への職員派遣や県立こども医療療育センターにおける現場実習、施設内での伝達・活用研修の実施等により、施設職員のスキルアップを図っていきます。(再掲)    A 健康の保持・増進  [現状] ・ 障がい者の健康づくりを推進していくための取組として、広く県民を対象とする健康づくりに関する事業を、バリアフリーの会場を選んでの開催や、障がい者を対象とした事業との同時開催等、障がい者も参加しやすい環境づくりに心がけて実施してきましたが、十分とは言えない状況です。 ・ 県立こども医療療育センター以外に、歯科医師、歯科衛生士が常時配置されている障がい児(者)施設はなく、障がい児(者)に対応できる歯科医療機関も限られるため、定期的な歯科健診や必要な歯科診療を受けることが困難です。また、日常の口腔管理も困難なことが多いため、県は、障がい児のむし歯予防対策として、平成22年度から県内ほぼ全ての特別支援学校において、フッ化物歯面塗布事業を実施しています。 [課題] ・ 県は、障がい者の健康の保持・増進を図るため、関係団体等の積極的な参加協力を得ながら、望ましい食環境や運動しやすい環境、受動喫煙のない環境等の健やかに生活できる社会環境を整備することが必要です。 ・ 県は、障がい児(者)支援施設等の関係者や歯科専門職との緊密な連携体制を構築し、むし歯や歯周病予防のため定期的な歯科健診の実施に向けて取り組むことが必要です。 [今後の取組方向] ・ 県は、障がい者の健康の保持・増進を図るため、保健医療専門職と福祉等関係者の連携や、福祉サービスと連携した保健サービスの提供体制の充実を図ります。 ・ 県は、定期的な歯科健診や歯科医療を受けることが困難な障がい児(者)に対し、歯科疾患の予防や定期歯科健診による口腔の健康の保持・増進を図る取組を進めるとともに、障がいの状況に応じた知識や技術を有する歯科専門職を育成するための取組を促進します。  B 福祉用具の利用支援等  (福祉用具等の利用の促進)  [現状] ・ 市町村は、障がい者に対し自立生活支援用具等の日常生活用具を給付又は貸与すること等により、日常生活上の便宜を図り、福祉の増進に努めています。 ・ 障がい者や難病患者の不便を補う用具である補装具や日常生活用具は、年々改良が進み、福祉用具を活用することで、障がいや難病による不便を解消し、自立や社会参加につながり、また、在宅介護者の負担を軽減することができます。 ・ 補装具は購入が原則でしたが、平成30年4月からは、成長に伴い短期間での交換が必要となる障がい児等、購入より貸与が適切と考えられる場合に限り、貸与も可能となりました。 ・ 福祉用具については、介護保険の対象となる方であれば、介護保険制度で対象となる福祉用具を購入し、又は貸与を受けることができます。また、介護保険対象者であっても、障がい特有のニーズに応じた品目は障害者総合支援法により給付・貸与されます。 ・ 県では、平成26年度から、市町村が行う身体障害者手帳の対象とならない軽度・中等度の難聴児に対して補聴器の購入に要する費用の一部を助成する事業に対し、補助金を交付することで、補聴器の早期装用を促し言語習得などの発達支援を行っています。  [課題] ・ 在宅介護者の負担軽減につながる日常生活用具給付事業のニーズが高まっています。 ・ 平成30年12月現在、軽度・中等度の難聴児に対する補聴器購入費助成事業を実施していない自治体が7町村あります。 [今後の取組方向] ○ 県は、障がい者が自立した社会生活が営めるよう、市町村が実施する日常生活用具の給付事業について、身体障がい者更生相談所による指導・助言や事業実施に際しての支援を継続します。 ○ 県は、事業の実施主体となる市町村に対し、軽度・中等度の難聴児に対する補聴器購入費助成事業の実施を促します。  (身体障がい者補助犬の普及促進) [現状] ・ 身体障がい者補助犬とは、「身体障害者補助犬法」に基づいて認定される盲導犬、介助犬、聴導犬をいいます。 ・ 身体障がい者の日常をサポートする犬であり、自立や社会参加を目指す者にとって心強い存在であることから、補助犬を使用することによって社会参加の促進が認められる身体障がい者に対して補助犬の給付を行っています。 ・ 平成30年4月現在、県内では盲導犬7頭が実働しています。 [課題] ・ 公共的施設や不特定多数の者が利用する施設への同伴は可能となっていますが、民間施設に広げること等が課題となっています。  [今後の取組方向] ○ 県は、身体障がい者補助犬を使用することにより、社会参加の促進が見込まれる希望者に対して、地域生活支援事業※により補助犬を給付します。 ○ 県は、身体障がい者補助犬について、県民の理解が深まるよう周知啓発を継続し、同伴可能な民間施設の増加を促進します。 ※ 地域生活支援事業:障害者総合支援法に基づき、県と市町村が役割を分担し、相談支援からレクリエーション等の社会参加を促すものまで、障がい者等に対する幅広い生活支援を実施するもの。  C 在宅障がい福祉サービスの充実 (児童期の対応) [現状] ・ 障がい児が、将来に渡って地域で生活していけるようになるためには、日常の生活を通して生活全般の機能を高めていくことが重要となります。 ・ 障がい児のための在宅生活支援施策としては、居宅介護(ホームヘルプサービス)、短期入所(ショートステイ)、児童発達支援、放課後等デイサービス等のほか、保育所や放課後児童クラブ等の子育て支援施策における障がい児の受入れなどがあります。 ・ 平成28年度に県立こども医療療育センターに医療棟を開所し、常時医療的ケアを要する重症心身障がい児(者)の短期入所受入れの充実を図っています。 ・ 放課後等デイサービスや児童発達支援事業は増加しているものの、地域間での整備状況や障がいの程度・種別により受入れ状況に違いが生じています。 ・ 県では、平成30年度から3年間を計画期間とする「第1期障がい児福祉計画」を策定し、当該計画に基づき、障がい児通所支援等の提供体制の確保と業務の円滑な実施に努めています。 ・ 重度の障がい等のために外出が著しく困難な障がい児に発達支援を受ける機会を提供するため、障がい児の居宅を訪問して、発達支援を行う居宅訪問型児童発達支援が、平成30年度から創設されました。 ・ 保育所や児童館、認可外保育所、放課後児童クラブ等で障がい児の受入れが実施できるよう、改修費支援、運営費補助等を実施しています。    [課題] ・ 障がい児が、日常生活の機能を向上させるために、「日常生活における基本動作の指導及び集団生活への適応の訓練」を中心に行う療育の場の充実を図る必要があります。 ・ 障がい児及びその家族に対する支援については、障がい児の障がい種別や年齢別等のニーズに応じて、身近な場所で提供できるように、地域における支援体制を整備することが必要です。 ・ 保育所等訪問支援などの障がい児支援サービスを利用することにより、地域の保育、教育等の支援を受けられるようにすることで、障がいの有無にかかわらず、全ての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加や包容(インクルージョン)を推進する必要があります。 ・ 重症心身障がい児や医療的ケア児など、特別な支援が必要な障がい児が利用できる障がい児通所支援事業所や短期入所事業所が不足しており、受入れ事業所の拡充が課題となっています。 ・ 引き続き、保育所や放課後児童クラブ等での障がい児の受入れが行われるよう支援を続けていく必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、児童発達支援事業所及び放課後等デイサービス事業所については、地域のニーズを踏まえてサービス提供体制の整備を進め、指定事業所の拡充を図り、身近な地域での療育ができるようにしていきます。 ○ 県は、県立こども医療療育センターにおいて、引き続き、常時医療的ケアを要する重症心身障がい児(者)の短期入所受入れに対応していきます。 ○ 県は、市町村が行う日中一時支援事業など地域で必要な支援については、地域のニーズや事業者の動向を踏まえ、市町村や関係事業者と連携し、受入体制の確保に努めます。 ○ 県は、障がい児及びその家族に対して、乳幼児期から学校卒業まで一貫した効果的な支援を身近な地域で提供することができるよう、居宅介護や短期入所等の障がい福祉サービス、障がい児通所支援等の専門的な支援の確保に加え、保健、医療、保育、教育、就労支援等の関係機関との連携を図ります。 ○ 県は、児童発達支援センターを地域における中核的な支援機関として位置づけ、障がい児通所支援等を実施する事業所と緊密な連携を図ることで、地域における重層的な障がい児通所支援体制の構築を図ります。また、障がい児の地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、児童発達支援センター等による保育所等訪問支援事業の実施を推進します。 ○ 県は、主として重症心身障がい児を支援する障がい児通所支援事業所など、特別な支援が必要な障がい児が利用できる事業所の充実を図ります。 ○ 障がい児への支援は、子どもの障がいの状況、発達段階、障がいに対する親の受容の状況や家族の状況等によって様々な機関が関係していることから、県では、一人ひとりの子どもの状況に応じてより適切で総合的な療育の提供と家庭への支援ができるように、各関係機関の連携を図り、市町村(自立支援)協議会の活性化を支援します。 ○ 県は、在宅で発達支援の提供が必要な障がい児に対し、サービスを提供できるよう、居宅訪問型児童発達支援の指定事業所の拡充を図ります。 ○ 県は、障がい児が保護者の下から通いながら生活をしていけるよう保育所等での障がい児の受入れが行われるよう支援していきます。 (成人期の対応) [現状] ・ 重度訪問介護の支援を受けていた障がい者が医療機関に入院した時の不安に対する対応として、平成30年から重度訪問介護を提供できる場所が拡大され、病院等でもサービス提供が可能となっています。  [課題] ・ サービス提供の実施主体である市町村は、障がい者の個々のニーズを的確に把握するとともに、地域における社会資源の整備と質の向上に取り組む必要があります。 ・ 手話通訳者等の意思疎通支援を行う者の派遣については、基本的には市町村の役割ですが、市町村域を越えた派遣や意思疎通支援を行う者の養成等については、県の役割として実施する必要があります。    [今後の取組方向] ○ 県は、山形県障がい福祉計画で見込んだ障がい福祉サービスを確保するため、指定事業所の拡充に努めます。 ○ 県は、事業所職員の資質向上に資する研修を継続的に実施します。 ○ 県は、市町村の地域生活支援事業の実施について支援します。 ○ 県は、市町村が行う障がい者に対する相談支援事業について、県自立支援協議会相談支援推進員を派遣して地域のネットワーク構築に向けた助言・調整等の広域的な支援を行います。 ○ 県は、手話通訳者等意思疎通支援を行う者の派遣について、地域生活支援事業により実施する市町村を支援します。 ○ 県は、手話通訳者等意思疎通支援を行う者の市町村域を越えた派遣や養成等について、県の地域生活支援事業として積極的に推進していきます。 (高齢期の対応) [現状] ・ 高齢期の障がい者の在宅での生活を支える基盤として、介護保険制度において、訪問介護や訪問看護、通所介護を中心とした居宅サービスや小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスが整備されています。  [課題] ・ ケアを必要とする方の今後ますますの増加が見込まれる中、できるだけ住み慣れた地域や居宅で暮らし続けることができるよう、各サービスの量的確保に加え、質の向上を図ることが求められています。また、それを支える人材を確保することが重要な課題となっています。 ・ とりわけ、一人暮らしの高齢期の障がい者の増加が見込まれることや、家族介護者のレスパイト支援の意味からも、24時間365日安心して地域で暮らすことができるよう、定期巡回・随時対応型訪問介護看護といった24時間対応型のサービスや小規模多機能型サービス、看護小規模多機能型サービスの充実が求められています。  [今後の取組方向] ○ ケアを必要とする高齢期の障がい者一人ひとりの心身の状況や環境に応じた適切な支援を提供するためには、介護支援専門員等の適切なケアマネジメントが重要です。そのため、県は、介護支援専門員等に対する専門性を高める研修を実施していくとともに、介護職員、看護職員といったケアスタッフに対する各種研修を実施していきます。また、地域包括支援センターにおける総合相談、権利擁護事業及び支援困難事例等に関する介護支援専門員への支援を行います。 ○ 県は、介護職員の人材育成、確保、定着、離職防止を図るため、介護職員をサポートする事業を総合的に実施し、介護職員が安心して仕事に従事できる支援体制を構築していきます。 ○ 県及び市町村は、各サービス提供事業者に対して、適切なサービスの提供が行われるよう適正な指定・指導を行っていきます。  D 住まいの確保  (福祉施策からの対応)  [現状] ・ 福祉施策としては、共同生活援助(グループホーム)、福祉ホームなどが位置づけられます。平成30年4月1日現在で、共同生活援助(グループホーム)は87箇所、福祉ホームが2箇所あります。 ・ 共同生活援助(グループホーム)では、日中サービス支援型が創設され、障がい者の重度化・高齢化に対応できるようになりました。  [課題] ・ 入所者等の地域移行の推進に合わせて、日中サービス支援型が創設されたことから、重度の障がい者に対応できる共同生活援助(グループホーム)の整備が必要となってきます。 ・ 共同生活援助(グループホーム)の開設にあたっては、消防法、建築基準法、都市計画法による法的規制に加え、地域住民から開設を反対される場合もあり、開設に多くの時間や費用を要するケースもあります。 [今後の取組方向] ○ 県は、施設に入所している障がい者等が身近な地域で、日常生活上の介護や相談援助等を受けながら共同生活を営むために、社会福祉施設等施設整備費国庫補助金等を活用し、グループホームの整備を進めます。 ○ 県は、重度障がい者にも対応した日中サービス支援型のグループホームの体制の充実を図ります。 ○ 県は、グループホームの必要性や障がいの理解について、市町村と連携して地域住民に対する周知に努めます。 (住宅施策からの対応)  [現状] ・ 既存住宅のバリアフリー化に関する工事について補助金を交付して支援を行っています。 ・ 自力で住まいを確保することが困難な障がい者に対しては、これまでバリアフリー化された公営住宅の供給により対応してきました。 ・ また、県営住宅の一部の住戸を社会福祉法人に貸与し、障がい者のグループホームとして活用しています。  [課題] ・ 障がい者が安心して暮らすためには住宅のバリアフリー化が必要です。 ・ 車いすが通行可能となるように住戸内廊下の幅を確保し、段差のない屋内とすることが望ましいとされています。 * 車いす通行が可能な廊下幅を確保している住宅:全体の23.7% * 屋内に段差のない住宅:全体の19.47% (数値は平成25年住宅・土地統計調査(総務省)時のデータ。母数は65歳以上の高齢者がいる世帯数。) ・ 公営住宅の新規建設戸数は減少しており、老朽化した公営住宅の建て替えや改修にシフトしています。 ・ 一方で、国土交通省では、既存の民営借家において障がい者等の「住宅確保要配慮者」の専用住宅とすることを条件に、住宅改修費用の一部を補助する自治体を支援する事業を平成29年度から実施しています。また、県でも、県内市町村が当該制度を活用して補助する場合、市町村負担分の一部を県が支援する制度を平成30年度から実施しており、改修後の住宅において、低所得や子育て中の障がい者等を受け入れることとしています。 [今後の取組方向] ○ 県は、住宅のバリアフリー化を促進するための支援を継続します。 ○ 県は、公営住宅については、バリアフリー仕様の導入(新築・建替え、住戸改修)を引き続き推進します。  E 活動の場の確保 [現状] ・ 障害者総合支援法では、日中活動の場は、障がい者の個性やニーズに応じて、一般雇用に向けて必要な支援を行う「就労移行支援」、一般雇用が困難な障がい者に生産活動の場等を提供する「就労継続支援」、地域生活を営む上で必要な訓練等を行う「自立訓練」及び入浴・排せつ・食事の提供や創作的活動の機会の提供等を行う「生活介護」に区分され、また、市町村においては地域活動支援センターを設置又は委託し、日中活動の場を提供しています。 ・ 地域活動支援センターは、障がい者に対して、創作的活動又は生産活動の機会を提供し、社会との交流の促進を図る役割を担っており、市町村は当センターに業務を委託しています。また、市町村では、障がい者の家族の就労支援及び日常的に介護している家族の一時的な休息に寄与する日中一時支援事業を実施しています。 [課題] ・ 地域生活への移行に向けて、山形県障がい福祉計画では指定障害福祉サービスの必要な量について数値目標を設定しておりますが、自立訓練、生活介護及び就労移行支援においては、見込んでいる必要な量に達しておりません。 ・ また、障がい者に対し日常生活に必要な便宜を供与するため、地域活動支援センターの機能の充実を行う必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県は、障がい者が、その個性やニーズに応じたサービスをできるだけ身近な地域で利用できるよう、障がい福祉サービス等事業所の量的・質的拡大を図ります。 ○ 県は、地域生活への移行を目指し、市町村と連携しながらサービス提供体制の整備を進め、指定事業所の拡充を図ります。 ○ 県は、事業所数を確保するために、社会福祉施設等施設整備費国庫補助金等を活用し、基盤整備に努めます。 ○ また、事業者等の情報把握や働きかけについて、市町村や各障がい福祉関係団体等との情報共有を図り、連携を進めます。 ○ 県は、地域活動支援センターの運営及び日中一時支援等の事業を行う市町村に対して、適宜必要な助言等を行いながら、地域生活支援事業による財政面での支援を継続して行っていきます。  F 地域リハビリテーション体制の整備   [現状] ・ 県では、介護予防・日常生活支援総合事業の一般介護予防事業において、地域リハビリテーション活動支援事業を行い、地域における介護予防の取組を強化するために、訪問系サービスや通所系サービス、地域ケア会議等へのリハビリテーション専門職の関与を促進しています。 ・ 近年、高齢化や疾病構造の変化等に伴い、リハビリテーションの必要性、重要性が一層増してきています。 ・ 障害者総合支援法に基づき、障がい者等の心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療について、医療費(自立支援医療費)の助成を行っています。 ・ 県内では、県立保健医療大学及び山形医療技術専門学校において、理学療法士及び作業療法士を養成しています。  [課題] ・ 障がい者やその家族が身近な地域で必要な医療やリハビリテーションを受けられるよう、支援体制の整備を行う必要があります。 ・ その際、特に高齢化等による障がいの重度化・重複化の予防及びその対応に留意する必要があり、質の高い理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士などの人材を確保していく必要があります。 ・ 県内の養成機関を卒業し就職する理学療法士及び作業療法士の県内就職率は5割程度であり、さらに県内定着を図る必要があります。    [今後の取組方向] ○ 県は、地域におけるリハビリテーション関係機関の連携体制を検討し、住み慣れた地域や家庭で症状に応じた適切なリハビリテーションが継続して受けられる体制(地域リハビリテーション体制)の整備を引き続き図ります。 ○ 県は、地域リハビリテーション活動支援事業により、リハビリテーション職等を活かした自立支援に資する取組を推進し、介護予防の強化を行います。 ○ 県は、引き続き障がい者等が自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療について、医療費(自立支援医療費)の助成を行っていきます。 ○ 県内の養成機関においては、より高度な医学知識と医療技術を有し、患者ニーズの多様化に対応できる質の高い保健医療従事者を養成し、安定的に供給するよう努めるとともに、卒業生の県内定着を促進します。  G 地域移行の推進  [現状] ・ 第5期山形県障がい福祉計画では、平成28年度末時点で福祉施設に入所している者(1,605人)のうち、令和2年度末までに145人(9%)が地域生活に移行することを目指すとともに、令和2年度末時点の施設入所者を1,572人まで減少させることを目指しながら、住まいの場と日中活動の場との一体的な整備を進めています。 ・ 施設に入所していたり共同生活援助(グループホーム)に入居していたりしていた障がい者が、居宅における自立した生活を営むうえで生じる問題に対して、定期的な巡回訪問や当該障がい者からの相談に応じ、必要な援助を行う自立生活援助が創設されました。これにより、一人暮らしを希望する障がい者を支えることができるようになりました。 ・ 本県における平成29年6月30日現在の精神科病院入院患者数は3,099人で、平成23年以降、減少傾向が続いています。このうち、在院期間が1年以上の患者は約6割を占める状況になっています。 ・ 県では、精神障がい者が自分らしく地域で本人の意向に即して充実した生活を送ることができるように、入院患者の地域移行・地域定着支援を実施しています。 ・ 障がい者及び障がい児の入所施設や病院からの地域移行を進めるとともに、障がい者の高齢化・重度化や「親亡き後」に備えるため、障がい者等の生活を地域全体で支える地域生活支援拠点又は居住支援のための機能を備えた複数の事業所・機関による面的な体制(以下「地域生活支援拠点等」という。)の整備を進めています。    [課題] ・ 障がい者が住み慣れた地域で、本人の意向に即して充実した生活を送ることができるように、福祉関係機関や医療機関と連携を図りながら、入院患者の退院や地域での生活が継続できるように支援していくことが必要です。 ・ 精神病床に入院している患者のうち、65歳以上の入院患者が占める割合が高く、高齢化が進行しています。 ・ また、病状は安定しているものの、退院しても受入先がないなどの理由により入院している、いわゆる社会的入院患者が数多く存在します。 ・ 退院した精神障がい者が安定した地域生活を送るためには、グループホーム等の住まいの場の確保のほか、外来医療、デイケア、訪問看護等による継続的な医療の提供と障がい福祉サービスによる生活支援及び精神障がい者に対する地域住民の正しい理解が必要です。 ・ 地域生活支援拠点等については、山形県障がい福祉計画において、令和2年度末までに全市町村に整備する(市町村間の連携による整備を含む)こととしていますが、平成30年12月末現在で整備がなされている市町村はありません。  [今後の取組方向] ○ 県は、施設に入所している障がい者等が身近な地域で自立した生活をするために、相談支援事業所と地域の支援機関が連携してケアマネジメントの充実を図るとともに、引き続きグループホーム等の整備を進めます。 ○ 県は、障がい者が、その個性やニーズに応じたサービスをできるだけ身近な地域で利用できるよう、日中活動事業所の量的・質的拡大を図ります。 ○ 県は、訪問支援等を含めた、地域資源の活用による地域生活支援を推進します。 ○ 県は、退院後の住まいの確保や地域における医療提供体制及び相談支援・自立訓練等の障がい福祉サービス提供体制の充実を促進します。 ○ 県は、精神疾患を有する長期入院患者が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることが出来るよう、市町村等における医療・保健・福祉の関係機関の連携による精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築を促進します。 ○ 県は、地域住民における精神疾患及び精神障がい者に対する理解醸成を推進します。 ○ 県は、障がい者の一人暮らしを支える新たなサービスである自立生活援助の提供により、障がい者の地域生活への移行を推進します。 ○ 県は、入所者や入院患者の地域生活への移行を目指し、市町村と連携しながらサービス提供体制の整備を進め、生活介護、就労継続支援等の指定障害福祉サービス事業所の拡充を図ります。 ○ 県は、事業所数を確保するために、社会福祉施設等施設整備費国庫補助金等を活用し、基盤整備に努めます。 ○ また、地域移行の推進のため、事業者等の情報把握や働きかけについて、市町村や各障がい福祉関係団体等との情報共有を図り、連携を進めます。 ○ 地域生活支援拠点等の整備について、各市町村の状況・課題・意向等の把握に努めるとともに、他都道府県の動向・先進事例等についての情報を共有するなど、各市町村と連携して取り組んでいきます。  地域生活支援拠点等は、障がい児者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据え、居住支援のための機能(相談、緊急時の受入・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくり)を担います。整備手法として、機能を集約しグループホーム等に付加した「多機能拠点整備型」、複数の機関が分担して機能を担う体制の「面的整備型」などがあります。(3) 地域生活支援のための施設サービスの充実  (地域生活のための基盤整備)  [現状] ・ 山形県障がい福祉計画において、施設入所者の地域生活への移行や一般就労への移行等に関する数値目標及びその達成に必要な障がい福祉サービスや相談支援サービス等の利用見込みを設定しています。 ・ 利用見込み量に応じた事業所数を確保するため、社会福祉施設等施設整備費国庫補助金等を活用し、基盤整備を進めています。 ・ 障がい者及び障がい児の入所施設や病院からの地域移行を進めるとともに、障がい者の高齢化・重度化や「親亡き後」に備えるため、障がい者等の生活を地域全体で支える地域生活支援拠点等の整備を進めています。(再掲)  [課題] ・ 社会福祉施設等施設整備費国庫補助金等を活用し、基盤整備を進めているところですが、山形県障がい福祉計画で見込んでいる必要量の確保には至っていません。 ・ 地域生活支援拠点等については、山形県障がい福祉計画において、令和2年度末までに全市町村に整備する(市町村間の連携による整備を含む)こととしていますが、平成30年12月末現在で整備がなされている市町村はありません。(再掲)  [今後の取組方向] ○ 基盤整備を進めるため、社会福祉施設等施設整備費国庫補助金等を活用し、整備促進を図ります。 ○ 地域生活支援拠点等の整備について、各市町村の状況・課題・意向等の把握に努めるとともに、他都道府県の動向・先進事例等についての情報を共有するなど、各市町村と連携して取り組んでいきます。(再掲)  (障がい児の施設)  [現状] ・ 障がい児に係る入所施設は、福祉型障がい児入所施設が3箇所、医療型障がい児入所施設が1箇所あります。また、独立行政法人国立病院機構の2病院が、指定発達支援医療機関として医療型障がい児入所支援を提供しています。 ・ 障がい児に係る通所施設は、福祉型児童発達支援センターが5箇所、医療型児童発達支援センターが1箇所あります。 ・ 在宅施策の進展と少子化の影響等により、入所する児童の数は減っていますが、一人ひとりの障がいは重度化、重複化の傾向にあります。 ・ 県立こども医療療育センターについては、新医療棟の開所により、常時医療的ケアが必要な重症心身障がい児の受入れを拡充しました。 ・ 県立福祉型障がい児入所施設は、在宅障がい児支援として、短期入所や日中一時支援事業を行っていますが、放課後等の日中一時支援事業の利用が増加しています。  [課題] ・ 障がい児入所施設は、施設が有する専門的機能の強化を図ったうえで、虐待を受けた障がい児等への対応を含め、短期入所事業等、様々なニーズに対応する機関としての役割を担う必要があります。 ・ 児童発達支援センターについては、山形県第1期障がい児福祉計画において、令和2年度末までに各市町村に1か所以上設置することを目標としていますが、設置が進んでいません。 [今後の取組方向] ○ 県は、児童発達支援事業所及び放課後等デイサービス事業所については、地域のニーズを踏まえてサービス提供体制の整備を進め、指定事業所の拡充を図り、身近な地域での療育ができるようにしていきます。 ○ 県は、市町村が行う日中一時支援事業など地域で必要な支援については、地域のニーズや事業者の動向を踏まえ、市町村や関係事業者と連携し、受入体制の確保に努めます。 ○ 県は、児童発達支援センターを地域における中核的な支援機関とし、障害児通所支援等を実施する事業所との緊密な連携による重層的な障がい児支援体制の構築を図るため、各市町村に対して設置を促していきます。  (障がい者の施設)  [現状] ・ 障害者支援施設は、重度の障がいを持つ方や医療的ケアが必要な方の入所支援、短期入所等のニーズの受け皿として重要な役割を担っており、また、入所者の地域生活への移行支援や地域で生活する障がい者の支援等の役割も担っています。 ・ 在宅で障がい者の介護を行う者が病気の場合などに、短期入所のサービスを提供する事業所が増加しており、在宅サービスを支えるための施設機能の充実が図られました。  ※ 短期入所事業所数の推移    47箇所(平成25年4月1日現在) ⇒ 57箇所(平成29年4月1日現在)  [課題] ・ 障害者支援施設については、設備等の老朽化が進んでおり、サービス提供への影響が懸念されます。 ・ また、入所者の地域生活への移行について積極的に取り組んでいるところですが、地域生活に移行した障がい者への専門的な相談支援や日中活動の場の提供等の支援機能も担っていくことが必要です。 [今後の取組方向] ○ 県は、障害者支援施設について、老朽化した設備や防犯に係る安全確保のための改修、バリアフリー化や防災のための改築等を支援します。また、短期入所については、医療的ケアが必要な重症心身障がい者等の受入れ先拡充に努めていきます。 ○ 地域生活に移行した障がい者に対して、専門的な相談や自立した生活を営むために必要な援助を行う、自立生活援助の推進を図ります。 ○ 県は、身近な地域で必要なサービスが受けられるよう、サービス提供体制の整備を進め、指定事業所の拡充を図ります。 ○ 県は、在宅サービスの充実を図るとともに、在宅サービスを支えるための施設機能の充実を図ります。 (4) 質の高いサービスの提供  @ サービス評価等の実施によるサービスの向上  [現状] ・ 「福祉サービス第三者評価」とは、福祉サービスを提供する事業者のサービスの内容について、公正・中立な第三者機関(評価機関)が専門的・客観的な立場から評価し、その結果を公表する仕組みです。事業者の福祉サービスの質の向上を図ることを目的としており、評価結果は、利用者・家族の情報資源となります。 ・ 県では、県が推進組織となり、第三者機関による障がい福祉サービスの評価事業を実施しています。 ・ 平成29年度までに31施設が第三者評価を受審しており、そのうち障がい関係施設は4施設となっています。 ・ 事業者において解決が困難な苦情等に対応するため、山形県社会福祉協議会に「山形県福祉サービス運営適正化委員会」を設置し、苦情解決に向けた調査、助言、斡旋を行うとともに、制度の周知を図るための広報活動を推進しており、県はこれを支援しています。 [課題] ・ 利用者本位の質の高いサービス提供のためには、各事業者は自ら提供するサービスについて点検し、改善していく必要があります。 ・ サービスの評価は、利用者のサービス選択の際の重要な情報であり、事業者の継続的な事業点検とサービス水準の向上のために不可欠なものであり、社会的養護関係施設※以外の施設には第三者評価の受審が義務付けられておらず、事業者には受審費用に加え、評価項目や手順の多さなどの負担感もあり受審率は低調となっており、受審の促進を図っていくことが必要です。  [今後の取組方向] ○ 県は、福祉サービス事業者に制度周知や受審を働きかけるなど、評価機関と連携して事業の普及促進に努めます。 ○ 県は、利用者の苦情に迅速・的確に対応できるよう、県福祉サービス運営適正化委員会の運営内容の充実を支援します。 ※ 社会的養護関係施設:「社会的養護関係施設における第三者評価及び自己評価の実施について(厚生労働省通知)」に規定される、児童養護施設、乳児院、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設をいう。 A 情報提供の充実  [現状] ・ 平成30年4月施行の改正障害者総合支援法及び児童福祉法において、障害福祉サービス等情報公表制度が創設されました。これにより、障害福祉サービス等を利用する障がい者やその家族が個々のニーズに応じて良質なサービスを選択できるよう仕組みが整備されました。 ・ 山形県ホームページにおいて、情報公表制度について周知を行うとともに、保健・医療・福祉に関するサービスメニューや相談窓口などの総合的な情報の提供を行っています。 ・ 障がい福祉サービス事業者は、利用希望者に対して、サービスの内容について十分に説明し、契約が成立した時はその内容を書面で交付することとしております。 ・ 医療法においては、医療機関から報告された情報を県が公表する医療機能情報公表制度が設けられており、医療機関について、県民自らが最適なサービスを選択できるよう迅速かつ的確な情報提供を行うことが必要であることから、県では、インターネットにより、医療機関の総合的な情報を提供しています。  [課題] ・ 情報公表制度に基づき、障がい福祉サービス等事業者は、県に対しサービス内容等の情報を報告し、県は報告された内容を公表することとなっていますが、一部の事業者の情報については報告を受けておらず公表できてないため、未報告事業者に対して報告を求めていく必要があります。 ・ 県民の誰もが必要な情報をタイムリーにかつ分かりやすく得ることができるよう、保健・医療・福祉に関する情報の収集・整理に努め、県民自らが最適なサービスを選択できるよう迅速かつ的確な情報提供を行うことが必要です。 ・ 情報の提供にあたっては、特に情報の入手に制限のある視覚障がい者、聴覚障がい者などに対して、必要な情報が得ることができるような配慮が必要です。 ・ 医療機能情報公表制度に基づき、県は、今後も医療機関に係る適切な情報提供が求められています。  [今後の取組方向] ○ 県は、情報公表制度に基づき、障がい者やその家族が個々のニーズに応じた良質なサービスを選択できるようにするとともに、事業者によるサービスの質の向上を目指します。 ○ 県は、保健・医療・福祉に関する様々な情報を収集・整理するとともに、多様な広報媒体を活用して、積極的な情報提供に努めます。 ○ 障がい者にとって必要な福祉サービス等の情報提供が速やかに行われるよう地域の保健・医療・福祉事業従事者間で連携を図ります。 ○ 県は、障がい者に関する各種サービスや制度の概要等について、パンフレット、市町村広報誌やホームページ等を利用して、利用者及び利用希望者に広く広報し、適切に情報が提供されるよう努めます。また、施設等については、各総合支庁が行う事業者指導等を通じて、利用者への情報提供に努めるよう指導します。 ○ 県は、視覚障がい者に配慮した音声変換しやすいホームページの作成や手話通訳者、要約筆記者の養成など、視聴覚障がい者に対して円滑な情報提供が行われるように努めます。 ○ 県は、引き続き、県民が医療機関を選択する際の各医療機関の情報(診療科、診療日・時間帯等)や休日夜間診療所についての情報等の医療に関する総合的な情報を、インターネットにより提供していきます。    B 障がい福祉を支える人材の確保、養成  福祉に対するニーズはますます複雑・多様化しており、より質の高いサービスを確保するためには、その担い手である社会福祉従事者の確保、更には資質向上が求められています。    (人材の確保)  [現状] ・ 山形県福祉人材センター(県社会福祉協議会へ委託)では、求人求職情報サイト「福祉のお仕事」を活用した情報提供や求人情報ニュースを発行しながら、無料で職業紹介を行っています。また、福祉人材緊急確保事業として、福祉人材センターに「キャリア支援専門員」を配置し、個々の求職者に合わせた職場の開拓や、施設・事業所に対して勤務環境等の指導・助言を行っています。  [課題] ・ 福祉人材センターに寄せられる求人数が大きく増加する中、求職者数は横ばいで推移しており、福祉・介護現場での人手不足の状況が課題となっています。    [今後の取組方向] ○ 県は、求人求職情報サイト「福祉のお仕事」を活用して、求職者が具体的な就労に繋がる就職斡旋を行うとともに、有資格者のマッチングを推進します。 ○ 県は、福祉人材センターに配置されているキャリア専門員のハローワーク訪問、福祉関係の事業所へ就職を希望する方に対して相談を受ける巡回相談を実施するとともに、ミニ講座を実施し、福祉、介護職についての理解を深める機会を提供します。    (障がい福祉従事者の確保) [現状] ・ 障がい福祉サービス等を安定的に提供していくためには、障がい福祉人材の確保は重要課題のひとつであることから、国の施策において、平成21年度障害福祉サービス等報酬改定以降、障がい福祉人材の確保に向け、福祉・介護職員処遇改善加算の創設など、多くの取組が行われてきました。 ・ 近年では、平成29年度に臨時で障害福祉サービス等報酬改定が行われ、福祉・介護職員処遇改善加算について、新たに、「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給する仕組みを設けること」とした要件を設け、既存の要件に加え、これらすべてを満たす事業者を対象に、上乗せ評価(月額平均1万円相当)を行う区分が創設されました。 ・ 全国の状況として、福祉・介護職員処遇改善加算(T)〜(X)を取得している事業所等における福祉・介護職員(常勤の者)の平均給与額について、平成28年度と報酬改定後の平成29年度の状況を比較すると15,363円の増となっています。   [課題] ・ 国の施策に沿って、福祉・介護職員処遇改善加算の取得を推進しているところですが、県内の事業所における、平成30年4月サービス提供分における当加算の請求率は約59%となっており、全国の請求率(約79%)と比較すると20%程度低くなっています。 ・ 全国的な賃金水準を見ると、障害福祉分野が含まれる「医療・福祉」は全産業平均を下回っています。 ・ 福祉人材センターに寄せられる求人数が大きく増加する中、求職者数は横ばいで推移しており、福祉・介護現場での人手不足の状況が課題となっています。(再掲) [今後の取組方針] ○ 県内事業者に対し、福祉・介護専門職員処遇改善加算の取得を推進し、賃金水準の向上を図ります。 ○ 県は、求人求職情報サイト「福祉のお仕事」を活用して、求職者が具体的な就労に繋がる就職斡旋を行うとともに、有資格者のマッチングを推進します。(再掲) ○ 県は、福祉人材センターに配置されているキャリア専門員のハローワーク訪問、福祉関係の事業所へ就職を希望する方に対して相談を受ける巡回相談を実施するとともに、ミニ講座を実施し、福祉、介護職についての理解を深める機会を提供します。(再掲)   (看護職員の確保)  [現状] ・ 県は、看護職員の確保を総合的に推進するため、関係機関と連携し、平成23年度末に「山形方式・看護師等生涯サポートプログラム」を策定しています。  [課題] ・ 同プログラムに基づき、総合的な看護師等確保対策を推進した結果、平成26年度末の看護職員の需要数に対する供給数のギャップは885人まで縮小されたものの、解消までには至っておらず、医療現場等における看護師等の不足が深刻です。    [今後の取組方向] ○ 「山形方式・看護師等生涯サポートプログラム」に基づき、「学生の確保定着」「キャリアアップ」「離職防止」及び「再就業の促進」を施策の柱とし、総合的に看護職員の確保対策を推進します。 ○ 県や関係機関の責務と役割を明確化するとともに、緊密な連携を図り、同プログラムにおける各種施策を推進します。   (人材の養成)  [現状] ・ 社会福祉従事者の資質の向上に関しては、山形県福祉人材センター(山形県社会福祉協議会に事業委託)において、人間性豊かな専門性と実践力を備えた社会福祉従事者の育成に重点を置き、施設職員やホームヘルパーなどを対象とした様々な研修を実施しています。 ・ 障害者総合支援法による地域生活支援事業では、障がい福祉サービス・相談支援従事者及び指導者の養成・確保に向けた取組が行われています。 ・ 障がい者の意向を踏まえたサービス等利用計画の作成や、市町村の委託を受けて障がい者(児)からの各種相談への対応を行う相談支援専門員については、相談支援の質の向上のため、研修カリキュラムの見直しが予定されています。 ・ 各障がい福祉サービス事業所における個別支援計画の作成や従業者への指導・助言を行うサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者については、実践の積み重ねを行いながら段階的なステップアップが図れるよう、平成31年度から研修カリキュラムの見直しが行われました。 ・ 市町村が配置している身体障害者相談員、知的障害者相談員に対して、各種情報の提供や相談対応能力の向上を図るための研修会を実施しています。 ・ 手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員の養成及びこうした意思疎通を支援する方々の指導者を養成する事業を実施しています。 ・ 社会福祉士及び介護福祉士法の改正(平成24年4月1日施行)により、住宅や入所施設等において、一定の条件を満たし都道府県から認定を受けた介護職員等によるたんの吸引等が可能になりました。 ・ 山形県社会福祉研修センターでは、県の委託を受け、福祉施設関係団体及び福祉行政機関等を構成委員とする運営委員会を設置し、研修ニーズを把握したうえで研修計画を策定し、社会福祉事業に従事している職員に対し、階層別・課題別に研修を実施しています。  [課題] ・ 長期的な視点で、計画的な人材育成を図るため、指導者も含めた障がい福祉サービス従事者の人材育成の指針となる人材育成ビジョンの策定が必要です。 ・ 事業所の従業員が相談支援従事者研修やサービス管理責任者等研修を未受講であることにより、有資格者が不在となり、必要なサービス提供ができなくなることがないよう、継続的な研修の実施が必要となっています。 ・ 平成24年に改正された身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法により、市町村等における相談支援体制の充実強化が強く求められており、身体障害者相談員、知的障害者相談員の資質向上が必要とされています。 ・ 意思疎通を図ることに支障がある方の支援ニーズが多様化しており、手話通訳者や要約筆記者を始め、より多くの支援に携わる人材の養成と資質の向上が求められています。 ・ 重度障がい者が年々増加している背景を踏まえ、障がい者が望む地域生活等をおくることができるよう、たんの吸引等を必要とする障がい者に対応できる介護職員等を養成する必要があります。 ・ 山形県社会福祉研修センターでは、県が実施している研修のほか、山形県社会福祉協議会や福祉関係団体等で主催する研修もあることから、相互の役割分担や補完関係の整理が必要となっています。    [今後の取組方向] ○ 県は、障がい福祉サービス従事者等の人材育成の指針となる、人材育成ビジョンを策定し、山形県が目指す人材育成のあり方を明確にします。 ○ 県は、引き続き、障がい福祉サービス・相談支援従事者、指導者育成事業を実施します。 ○ 県は、各々の障がい者のニーズやサービス利用状況を的確に判断し、サービス等利用計画を策定できる相談支援専門員の養成や資質向上が図られるよう、カリキュラムの充実を図りながら、継続的に研修を実施します。 ○ 県は、視覚障がい者の外出時に必要な支援を行う同行援護従業者や、強度行動障がいを有する方に対し適切な支援を行う従業者の養成を図ります。 ○ 県は、市町村が配置している身体障害者相談員、知的障害者相談員に対して、各種情報の提供や相談対応能力の向上を図るための研修会等を継続して実施し、相談員の資質の向上に努めます。 ○ 県は、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員等の意思疎通支援者及び点訳等ができるボランティア的人材の養成を継続して実施するとともに、こうした支援者を養成するための指導者の養成も継続して実施します。 ○ 県は、たん吸引等を必要とする障がい者に対し安全かつ確実にたんの吸引等を行うことができるよう、介護職員等に対し研修制度の周知を行います。 ○ 県は、研修を委託している山形県社会福祉研修センターにおいて、多様化する研修ニーズや研修生アンケート結果などを踏まえ、内容の充実を図り、より適切な研修が実施できるよう、福祉関係団体等で実施している独自研修との相互の役割分担・調整を図ります。 (5) 高齢化に応じた支援  @ 施設での支援  [現状] ・ 障害者支援施設入所者の高齢化が進んでいます。また、高齢化に伴い、介護が必要な施設入所者も増加しています。 ・ 平成30年4月から、他市町村から障害者支援施設へ入所した者が、新たに介護保険の住所地特例制度対象施設に入所した場合に、障害者支援施設が所在する市町村の介護給付費が過度に重くならないよう、障害者支援施設に入所する前に支給決定を行った市町村が保険者となるよう制度の見直しが行われました。 ・ 高齢になっても引き続き障害者支援施設での処遇が適当な入所者もおり、直接処遇職員の介助技術の強化や車椅子用トイレや手すりの設置等の設備の充実など、介護が必要な高齢入所者受入れ機能の強化を引き続き図っていく必要があります。 ・ 本県の高齢者人口は、平成27年度の国勢調査の結果、34万4,353人となっており、総人口に占める割合は30.8%(全国第7位)と、高齢化が急速に進んでいる中、同様に視覚障がい者の高齢化も進んでおり、点字・音声案内などの視覚障がい者が安心して利用できる設備を備えた施設の整備が必要と考えられます。 ・ 視覚障がい者が利用できる盲養護老人ホーム(50床)と盲特別養護老人ホーム(60床)を整備しています。  [課題] ・ 高齢期の障がい者に対して、個々の実態に合わせた支援が適切に行えるよう体制を整える必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県は、介護保険施設への入所が適当と思われる入所者のスムーズな移行を図るため、市町村における障がい・介護担当部局間の連携の推進及び制度の周知を行うことで、引き続き移行を促進していきます。 ○ 県は、障がい及び介護施設・事業所職員、相談支援専門員、介護支援専門員に対し、障害者支援施設及び介護保険施設における、入所者の高齢化対策の実践事例の発表や意見交換を行うほか、「知的障がい者の認知症」など、両分野にまたがる課題について学ぶ機会を設け、支援者の育成を図ります。 ○ 平成25年度に盲養護老人ホームと盲特別養護老人ホームを整備していますが、県は、圏域を越えた施設利用のニーズにも配慮し、供給可能なサービス量の確保に努めます。 ○ 県は、在宅診療を支えるかかりつけ医と介護サービス計画を作成する介護支援専門員、障がい福祉サービス等利用計画を作成する相談支援専門員の連携強化や地域包括支援センターにおける総合相談、権利擁護事業及び支援困難事例等に関する介護支援専門員への支援を行います。 ○ 障害者支援施設等での高齢障がい者の受入れは全国的な課題でもあるので、高齢障がい者受入れに係る報酬加算の見直しや、社会福祉施設等施設整備費国庫補助の予算確保による財政支援の充実について、国に対して提言を行います。 A 在宅での支援 [現状] ・ 地域で暮らす障がい者が増えている中、在宅障がい者が高齢になっても住みなれた地域で生活を続けることができる環境整備が求められています。 ・ グループホームでも入所者の高齢化が進み、グループホーム等の約半数に65歳以上の障がい者が入居していると推察され、今後、バリアフリー化等の改修のニーズが高まるものと思われます。 ・ 平成30年度から、使いなれた事業所においてサービスを利用しやすくする観点や、限りある福祉人材をうまく活用しながら適切にサービス提供を行うという観点から、障害者総合支援法、児童福祉法及び介護保険法に、一部のサービスにおいて高齢者や障がい児者が共に利用できる「共生型サービス」の制度が創設されました。 ・ 65歳を迎えた高齢期の障がい者は、介護保険優先の原則のため、使い慣れた障がい福祉サービス事業所を利用できなくなる場合がありましたが、共生型サービスの創設により、これまで利用していた事業所が共生型サービスの指定を受けることで、65歳以降も引き続き利用できることになりました。 [課題] ・ グループホームの入居者の高齢化に対応するため、バリアフリー化等の改修を推進する必要があります。 ・ 共生型サービスの創設により、地域の実情や事業所の実態に合わせたサービスを提供しやすくなる一方で、多様な利用者の個々のニーズに対応できる介護職員の確保が課題となります。 ・ 高齢期の障がい者は、一般の人に比べて健康管理が難しくなる傾向があり、そのため、在宅診療の充実を図りつつ、医療と介護の連携をより進めることが必要です。 ・ 地域の中で在宅での生活を推進するため、介護保険サービスに加え、ボランティア等の地域資源を活用した支援体制を構築することが重要な課題です。(再掲) ・ 介護保険又は障がい福祉のいずれかの指定を受けている事業所が、もう一方の制度における人員基準、施設基準等を満たしていない場合があります。 [今後の取組方向] ○ 県は、グループホーム等の高齢化に対応した改修等を支援し、安全・安心な住まいの場の確保を図ります。 ○ 県は、介護保険サービス施設・事業所、障害福祉サービス事業所及び市町村に対し、研修や集団指導の場において「共生型サービス」の創設に伴う基準・報酬について、周知を図り、共生型サービスに取り組む事業所の普及に努めます。 B 高齢者施策と障がい者施策の一体化 [現状] ・ 県は、「山形県地域福祉推進計画(第4期)」を踏まえ、人と人との繋がりや地域との繋がりを大切にし、「お互いさま」の精神の下、助け合い、支え合いながら県民だれもが地域で安心して暮らしやすい地域づくりを推進しています。 ・ 全国有数の高齢県となっている本県においては、障がい者の高齢化が進んでおり、生涯にわたる支援が求められていますが、高齢期以降に障がいが発生した高齢者に対しても同様に支援するため、高齢者施策と障がい者施策の一体化が必要となってきています。 [課題] ・ 高齢化した障がい者及び高齢期以降に障がいが発生した高齢者(高齢障がい者)の支援については、支援をマネジメントする介護支援専門員(ケアマネジャー)(介護側)と相談支援専門員(障がい側)とが、互いに高齢者支援及び障がい者支援に関する知識・技術を学び、理解を深めるとともに、支援に必要な情報を共有できる連携体制の構築が必要です。 [今後の取組方向] ○ 県は、「山形県地域福祉推進計画(第4期)」に沿って、市町村における「我が事・丸ごと」の地域共生社会の実現に向けた地域づくりを推進します。 ○ 県は、高齢障がい者が福祉サービスを利用しやすい体制を整備するため、介護支援専門員と相談支援専門員とが共に高齢障がい者に対する支援に必要な情報を共有できる連携体制を構築するとともに、支援者の資質を高める取組を推進します。 ○ 県は、限られた福祉人材や資源を有効活用するという観点から、同一の事業所で一体的に介護保険と障がい福祉のサービスを提供する取組の拡大を図っていきます。 (6) 精神保健・医療の適切な提供    (精神保健福祉対策の推進)  [現状] ・ 本県における平成29年度末の精神通院医療費公費負担受給者数は11,292人、精神障害者保健福祉手帳所持者数は5,821人で、精神疾患を有する方々は県内でも年々増加しています。 ・ 精神疾患に関する正しい知識の普及や精神科診療所(心療内科を含む。)の増加などにより、精神科等を受診する精神疾患患者は増加しています。  [課題] ・ 精神疾患はできるだけ早くその症状に気づき、正しい対処や治療が速やかになされれば、回復も早く軽症で済む可能性が高いことから、早期発見、早期治療につなげる取組が重要です。 ・ 精神疾患の早期発見、早期治療のためには、精神疾患についての正しい知識の普及や心の健康に関する相談支援の充実が必要です。    [今後の取組方向] ○ 県は、精神疾患の早期発見と早期治療につなげるために、市町村と連携し、一般県民、当事者家族等を対象とした研修会や家族教室等の開催により、統合失調症やうつ病、依存症などの精神疾患や精神障がい者に関する正しい知識の普及と理解の促進を図ります。 ○ 県は、地域や職場等におけるメンタルヘルスの取組への支援の充実を図ります。 ○ 県は、市町村や関係団体等においてこころの健康に関する相談業務に従事する職員等の資質向上のため、研修等の充実を図るとともに、相談窓口の周知に努め、相談受付体制の充実を図ります。    (多様な精神疾患に対応した精神科医療体制の構築)  [現状] ・ 精神科医療については、精神病床を有する20病院において入院医療が提供されているほか、総合病院や精神科診療所等において、通院医療が提供されています。 ・ 精神疾患における重症化の防止には、早期発見からの適切な治療と患者の状況に応じた精神科医療の提供が重要です。  [課題] ・ 精神科受診への抵抗感から、発病時に「かかりつけ医」などの一般診療科を受診する傾向が見られることから、精神科と一般診療科との連携が必要です。 ・ これまでの統合失調症を中心とした医療に加え、増加傾向にある認知症や児童・思春期精神疾患、依存症などに対応する専門医療の充実が必要です。 [今後の取組方向] ○ 県は、一般診療科医と精神科医の連携について協議の場を設けるなど、具体的な連携に向けた仕組みづくりを進め、日常的な連携を促進します。 ○ 県は、精神疾患患者の多様なニーズに応じた専門的な医療提供に対応できる人材の育成など、医療提供体制の強化を図り、精神疾患患者の状況に合わせて適切な医療が提供できる体制の構築を推進します。 ○ 県は、精神疾患患者が病期や状態に応じて適切な精神科医療を受けることができるよう、医療機関の情報の患者等への提供に努めます。  (精神科救急医療体制の充実)  [現状] ・ 本県の精神科救急医療体制における精神科医療圏域は、村山、置賜及び庄内・最上の3つの圏域に設定しており、各精神科医療圏域において救急医療体制の基幹となる病院を指定しています。 ・  本県の精神科救急医療体制は、主として夜間や休日における医療体制を確保するため、県内を「村山」、「置賜」、「庄内・最上」の3圏域に分け、精神科救急医療施設による病院群輪番制を整備し、当番病院が受入れに対応しています。 県内の精神科救急医療施設(平成30年度) ・ 村山圏域の2病院、置賜圏域の2病院及び庄内・最上圏域の1病院は、急性期の集中的治療を充実させた、早期の退院を図る入院病棟を持つ病院(精神科救急入院料病棟「精神科スーパー救急」)として、精神疾患による救急患者を受け入れています。 ・ 県民からの精神科救急医療相談の対応及び消防機関、警察、救急医療機関からの要請に対する受入れ病院の調整を実施するため、「精神科救急情報センター」を設置しています。 [課題] ・ 自殺企図による大量服薬や外傷などの身体的症状を合併する精神疾患患者については、医療機関への受入までに長時間を要することがあり、その対応が課題となっています。 ・ 「精神科救急情報センター」における精神科救急に関する相談利用件数が少なく、認知度の向上と活用の促進が必要です。 [今後の取組方向] ○ 県は、救急患者の受入れに関する情報交換の場を設定し、精神科医療機関ごとの精神科救急における役割分担の明確化を図ります。 ○ 県は、関係者による精神科救急に関する個別ケースの事例検討等を通して、一般救急医療機関と精神科救急医療機関の連携体制の強化に努めます。 ○ 県は、精神科救急情報センターについて、関連するイベントでの周知活動や各種媒体を活用した情報発信により、同センターの認知度の向上に努めるとともに、相談員を対象とした研修会の開催等による対応能力の向上を図り、より一層の活用の促進を図ります。 ○ 県は、「県立こころの医療センター」に設置した精神科救急入院料病棟(スーパー救急病棟)により、急性期の集中的治療の充実に努めます。 (7) 様々な障がいへの対応の強化  @ 重症心身障がい児(者)支援の充実  [現状] ・ 重症心身障がい児に係る入所施設として、医療型障がい児入所施設が1箇所あります。また、独立行政法人国立病院機構の2病院が、指定発達支援医療機関として医療型障がい児入所支援を提供しています。 ・ 医療的ケアの必要な重症心身障がい児(者)を受け入れることができる医療型短期入所事業所は県内に4箇所あります。 ・ 主として重症心身障がい児に対し支援を行う児童発達支援事業所は3箇所、放課後等デイサービス事業所は6箇所あります。 ・ 県立こども医療療育センターに平成28年度に新医療棟を整備し、常時医療的ケアが必要な重症心身障がい児(者)の受入れに対応しています。  [課題] ・ 重症心身障がい児に対して支援を行う事業所の数が不足しており、県内における受入事業所を増やしていく必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、重症心身障がい児(者)が身近な地域で必要な支援を受けられるように、児童発達支援、生活介護及び短期入所事業所の拡充に努め、支援体制の充実を図ります。   A 発達障がい児(者)支援の充実  [現状] ・ 近年、発達障がいについての認知が進んだことにより、発達障がいの疑いのある児童の発見件数が増加傾向にあり、受診及び発達支援へのニーズが高まっています。   県立こども医療療育センターにおける発達障がい初診予約件数 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 未就学児 229人 276人 264人 267人 339人 就学児 73人 73人 79人 97人 84人 計 302人 349人 343人 364人 423人 ・ 発達障がい児の円滑な社会適応には、早期発見・早期支援が重要といわれているため、保育士等身近な支援者への理解促進及び支援技術向上のための研修を行っています。  ・ 発達障がいの受診ニーズへ対応するため、発達障がい児(者)に対応できる医療機関の調査を行い、医療機関の公表を行なうとともに、身近な医療機関での診療を可能にするため、かかりつけ医等を対象に研修会を開催しています。  ・ 発達障がい児(者)をもつ先輩保護者をペアレントメンター※として養成し、家族支援の充実を図っています。  ・ ライフステージに対応した継続した支援を可能にするため、「やまがたサポートファイル」※の作成・普及を行っています。    [課題] ・ 発達障がい児の専門医療機関である、県立こども医療療育センター小児科への受診希望者の増加により、初診待機期間が長期化しているため、診療に対応できる医療機関の確保と、診断前からの支援の充実が求められています。  ・ 就学や進学、就労等ライフステージの変更により途切れない支援体制の整備が必要です。  ・ 県発達障がい者支援センターの相談の3割以上を18歳以上が占めており、進学や就職を機に、障がい特性による問題の顕在化がみられています。   [今後の取組方向] ○ 県は、県民への普及啓発及び支援者への支援技術向上を図るため、県発達障がい者支援センター及び各保健所において、正しい知識の理解を促進する研修会を開催します。  ○ 県は、発達障がい者支援センターを中核として、対応困難な事例に対する助言等、地域支援機能の強化を図るとともに、就労支援機関と連携し、発達障がい者の就労についての理解促進と支援の充実を図ります。  ○ 県は、発達障がい児(者)の診療に対応できる医療機関の調査を毎年実施し、結果を公表するとともに、かかりつけ医を対象とした研修会を引き続き実施していきます。 ○ 県は、県立障がい児入所施設における保護者等からの相談支援等を引き続き実施し、身近な地域における支援を継続していきます。 ○ 県は、発達障害児(者)の家族に対する支援を充実するため、ペアレントメンターの養成及び活用を図ります。  ○ 県は、ライフステージに対応した継続支援のために、「やまがたサポートファイル」の普及・定着を図るとともに、就学前から就労までの各支援機関が一堂に集う協議の場を設け、関係機関の連携強化を図ります。  ○ 県は、県立こころの医療センターに発達障がいや児童思春期の心の病に対する専門外来・病棟を設置しています。また、教員が常駐し当該病棟への入院患者に教育を行う院内学級も併せて設置し、発達障がい児の支援の充実を図ります。 ○ 県は、児童思春期精神科医療を担う県立こころの医療センターと近接する県立こども医療療育センター庄内支所との効果的な連携について検討していきます。 ※ ペアレントメンター:発達障がいのある子どもを育てている保護者に対し、発達障がい児の子育てを行ってきた経験・知識・情報を活かし相談活動を行う先輩保護者のこと。 ※ やまがたサポートファイル:発達障がいで支援が必要な方の特性や必要な配慮、相談や支援、診察の履歴等の情報をファイリングし、入園、就学・進学、就労等で支援者が代わる機会に説明の負担を軽減し、円滑な支援につなげるための山形県独自の情報共有ツールのこと。  B 高次脳機能障がい者支援の充実  [現状] ・ 「高次脳機能障がい」は、脳卒中や頭部外傷などの脳の損傷により生じる、記憶障がい、注意障がい、遂行機能障がい、社会的行動障がいなどの認知障がいにより、日常生活や社会生活への適応に困難を伴う障がいです。 ・ 県は、高次脳機能障がいに関する専門相談機関として、山形県高次脳機能障がい者支援センターを県内に2か所設置し、相談支援及び福祉事業者等への相談指導・研修の実施等を行っています。  [課題] ・ 高次脳機能障がいは、外観からはわかりにくいため「見えない障がい」といわれ、本人や家族、医療・福祉関係者等の支援者からも理解がされにくい場合があります。  ・ 特に若年の高次脳機能障がい者は地域の中で孤立しやすい状況にあり、高次脳機能障がい者同士が仲間と出会い、日中活動する場、社会復帰訓練の場が必要とされています。  ・ 県内における高次脳機能障がいへの理解や支援の地域格差を小さくしていくことが必要です。   [今後の取組方向] ○ 県は、高次脳機能障がいに関する正しい知識の普及啓発を行い、障がいへの理解促進を図ります。  ○ 県は、2か所の高次脳機能障がい者支援センターを中核として、相談支援、就労等社会復帰支援、関係機関との支援ネットワークの充実を図ります。   C 難病患者の治療や療養生活の支援の充実  [現状] ・ 平成25年4月の障害者総合支援法の施行に伴い、障がい者の範囲に難病患者が追加され、難病患者が障害福祉サービスの利用対象とされたことにより、難病患者の在宅療養環境の充実が図られました。  ・ 平成27年1月の「難病の患者に対する医療等に関する法律」の施行に伴い、難病の患者に対する医療費助成が法律に基づく公平かつ安定した制度として確立され、総合的な難病対策が進められているところです。  ・ 県では、難病患者の療養上、生活上の悩みや不安の相談に応じるため、山形県難病相談支援センターを設置し、難病患者等に対する相談支援を行っています。   [課題] ・ 県では、これまで主に重症難病患者の入院施設の確保を目的として、「難病医療ネットワーク」を構築してきましたが、長期の療養を必要とする難病患者が身近な医療機関等で適切な医療を受けながら生活を送るためには、地域における難病医療提供の充実と医療機関等の連携が必要です。  ・ これまでの重症の在宅難病患者に対する支援を中心とした施策だけでなく、難病の各疾病や領域ごとの特性に応じ、多様な難病患者への支援策、地域の実情に応じた難病に関する医療を提供する体制の構築が求められています。 ・ 難病患者は数が少なく、その多様性のために他者からの理解が得にくいほか、療養が長期に及ぶこと等により、生活上の不安が大きいことから、難病患者や家族の負担軽減のために保健・医療・福祉等多方面から支援していく必要があります。   [今後の取組方向] ○ 県は、地域における難病医療提供の充実と医療機関等の連携を図るため、「難病医療ネットワーク」の拡充に努めます。  ○ 県は、在宅難病患者の療養環境の整備を図るため、医療・保健・福祉、教育、雇用等関係機関・団体で構成する難病対策地域協議会を開催し、地域における難病患者の支援体制の連携強化を図ります。  ○ 県は、市町村が障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを円滑に実施するために必要な情報提供を行うなど、市町村を支援するほか、難病患者のニーズに合った障害福祉サービスの利用促進を図ります。 ○ 県は、様々な難病の患者に対する適切な医療の提供と、医療機関等の連携を図るため、難病医療提供体制の中核となる難病診療連携拠点病院及び難病診療分野別拠点病院の指定を行うとともに、山形県難病医療ネットワークの拡充に努めます。 ○ 県は、難病相談支援センターにおいて、在宅で療養する難病患者の日常生活における相談・支援、地域交流活動の促進及び就労支援など、難病患者等が持つ様々なニーズに対応したきめ細かな支援を実施します。   D 医療的ケア児支援の充実  [現状] ・ 医療技術の進歩等を背景に、NICU(新生児集中治療管理室)等に長期間入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的な必要な障がい児(医療的ケア児)が全国的に増加しています。  ・ 病院を退院し、在宅で生活する医療的ケア児は、主として家族のケアによって支えられており、家族の孤立や疲弊も指摘されています。 ・ 県では、医療的ケア児を支援する体制を整備するため、県及び各圏域に協議の場を設置し、関係機関による意見交換を進めています。   [課題] ・ 医療的ケア児が身近な地域で必要な支援を受けられるように、障がい児支援等のサービスの充実が必要です。  ・ 医療的ケア児がそのライフステージや心身の状況に応じて、保健、医療、障がい福祉、保育、教育等の各関連分野の支援が受けられるよう、関係者が連携を図るための協議の場を設けること等により、総合的な支援体制を構築することが必要です。  ・ 医療的ケア児にかかわる支援は多分野に及ぶことから、各関連分野のサービス利用を調整するコーディネーターが必要となります。     [今後の取組方向] ○ 県は、医療的ケア児が身近な地域にある保健・医療・福祉等の関係機関において包括的な支援サービスを受けられるように、支援体制の充実を図ります。    ○ 県は、支援にかかわる機関が連携を図るための協議の場において、医療的ケア児の支援に関する課題と対応策の検討等を行います。 ○ 県は、医療的ケア児の支援を総合調整するコーディネーターを養成するとともに、看護師や介護職員等、各分野において医療的ケア児を直接処遇する人材の育成を図ります。  ○ 県は、保育所等において医療的ケア児の受入れを可能とするための体制を整備するために、保育所等での医療的ケア児の保育支援のモデル事業を実施する市町村を支援します。(再掲) ○ 県教育委員会は、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍する特別支援学校には、必要な専門性を身に付けた看護師を確実に配置していきます。(再掲) ○ 県教育委員会は、特別支援学校における安全で適切な医療的ケアの実施と、高度な医療的ケアにも対応できるような研修会の実施や体制の整備を推進していきます。(再掲) 3 共に支え合う地域づくり (1) 差別の解消と権利擁護の推進  @ 差別解消に向けた啓発・広報・コミュニケーションの促進(理解促進・意識醸成)  [現状] ・ 障害者差別解消法の制定(平成28年4月施行)により、障がいを理由とする差別を禁止し、それが遵守されるよう行政機関等に具体的な措置を求め、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指していくことが定められました。  ・ 障害者差別解消法の制定等の社会情勢を踏まえ、県では、平成28年4月に、「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を施行し、障がいを理由とする差別の解消に県民一体となって取組み、障がいの有無にかかわらず誰もが共生する社会の実現を目指しています。  ・ 県内市町村の障がい者差別解消条例は、山形市、真室川町、川西町、飯豊町の1市3町で施行されています。(平成30年12月末現在)  ・ また、平成28年5月には、医療・福祉、教育、産業、交通、スポーツ・芸術、行政など、各分野の団体等を構成員とする「障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり県民会議」を設置し、共生社会の実現に向けた推進体制を整備しました。  ・ 県は、障がいを理由とする差別に関する相談窓口を設置し、相談者への助言や関係者間の調整などを行っています。  ・ 県は、共生社会の実現に向けた取組の一つとして、職場や地域において障がいを理由とする差別の解消に中心的な役割を担う「心のバリアフリー推進員」の養成研修を実施し、障がい及び障がい者に対する正しい理解と障がい特性や場面に応じた必要な配慮等についての理解の促進を図っています。  ・ 県は、「山形県における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」を作成し、障がい者が来庁した際の職員の適切な対応に努めています。 ・ 県は内閣府との共催により、共生社会の実現と障がい者に対する県民の理解促進を図るため、小学生から成人を対象に「心の輪を広げる体験作文」を、小中学生を対象に「障害者週間のポスター」をそれぞれ募集し、優秀作品を選定・表彰しています。  ・ 県では、毎年12月に内閣府で行っている「障害者週間」を「障がい者差別解消強化月間」(12月1日から31日まで)として拡大して行っており、その間、心の輪を広げる体験作文・ポスターの表彰等を始め、障がい者への理解を深める行事を開催するなど、啓発・広報活動に力をいれてきたところです。  [課題] ・ 障がい及び障がい者に対する正しい知識や必要な配慮等について理解が広がってきていますが、今なお、誤解や偏見及びこれらに起因する障がい者に対する不当な差別的取り扱いが、障がい者の社会参加や自立を妨げる様々な社会的障壁となっています。  ・ 県は、障がい及び障がい者に対する県民の関心と理解を深めるため、啓発や知識の普及等の施策を行っていますが、障がいを理由とする差別の解消に対する県民の理解がまだ十分ではありません。  ・ 県内市町村の障がい者差別解消条例の制定・施行は、1市3町にとどまっています。(平成30年12月末現在)  ・ 共生社会を実現するためには、障がい者が社会参加しやすい環境を整備していく必要があります。   [今後の取組方向] ○ 県は、法及び条例の趣旨に基づき、障がいを理由とする差別の解消と共生社会の実現に向けた施策を引き続き実施します。  ○ 県は、「障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり県民会議」において、各関係機関・団体等の障がいを理由とする差別の解消に関する取組や課題等について情報共有を図るとともに、その実施を支援します。  ○ 県は、心のバリアフリー推進員の養成及び活動支援、ヘルプマークの普及促進、パンフレット(一般・児童向け)の配布等を通して、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供等について、県民に広く周知し理解を促進します。  ○ 県は、市町村レベルでも障がいを理由とする差別の解消等に適切に対応できるよう、全ての市町村において障がい者差別解消条例が制定されることを目標に支援していきます。 ○ 県は、障がい者団体や市町村等が行う、障がい者の自立と社会参加の促進に資する大会やイベント等の開催に対して、支援や助言を行います。  ○ 県は、障がい者に対する県民の理解を促進するため、広報誌やテレビ・ラジオなど様々な広報媒体を活用し、障がいを理由とする差別の解消及び心のバリアフリーの促進等をテーマにした広報を積極的に実施します。  ○ 県は、引き続き、「障がい者差別解消強化月間」を設定し、啓発・広報活動の充実に努めるとともに、障がいのある人とない人がコミュニケーションを深め、障がい者に対する理解の促進と社会全体の意識の醸成を図っていきます。  A 心のバリアフリー推進員の養成  [現状] ・ 県は、「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」(平成28年4月施行)に基づき、共生社会の実現に向けた各種施策を展開しており、その中で、職場や地域において障がいを理由とする差別の解消に中心的な役割を担う「心のバリアフリー推進員」の養成研修(定期講座・出前講座)を平成28年度から実施し、障がい及び障がい者に対する正しい理解と障がい特性や場面に応じた必要な配慮等についての理解の促進を図っています。  ・ 平成28年度からの5年間で、推進員を2,000人養成することを目標にしています。  [課題] ・ 心のバリアフリー推進員の養成数は、令和2年度までの2,000人の目標に向けて順調に増加しています。しかし、これまでの受講者をみると、福祉関係者がやや多いなど、業種に偏りが見られます。  ・ 企業や地域における障がいを理由とする差別の解消が、より広がりのあるものとするには、養成した推進員に効果的に普及活動を行ってもらう必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、心のバリアフリー推進員養成研修を継続して実施し、受講者については、業種や地域に偏りが生じないように配慮するなど、効果的な実施に努めます。  ○ 県は、養成した推進員に対して、随時相談に応じながら、普及に際して必要なパンフレットや資料、情報等を提供するなど、推進員の企業や地域における効果的な普及活動を後押ししていきます。   B ヘルプマークの普及  [現状] ・ 義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが外見からはわからない方が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせ、援助や配慮を得やすくなることを目的とした「ヘルプマーク」は、全国の都道府県で導入が進んでいます。 ・ 県では、多くの企業・団体からの協賛を得て、ヘルプマークを15,000個作成し、平成30年9月から県庁、総合支庁及び市町村役場において配布を始めました。 ・ ヘルプマークの普及については、県内の市町村を始め、学校、病院・診療所、金融機関、コンビニエンスストア等へポスター・チラシを送付し、掲示や配布を依頼したほか、マスコミ各社の協力を得て、テレビ、ラジオ、新聞等で特集を組むなど、周知に努めています。    [課題] ・ ヘルプマークは、使用する方だけでなく、援助や配慮を行う立場となる方も含め、広くマークの意味を理解してもらうことで期待している機能が発揮されることから、県民に対する周知は非常に重要となります。  [今後の取組方向] ○ 県は、ヘルプマークが必要とする方に確実に行き渡るように、障がい者団体及び難病患者等の団体と調整を進めていきます。 ○ 県は、これまでの周知方法に加えて、企業・団体等から協力を得て、企業広告でのPRや店舗でのポスター掲示を行うなど、県民に広く定着するよう普及活動に取り組みます。 C 成年後見制度等の活用 [現状] ・ 成年後見制度は判断能力が不十分な方を保護・支援することを目的に、その方の生活・財産管理を本人に代わって法的な権限を与えられた後見人等が行うことにより、本人が安心して生活できるようにするための制度です。 ・ 障害福祉サービスを利用する知的障がい者や精神障がい者が成年後見制度を利用するにあたって、必要となる費用を助成する市町村の成年後見制度利用支援事業があります。 [課題] ・ 高齢化の進展により、成年後見制度の利用を必要とする人が今後ますます増えることが見込まれるため、制度の周知・徹底、後見人等の受任者の確保等により制度の円滑な運用を図る必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県は、成年後見制度を必要とする全ての障がい者が、本制度を利用できるよう、市町村等とともに制度の普及や活用を促進する取組を進めていきます。 D 障がい者に対する虐待の防止 [現状] ・ 障がい者に対する虐待を防止し、障がい者の権利・利益を擁護するため、平成24年10月に「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」が施行されました。  ・ 県には市町村相互間の連絡調整や市町村に対する情報提供等の業務を行う「山形県障がい者権利擁護センター」が、県内全ての市町村には障がい者虐待の対応窓口となる「障がい者虐待防止センター」が設置され、虐待に対する対応を行っています。 ・ 県は、障がい者に対する虐待を防止し、障がい者が尊厳を持って安心して暮らすことができる地域づくりの実現に向けて「山形県高齢者・障がい者虐待防止会議」を設置しています。 ・ 本県における各年度の障害者福祉施設従事者等による障がい者虐待、養護者による虐待は、それぞれ一定数発生している状況にあります。  [課題] ・ 障がい者に対する虐待は、障がい者の尊厳を害するものであり、障がい者の自立及び社会参加にとって、虐待を防止することは極めて重要です。  ・ 障がい者に対する虐待の防止や早期発見、虐待を受けた障がい者に対する保護や自立の支援、養護者による虐待防止のための養護者に対する支援を行うため、虐待防止の周知・啓発、関係機関職員の資質向上、効果的な連携協力体制の充実を図る必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、引き続き、障がい者に対する虐待の防止や早期発見及び権利擁護のための啓発パンフレットを作成・配布するなどの広報を通じ、県民に向けての虐待防止や通報義務の周知・啓発を行います。 ○ 県は、引き続き、障がい者に対する虐待の防止や権利擁護についての理解を深めるための障害福祉サービス事業所等職員の管理者等を対象とした研修や、虐待の相談や事案に対する迅速な対応を図るための市町村担当職員を対象とした研修を行います。 ○ 県は、市町村等の関係機関と、障がい者に対する虐待への迅速かつ効果的な支援が行える体制づくりを進めるとともに、市町村等と連携し、虐待に関する情報を共有し、虐待を受けた障がい者等の支援の充実に努めます。  ○ 県は、障害福祉サービス事業所等における虐待防止対策として、「山形県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」において、虐待防止のための責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、施設従事者に対し研修を行う等の措置を講じるよう規定しているところであり、この措置について、福祉サービス第三者評価事業を活用し、第三者による評価を受けることを推進していきます。 (2) バリアフリー化の促進  @ 情報の利用しやすさ(アクセシビリティ)の向上  (情報提供施設と情報通信技術の活用)  [現状] ・ 県立点字図書館は、視覚障がい者の教養と生活文化の向上を図るため、点字刊行物及び盲人用録音物の貸出し及び各種相談業務を通した情報提供等を行い、視覚障がい者の福祉の増進に努めています。  ・ 山形県聴覚障がい者情報支援センターは、手話や筆談等による相談支援や手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修、情報機器の貸出し等各種事業を行う情報提供施設として機能しています。  [課題] ・ 情報通信技術(ICT)の活用により障がい者の個々の能力を引き出し、自立や社会参加を促すための、障がい特性に対応した情報提供方法の充実が求められています。   [今後の取組方向] ○ 県は、視覚障がい者及び聴覚障がい者の情報通信技術(ICT)の利活用の機会拡大を図るために、障がいの特性に応じたICT講習会を開催するとともに、障がい者のパソコン機器等の使用を支援するパソコンボランティアの養成・派遣を行うなど、障がいによる情報格差が生じないよう、情報通信技術(ICT)の活用を積極的に推進します。  ○ 県立点字図書館は、全国の点字図書館とオンラインで図書の貸出しができるパソコンネットワーク「サピエ」を活用し、視覚障がい者の読書の選択肢を広げていきます。  ○ 県は、県立点字図書館及び山形県聴覚障がい者情報支援センターについて、視覚障がい者及び聴覚障がい者に対する情報拠点施設として充実を図り、積極的な情報提供を推進します。 (障がいのある方々が投票しやすい環境整備) [現状] ・ 現行の公職選挙法等においては、視覚障がい者や聴覚障がい者の方々が選挙権を適正に行使できるよう、点字投票の実施や、衆議院議員選挙、参議院議員選挙及び県知事選挙における手話通訳を付した政見放送の録画が可能となっています。 ・ 候補者氏名、政見等が点字記載された「選挙のお知らせ」の配布や、点字名簿の投票所への備え付け等、障がいのある方への様々な情報提供に努めています。 [課題] ・ 障がいのある方々が投票しやすい環境を整備するため、公職選挙法等で定められた取組を補完する様々な情報提供を行う必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県選挙管理委員会は、国及び県の選挙で候補者氏名、政見等が点字記載された「選挙のお知らせ」を視覚障がい者へ配布するとともに、候補者の点字名簿を投票所に備え付けます。 ○ 県選挙管理委員会は、県聴覚障害者協会が県内各地で開催する政見放送を見る会に対して政見放送を録画したビデオやDVDの貸し出しなどの支援を行います。  A 意思疎通支援の充実  (法律や条例に基づいた取組)  [現状] ・ 県は、平成28年4月に「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を施行し、その中で、全ての障がい者が、言語(手話を含む)その他の意思疎通のための手段について選択の機会が確保されることを基本理念に掲げています。  ・ 平成29年3月には山形県議会議員の発議による「山形県手話言語条例」を制定・施行し、県の責務として、手話の普及や手話を使用しやすい環境の整備のために必要な施策を推進することが定められました。  ・ 全国的な動きとしては、平成28年7月に「手話を広める知事の会」が設立され、手話言語法(仮称)の制定を国に求めるとともに、手話の普及を図り、聴覚障がい者の更なる自立と社会参加を目指した取組が行われています。  ・ 市町村は、障害者総合支援法に基づき、意思疎通を図ることに支障がある方に対して、補装具や日常生活用具等の給付を行っているほか、手話通訳者及び要約筆記者の派遣などの意思疎通支援事業を実施しています。  ・ 県は、市町村域を越える広域的な大会や会議などへ手話通訳者及び要約筆記者の派遣を行っています。また、盲ろう者の自立と社会参加を図るため、コミュニケーション及び移動等の支援を行う盲ろう者向け通訳・介助員を派遣する事業を実施しています。  ・ 県は、疾病等により喉頭を摘出し音声機能を喪失した方に対し、発声訓練(人口喉頭訓練)を実施しています。併せてその指導者を養成しています。  ・ 県は、視覚障がい者のコミュニケーション手段の確保のため、点訳奉仕員、朗読奉仕員、音訳校正ボランティア、音訳編集ボランティアを養成するとともに、支援者の資質向上研修会を実施しています。  ・ 県は、障がい者のパソコン機器等の使用を支援するため、パソコンボランティアを養成し、派遣しています。  ・ 山形県聴覚障がい者情報支援センターは、手話や筆談等による相談支援や手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修等の事業を行うとともに、情報機器の貸出し等の事業を行う情報提供施設として機能しています。  ・ 県立点字図書館は、点字刊行物や盲人用録音物の貸出し及び各種相談業務を通した情報提供等を行い、視覚障がい者の教養と生活文化の向上に努めています。   [課題] ・ 意思疎通を図ることに支障がある方に対して情報を提供するに当たっては、障がいの特性に応じた適切な意思疎通手段により提供することが必要であり、支援ニーズに応じて、より多くの情報を得ることができるよう、積極的に情報提供を行うとともに、手話や点字等、情報提供方法の充実を図る必要があります。  ・ 意思疎通を図ることに支障がある方の支援ニーズが多様化しており、手話通訳者や要約筆記者を始め、より多くの支援に携わる人材の養成・確保と資質の向上が求められています。(再掲)  ・ 情報通信技術(ICT)の活用により、障がい者の個々の能力を引き出し、自立や社会参加を促すためには、障がい特性による情報格差が生じないよう、情報提供方法を充実する必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、市町村及び支援機関との連携・協力により、手話、要約筆記(文字情報)、点字等、障がい特性や支援ニーズに応じた適切な意思疎通手段の確保・充実に努めます。  ○ 県は、手話通訳者、要約筆記者及び盲ろう者向け通訳・介助員等の支援者の派遣及び養成を継続するとともに、支援者の資質向上のための研修を継続します。  ○ 県は、発声訓練(人工喉頭訓練)の実施を継続します。併せてその指導者の養成を継続します。  ○ 県は、視覚障がい者のコミュニケーション手段の確保のため、点訳奉仕員、朗読奉仕員、音訳校正ボランティア、音訳編集ボランティアを養成するとともに、支援者の資質向上研修会を継続します。 ○ 県は、聴覚障がい者及び視覚障がい者の情報通信技術(ICT)の利活用の機会拡大を図るため、障がいの特性に応じたICT講習会を開催するとともに、障がい者のパソコン機器等の使用を支援するパソコンボランティアの養成・派遣を引き続き行い、障がいによる情報格差が生じないよう、情報通信技術(ICT)の活用を積極的に推進します。  ○ 県は、視覚障がい者が使用する音声(SP)コードの普及を市町村と連携を図り進めていきます。  ○ 県は、県立点字図書館及び山形県聴覚障がい者情報支援センターについて、視覚障がい者及び聴覚障がい者に対する情報拠点施設として充実を図り、積極的な情報収集・情報提供を推進します。  ○ 県は、県立点字図書館及び山形県聴覚障がい者情報支援センターの運営懇談会等を通して、定期的に関係団体と意見交換を行いながら、適切な意思疎通支援の方法等について検討し、各種事業の効果的な実施と支援の充実につなげます。  (学校における手話等の普及) [現状] ・ 平成28年4月に「障害者差別解消法」及び「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」が施行され、学校においては、障がいのある児童生徒の学びを保障するために、個に応じた様々な合理的配慮の提供が求められています。 [課題] ・ 聴覚障がいがある児童生徒への教育を行う際に、教員等が、児童生徒の個々の実態に応じた適切な配慮や指導が行えるよう、聴覚障がいがある児童生徒への教育方法や手話等のコミュニケーション手段等についての専門性の向上を図っていく必要があります。そのための研修は、特別支援学校や特別支援学級の教員はもちろん、通常の学級の担任等も含めて幅広い教員を対象として実施していく必要があります。 ・ 聴覚障がいがある児童生徒への教育を行う特別支援学校においては、各特別支援学校の教育相談機能を効果的に活用し、地域内の幼稚園・保育所、小・中・高等学校等からの要請に応じて、このような障がいのある幼児児童生徒の教育に関する相談・支援を行い、より一層地域の特別支援教育の中核施設としての役割を果たしていく必要があります。 ・ 聴覚障がい者のほかにも、点字等による意思疎通支援を必要とする視覚障がい者がいることについて、児童生徒の理解は十分ではありません。 [今後の取組方向] ○ 関係機関と連携して、聴覚障がい等によりコミュニケーションに課題がある児童生徒への教育や手話等のコミュニケーション手段に関する専門性を向上させるため、教員等に対する研修の機会を設ける等、関係者の理解を深めていきます。 ○ 幼稚園・保育所、小・中・高等学校等からの多様な相談・支援のニーズに対応できるよう、聴覚障がい教育を行う特別支援学校の教育相談機能の充実を図ります。 ○ 聴覚障がい者のほかにも、点字やデジタル図書・音声図書等による意思疎通支援を必要とする視覚障がい者がいることについても、小・中・高等学校において児童生徒の理解を促進していきます。  B 手話の普及その他手話を使用しやすい環境の整備のために必要な施策の推進 [現状] ・ 県は、山形県手話言語条例の制定・施行(平成29年3月)により、本計画において、手話の普及その他手話を使用しやすい環境の整備のために必要な施策を定め、効果的かつ計画的に推進することとしています。 ・ 全国的な動きとしては、平成28年7月に「手話を広める知事の会」が設立され、手話言語法(仮称)の制定を国に求めるとともに、手話の普及を図り、聴覚障がい者の更なる自立と社会参加を目指した取組が行われています。(再掲)  [課題] ・ 県は、山形県手話言語条例に基づき、手話が言語であるとの認識のもと、県民の手話に対する理解を深め、手話の普及と手話を使用しやすい環境づくりに取り組む必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県民向けの手話ハンドブックを作成・配布し、手話に対する県民の理解を促進します。 ○ インターネットを活用した手話の普及のため、本県オリジナルの手話普及動画を制作し、県ホームページへ掲載するとともに周知を図ります。内容については、親しみやすいもの(あいさつ、県名産品紹介など)、聴覚障がい者に対する理解が進むものとなるように工夫します。 ○ 手話を学ぶ・手話に触れる機会を創出するため、県民向けの出前手話講座(地域、学校、民間企業、行政機関など幅広く対象)を開催します。 ○ 手話を学びたい方を支援するため、山形県聴覚障がい者情報支援センターにおいて相談に応じるとともに、手話サークル等の活動情報を収集し、提供します。 ○ 知事記者会見において、引き続き、手話通訳を実施します。 ○ 県庁ロビーにおいて、引き続き、「山形県民の歌」の手話動画を定期的に放映します。  C 公共的施設等のバリアフリー化の促進  (山形県みんなにやさしいまちづくり条例の推進)  [現状] ・ 高齢者や障がい者等が地域で自立した生活を送るためには、誰もが快適に暮らすことができる環境を整備することが必要です。 ・ 県では、平成11年10月に「山形県福祉のまちづくり条例」を制定(平成20年3月に「山形県みんなにやさしいまちづくり条例」に改正)し、不特定又は多数の人が利用する施設等について整備基準を定め、障がい者等が自らの意志で自由に行動し、社会に参加できる環境整備(福祉のまちづくり)を推進してきました。 ・ 県では、障がい者等が施設やサービス等を円滑に利用できる環境の整備を進めるため、条例施行規則に定める整備基準に適合した生活関連施設に適合証を交付しています。 ・ 県では、平成19年6月から、身体障がい者や要介護高齢者、妊産婦等行動上の制限を受ける方に利用証を交付し、身体障がい者等用駐車施設の適正利用を促進しています。 ・ 県では、全ての人々が、あらゆる分野の活動に参加することができるよう、県内のバリアフリーに関する情報を集約しホームページで発信しています。また、県内主要施設のバリアフリー化の情報をまとめたインターネットサイト「やまがたバリアフリーMAP」の開設を支援し、高齢者や障がい者など外出の際に配慮を要する方などへ情報発信を行っています。 [課題] ・ みんなにやさしいまちづくりを推進するためには、県民や事業者がみんなにやさしいまちづくり条例の趣旨を理解し、積極的に取り組んでいけるよう啓発活動や情報提供の充実が必要です。 ・ 平成30年3月末までの適合証の交付件数は累計で86施設となっています。条例で定める生活関連施設の新築・増改築等に際し、施行規則で定める基準に適合するよう事業者に理解を求めていく必要があります。 ・ 県内のバリアフリーに関する情報については、情報を必要とする方が容易に情報を取得できるよう、内容の充実を図る必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県は、県民や事業者がみんなにやさしいまちづくりに積極的に取り組むことができるよう、啓発活動や情報提供を推進します。 ○ 県は、条例で定める生活関連施設の新築・増改築等に際し、施行規則で定める基準に適合するよう助言を行います。 ○ 県は、身体障がい者等用駐車施設利用証制度の適切な運用を推進します。 ○ 県は、「やまがたバリアフリーMAP」の内容の充実に協力するとともに、支援を必要とする方がユニバーサルデザイン※やバリアフリー等の様々な情報を容易に得ることができるように努めます。 ※ ユニバーサルデザイン:調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスを設計するという考え方のこと。 (都市公園のバリアフリー化)  [現状] ・ 都市公園は、人々のレクリエーションの空間となるほか、健康増進、自然とのふれあい、観光、地域間交流等の県民の多様なニーズに対応するとともに、地震などの災害時には避難地・避難路となる等、県民の生活に欠かせない多様な機能を有する都市の骨幹的な施設です。 ・ 都市公園の整備にあたっては、安全で安心な利用のため「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)及び「山形県みんなにやさしいまちづくり条例」に基づき、「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」を具体的な指針として、出入口や園路の段差解消、高齢者や障がい者等が利用可能なトイレの設置等のバリアフリー化を推進しています。 [課題] ・ 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)や「山形県みんなにやさしいまちづくり条例」が施行する前に整備した都市公園については、まだ、バリアフリー化されていない施設があり、一度の整備や改修により全てをバリアフリー化することは困難です。 [今後の取組方向] ○ 県は、個々の公園の特性や位置付けに応じてバリアフリー化の整備水準を検討し、計画的に整備や改修を進めていきます。  (バリアフリー観光の推進)  [現状] ・ 平成29年度においてバリアフリー観光推進事業を展開し、宿泊施設のバリアフリー化や従業員の接遇研修、接遇マニュアル作成などのモデル事業を実施しました。また、宿泊施設・観光施設のバリアフリー及びバリアの状況等の調査を行ったほか、ホームページ・観光案内所での情報発信を強化しました。 ※平成29年度における宿泊施設のバリアフリー化実績 2件 (内訳)宴会場のバリアフリー化 1件、バリアフリー貸切風呂の新設 1件   [課題] ・ 少子高齢化や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、高齢者や障がい者の旅行機会の拡大を目的として、引き続きバリアフリー観光を推進していく必要があります。  [今後の取組方向] ○ 「バリアフリー観光相談窓口」及び「やまがたバリアフリー観光ポータルサイト」の運営により情報発信を行います。    D 移動するために必要なバリアフリー化の促進  (移動面のバリアフリーに関する取組)  [現状] ・ 障害者総合支援法で、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加のための外出の際の移動の支援は、市町村が地域生活支援事業※を活用して行うこととされています。 ※ 市町村地域生活支援事業:地域生活支援事業(44ページ参照)のうち、市町村が実施主体となって実施されるもの。移動支援事業のほか、日常生活用具給付等事業や、意思疎通支援事業等がある。 ・ 県は、盲ろう者の自立と社会参加を図るため、コミュニケーション及び移動等の支援を行う盲ろう者向け通訳・介助員を派遣する盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業を実施しています。(再掲) ・ 視覚障がい者の移動を容易にするための盲導犬や、重度身体障がい者の移動を容易にするための介助犬の普及が行われています。  ・ 平成11年の山形新幹線の新庄延伸に伴い、鉄道主要駅のエレベーター、エスカレーター整備が進んでいます。 ・ 国では、ユニバーサルデザインの思想に基づいた標準仕様ノンステップバスの認定制度を創設し、普及を進めています。また、国及び県では、事業者への補助を通じて、低床型車両(ノンステップバス)の導入を進めています。  ※ ノンステップバスの推移 31.1%(平成24年度)⇒67.4%(平成29年度)   [課題] ・ 移動支援事業や盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業等について、継続して実施していく必要があります。 ・ 鉄道主要駅のエレベーター、エスカレーター整備は進んでいますが、その他の旅客施設についても、バリアフリー化の必要があります。 ・ 国では「移動等円滑化の促進に関する基本方針」を制定し、令和2年度の乗合バス車両のノンステップ化率の目標を70%とし、新規導入する車両については、原則ノンステップバス等のバリアフリー車両とするよう義務付けたところです。しかし、従来型の車両に比べ高額であること、国と県の補助に予算的・要件的な制約があること、大半の乗合バス事業者が赤字経営であることから、自主的な車両更新の進捗状況ははかばかしくありません。 [今後の取組方向] ○ 県は、移動支援事業を含め、市町村が行う地域生活支援事業を支援します。  ○ 県は、地域生活支援事業として、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業及び身体障害者補助犬育成事業を継続して実施します。  ○ 旅客施設のバリアフリー化については、バリアフリー新法に基づいて定められた基本方針において整備目標の対象とされている乗降客3,000人/日以上の旅客施設を中心として、主要な駅、ターミナルについて、事業者や市町村、関係機関と連携を図りながら、バリアフリー化を推進していきます。 ○ バス車両等のバリアフリー化については、事業者による補助制度等の活用により低床型車両(ノンステップバス)等の導入を推進します。 (安全で安心な歩行空間等の整備) [現状] ・ 歩行者の多い市街地については、安全確保のため、車椅子同士のすれ違いができる幅の広い歩道の整備を行っています。 ・ 新設する歩道については、バリアフリーに配慮した勾配・段差の少ない構造とすることを基本としています。また、最近では、通学路における歩道整備を最優先としています。  県管理道路の歩道設置延長  ※ 幅広歩道:車いす2台と自転車1台がすれ違える幅の歩道(幅員3m以上)   [課題] ・ 歩道整備を進めているところですが、歩道がなく歩行者にとって危険な道路がまだ多い状況にあり、また、歩道が設置されていても、幅員が狭い、段差があるといったバリアフリーの観点から課題がある道路も多い状況にあります。 ・ 近年頻発する地震や豪雨、暴風、豪雪等の自然災害により、道路が電柱、浸水、積雪などで閉塞され、災害時の移動が阻害される事象が多発しています。 [今後の取組方向] ○ 引き続き、交通量が多く歩行者が危険である道路について、バリアフリーに配慮した歩道整備を進めていきます。 ○ 特に歩行者の多い市街地中心部の歩道には、災害時に強く、安全で円滑な交通を確保するため、歩道の無電柱化や排水施設、無散水消雪等の融雪施設の整備を推進します。  E 市町村の取組に対する支援等による総合的な推進 (街づくりと一体的に行う道路整備) [現状] ・ 「山形県みんなにやさしいまちづくり条例」に基づき、市街地の道路整備事業を推進するにあたっては、地域住民が主体の提言機関である街づくり委員会等の地元組織と連携しながら事業を推進しています。 [課題] ・ 道路のバリアフリー化を推進する上で、地域住民の理解を深めることが重要となっています。 [今後の取組方向] ○ 市街地の道路整備事業を進めるための地域の街づくり委員会等に対し、「山形県みんなにやさしいまちづくり条例」に基づき、バリアフリー化に対する意識の高揚を図り、地域住民と協働して道路のバリアフリー化を推進していきます。 (3) 地域における見守り、支援の充実  @ ボランティア活動による支援の充実  (地域のボランティア活動)  [現状] ・ 障がい者や高齢者が住み慣れた地域社会で安心して生きがいをもった生活を送るため、地域福祉の充実が求められており、公的施策とともに、民間福祉活動の活性化を図っていくことが重要です。 ・ 平成28年の総務省の社会生活基本調査によれば、本県におけるボランティア活動の行動者率(10歳以上の推定人口に占める行動者率)は、32.1%(全国11位)と、5年前の調査に比べ3.2%減少したものの、全国値の26.0%と比べ高い割合で推移しています。 ・ 山形県社会福祉協議会が設置する「山形県ボランティア・市民活動振興センター」において、ボランティア活動への理解や参加を促す広報・啓発を行うとともに、市町村社会福祉協議会のボランティア活動への支援や地域で活動しているボランティア団体同士のネットワーク形成、ボランティア活動をコーディネートする人材の育成に努めています。 [課題] ・ 地域のあらゆる人が地域で役割を持ち、互いに協力して地域の生活課題に取り組んでいくためには、地域住民やボランティア、NPOなど様々な主体の協働を促進するとともに、市町村とも連携し活動の場を創っていくことが必要です。 [今後の取組方向] ○ 県は、ボランティア活動への理解や参加を促す広報・啓発を行うとともに、県・市町村社会福祉協議会のボランティアセンターによる相談機能の充実や活動のネットワーク化等を支援します。 ○ 県は、手話、要約筆記、点訳、音訳、パソコンボランティア等、障がい種別に応じたボランティアを養成していきます。  (地域の青少年ボランティア活動)  [現状] ・ 本県の青少年のボランティア活動では、地域単位の活動と学校単位の活動が行われています。ボランティア活動体験は、青少年の心を豊かにし、人と人とがつながり、よりよい社会をつくろうとする意欲と行動力の向上に大きな効果を発揮しています。 ・ 高校生を中心に学校の枠を越えて組織された地域単位のボランティアサークルは、平成30年6月現在51団体あり、地域の公民館等を拠点として自主的に活動しています。活動内容としては、障害者支援施設や特別支援学校、高齢者施設での交流、高齢者宅の除雪などのほか、まちづくり事業への参加など多岐にわたります。 [課題] ・ 公民館主事等の減少や多忙化、担当者の異動などにより青少年ボランティアサークルへの支援体制が必ずしも十分ではなく、青少年ボランティアサークル活動の停滞が見られます。 ・ 学校や地域で行われているボランティア活動の周知が十分ではないため、ボランティア活動が拡大しにくいという課題があります。 ・ 青少年に対してボランティア活動の体験や研修、交流の機会を参加しやすい形で提供するとともに、青少年ボランティア活動への支援が必要です。 [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、各市町村をはじめ山形県社会福祉協議会、NPO等の関係機関と連携を深めつつ、中・高校生が楽しみながらサークル活動に励むことができる活動モデルをボランティアサークル等に提供します。 ○ 県教育委員会は、学校や地域で行われているボランティア活動の実態を調査し、中・高校生に向けてボランティア体験会・研修会・交流会等の情報を発信するなど、情報発信の強化を図ります。 ○ 県教育委員会は、中・高校生ボランティアの活動をコーディネートできる人材の養成や研修機会を整備します。  A 福祉教育、交流の推進  (相互理解の推進)  [現状] ・ 地域社会で誰もが安心して生活していくためには、助け合い、支え合う「思いやりの心」を醸成し、豊かな福祉社会を創造していくことが必要です。 ・ 地域で暮らす一人ひとりが自分の住む地域に関心を持ち、地域の生活課題を自分たちの課題として捉え、協働して解決していく機運を高めることが重要であり、各種団体や企業が一緒になって福祉に関する理解を深める取組を推進することが求められています。 ・ 我が国でも平成25年に批准した、あらゆる障がい者の尊厳と権利を保障するための「障害者の権利に関する条約」にかかわる国の動向から、障がいの有無やその他の個々の違いを認識し、様々な人々が活き活きと活躍できる共生社会の形成が求められています。そして、学校教育において「インクルーシブ教育システム」の考え方を浸透させる取組が必要となりました。そのことを踏まえ県教育委員会では、特別支援教育フォーラムの開催、交流及び共同学習や合理的配慮に係るリーフレットの作成・配付、活力あふれる特別支援学校づくり推進事業などを行ってきました。 ・ 特別支援教育フォーラムには、平成26年度からの4年間で延べ約1000人以上の参加者があり、幅広い方々からインクルーシブ教育システムの考え方等について理解していただく機会となりました。 ・ 各学校へ配付したリーフレットは、教職員の研修会等でも活用され、交流及び共同学習の意義についての理解が広がりました。障がいのある子どもとない子どもとの交流や、特別支援学校と近隣の小中学校や高等学校との交流が少しずつ増えてきました。 ・ 各特別支援学校においては、平成25年度から4年間実施した活力あふれる特別支援学校づくり推進事業を通して、地域の特性を活かした多様な交流が行われ、地域住民の理解と協力が広がってきました。     [課題] ・ 地域社会は、高齢者や子ども、障がいのある人・ない人等、多様な人々で構成されており、誰もが安心して生活できる環境にするため、助け合い、支え合う思いやりの心を醸成し、豊かな福祉社会を創造していくことが必要です。 ・ 障がいのある子どもが、障がいのない子どもと共に学ぶためには、個々の障がいに応じた合理的配慮が必要となります。しかし、その必要性等が十分に理解されていないために、過度な支援をしてしまったり、必要な支援をしていなかったりする状況があります。 ・ 通常の学級においても、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた指導の工夫を行い、支援の必要な子どもに合理的配慮の提供を進めていく必要があります。併せて、障がいのない子どもやその保護者に対して、障がいのある子どものことや共に学ぶための合理的配慮等について理解を促していく必要があります。 ・ 居住地校交流の実施数や学校間交流の協力校数は、年々増えてきましたが、まだまだ十分といえる状況ではありません。居住地校での交流について、その意義や必要性についてより一層理解を促していく必要があります。併せて、特別支援学校の周辺にある中学校や高等学校に学校間交流への協力を呼びかけることも大切です。 [今後の取組方向] ○ 県は、山形県社会福祉協議会と連携し、地域における福祉教育を推進するため、社会福祉協議会・学校・ボランティア等が一緒になって地域ぐるみで福祉教育を推進する環境づくりを推進します。 ○ 障がいのある子どもが、障がいのない子どもと共に学び、活躍するために必要な合理的配慮の普及を推進するとともに、適切に提供されるよう推進していきます。 ○ 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、障がいのある人への理解を一層推進するとともに、交流及び共同学習の充実・拡大を図っていきます。  (障がい者を理解するための教育の推進)  [現状] ・ インクルーシブ教育システムの考え方を踏まえた特別支援教育の推進について周知・啓発するためのリーフレットを作成し、幼稚園・保育所、小中学校等、高等学校の保護者や関係機関に配布するとともに、県や市町村の医療、保健、福祉、労働、教育などの関係機関と連携して広く県民に周知しました。 ・ 高等学校では、教科「公民」、「家庭」、「福祉」の授業で人間の尊厳と平等や他者との共生について学習しています。また、バリアフリーやユニバーサルデザイン、ノーマライゼーション、ソーシャルインクルージョン※などの理念やそれらに基づいた社会の取組などを学習することを通して、障がいに対する理解が深められています。 ・ また、特別活動や部活動などにおけるボランティア活動に積極的に取り組んでいる高等学校も増え、福祉教育の場が学校教育全体に広がりつつあります。 ・ 高等学校では、特別支援教育コーディネーターを中心に、特別支援教育についての校内研修等が行われており、発達障がいや特別支援教育の理念や体制の整備についての教職員の理解が進んでいます。学校の状況に応じて、特別支援教育支援員を配置したり、研修を実施したりすることにより、継続して校内体制の充実と生徒・保護者への啓発を図っています。 [課題] ・ 障がいのある子どもと障がいのない子どもとともに学ぶためには、個々の障がいに応じた合理的配慮が必要ですが、その必要性やその具体的内容等がまだ十分には理解されていません。 ・ 障がいのある方も含めた、すべての人が自立し、社会参加ができる福祉社会を形成する一員として、更に継続した理解の啓発が必要です。 [今後の取組方向] ○ 県教育委員会は、「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」の趣旨を踏まえ、子どもたちが障がいのある人について正しく理解するよう啓発に取り組んでいきます。 ○ 県教育委員会は、すべての教員を対象として、合理的配慮の必要性やその具体的な内容等について周知する機会と手立て(研修会の開催等)を設け、理解を図っていきます。 ○ 県教育委員会では、交流及び共同学習、福祉教育等を積極的に推進することで、特別支援教育や障がいのある生徒に対する理解を深めます。 ○ 県教育委員会では、特別支援教育に関する積極的な取組を行っている事例を県内の高等学校に紹介し、各校における特別支援教育を推進していきます。 ※ ソーシャルインクルージョン:全ての人々を孤独、孤立、排除及び摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として「包み支え合う」という考え方のこと。 (青少年教育施設・生涯学習関連施設) [現状] ・ 県立図書館では、県民の生涯にわたる学習を支援する施設として、障がいの有無や年齢にかかわらず幼児から高齢者まであらゆるライフステージにある人々に対し、学習に役立つ資料・情報の提供を行うとともに、学習の機会や場を提供しています。 [課題] ・ 青少年教育施設や生涯学習関連施設において、障がい者の生涯にわたる学びを支援し、誰もが参加できる学びのプログラムの魅力を更に高めていく必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県教育委員会では、青少年教育施設や生涯学習関連施設において、誰もが参加できる、それぞれの施設の特色を活かした魅力あるプログラムを提供するよう努めます。 ○ 県教育委員会では、障がい者の生涯学習支援に係る効果的なプログラムや好事例を収集し、研修会、広報誌等を通して広く紹介し、優れた取組の普及を図っていきます。 (行政機関、企業等の職員に対する障がい者理解の一層の促進) [現状] ・ 「障害者差別解消法」(平成28年4月施行)において、行政機関や民間事業者に対する障がいを理由とする差別の禁止を規定しています。  ・ 県は、サービス窓口を有する部署に「山形県における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」を配布し、適切な対応に努めています。  ・ 県は、「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」(平成28年4月施行)に基づき、共生社会の実現に向けた各種施策を展開しており、その中で、職場や地域において障がいを理由とする差別の解消に中心的な役割を担う「心のバリアフリー推進員」の養成研修を実施し、障がい及び障がい者に対する正しい理解と障がい特性や場面に応じた必要な配慮等についての理解の促進を図っています。  [課題] ・ 県及び企業等のサービス窓口に障がいを持っている方が訪れた場合には、障がいに応じた適切な対応を行う必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県は、「山形県における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」に基づき、サービス窓口を有する部署に障がいのある方が訪れた際は、適切な応対に努めます。  ○ 県は、引き続き、「心のバリアフリー推進員」の養成研修の実施を通して、行政機関及び企業等の職員が障がい及び障がい者に対して正しい知識と理解を持ち、障がい特性や場面に応じた必要な配慮が行われる環境の整備に努めます。   B 交通安全の確保 (障がい者、電動車いす利用者への交通事故防止情報の発信)  [現状] ・ 本県における交通情勢は、発生件数、負傷者数は年々減少し、ピーク時である平成17年の9,452件と比較すると平成29年は約6割にまで減少しています。死者数については平成28年には28人と統計史上最少を記録しましたが、平成29年は38人となりました。 ・ 障がい者による交通事故は、過去5年間で6件発生し、死者0、負傷者12人となっています。 ・ 電動車いす利用者の交通事故は、過去5年間で3件発生し、死者1人、負傷者は2人となっています。 ※ 「障がい者による交通事故」とは、障がい者(視覚、聴覚等の障がい)が車両を運転し、交通事故の第1当事者となった事故を意味します。 ※「電動車いす利用者の交通事故」とは、電動車いすに乗った方が死傷した事故を意味します。 ※ 死亡事故は、平成27年11月4日(水)午前10時頃、最上郡最上町大字向町地内の町道上において、高齢者運転の軽乗用自動車が進路左側を同一方向に進行中の高齢者利用の電動車いすに衝突したものです。  [課題] ・ 交通安全に必要な知識や技能の習得のため、障がいの程度に応じた交通安全教育を推進する必要があります。 ・ 障がい者や電動車いす利用者への交通事故防止に関する情報提供機会を拡大する必要があります。  [今後の取組方向] ○ 県及び県警察本部は、交通安全に必要な知識や技能の習得のため、関係機関・団体と連携し、障がいの程度に応じた交通安全教育を推進します。 ○ 県及び県警察本部は、障がい者及び障がい者を支える家族等の交通安全意識を高めるため交通安全指導員等による交通安全教育を推進します。 ○ 県及び県警察本部は、電動車いすは道路交通法では歩行者として扱われ、障がい者や高齢者にとって便利な移動手段となっていることから、障がい者団体や高齢者団体等と連携し、利用中の事故防止に関する広報と利用に関する交通安全教育を推進します。 ○ 県及び県警察本部は、障がい者も含め県民みんなで事故を起こさない、事故に遭わないための交通安全運動の機運の醸成に努めます。 ○ 県警察本部は、交通事故防止に関する情報の発信を行います。  (視覚障がい者付加装置の整備)  [現状] ・ 歩行者用の青色信号に合わせて電子音が流れる音響式の視覚障がい者付加装置や歩行者用青色信号の時間を延長する押ボタンによる信号機の高齢者等感応化、横断歩道上に点字ブロックに似た突起を設置して横断歩道を渡る視覚障がい者を誘導するエスコートゾーンを整備し、障がい者の交通の安全に取り組んでいます。  ※ 視覚障がい者付加装置 県内57箇所    (平成25年4月1日現在 51箇所 → 平成30年4月1日現在 57箇所)  ※ 高齢者等感応化 県内40箇所    (平成25年4月1日現在 40箇所 → 平成30年4月1日現在 40箇所)  ※ エスコートゾーン 県内6箇所    (平成25年4月1日現在 3箇所 → 平成30年4月1日現在 6箇所) [課題] ・ 視覚障がい者付加装置等の効果的な整備箇所の抽出を行う必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県警察本部は、関係機関からの要望等の把握による情報共有を行い、視覚障がい者付加装置等の整備を進めていきます。 (特別支援学校における交通安全の取組) [現状] ・ 特別支援学校では、学校ごとに登下校指導や自転車安全教室等を行っています。 ・ 登下校においては、家庭、地域の方々、交通安全指導員や警察官等に見守っていただくことで、安全に登下校しています。    [課題] ・ 児童生徒の障がいの状態、発達段階、特性は様々であるため、それらに応じた指導が必要です。また、自ら危険な場所や行動を回避するとともに安全に行動できるよう指導していく必要があります。 [今後の取組方向] ○ 県及び県教育委員会は、障がい者の障がいの状態、発達段階、特性に応じて自ら危険な場所や行動を回避するとともに安全に行動できるよう、障がい者及び障がい者を支える家族の方等に対し、関係機関と協力しながら指導に努めます。 ○ 県教育委員会は、登下校指導や交通安全指導に当たっては、保護者と連携するとともに、地域の方々や警察等の関係機関から協力をいただき、指導を充実させていきます。  C くらしの安全・安心の確保  (障がい者の消費者被害の防止)  [現状] ・ 特殊詐欺や悪質商法などによる消費者被害は依然として見られ、県の消費生活相談センターで相談を受け付けるとともに、消費者被害未然防止のための啓発として出前講座や注意喚起のチラシ発行などを行っています。  [課題] ・ 特に障がい者は、高齢者とともに消費者被害が懸念されることから、消費者啓発を進めるほか、家族や地域住民など周囲の身近な人が見守ることが必要です。  [今後の取組方向] ○ 県は、引き続き、出前講座や注意喚起のチラシ発行などの啓発を行っていきます。 ○ 県は、市町村や、福祉関係団体、消費者団体等の消費者啓発の担い手と連携し、障がい者の周囲の身近な人による見守りについて意識醸成を図っていきます。 (障がい者の防犯対策の推進) [現状] ・ 近年、送りつけ商法や振り込め詐欺等、障がい者も被害に遭うことが懸念される犯罪が後を絶たず、体感治安の向上に向けた取組の強化を指摘するアンケート調査結果がでています。 [課題] ・ 障がいのある人が犯罪に巻き込まれないよう必要な知識を習得する機会の提供や、障がい者を支える家族等及び地域全体による見守り体制を構築することが重要です。 [今後の取組方向] ○ 県は、障がい者及び障がい者を支える家族等を含め地域住民を対象とする防犯教室の開催、講師の派遣を通し、防犯意識の高揚に向けた取組を支援します。 ○ 県は、警察等と協力し、振り込め詐欺や身近な犯罪等の発生状況に応じた防犯広報啓発に努め、障がい者を支える家族等及び地域における防犯活動の活性化を図ります。 ○ 県は、障がいのある人も含め地域住民が犯罪に遭わないよう防犯パトロールに従事する地域リーダーのスキルアップのための防犯指導者講習会を開催します。 ○ 県は、障がいのある人も含め地域住民が犯罪に遭わないよう地域における青色防犯パトロール※のより一層の拡大を支援します。 ○ 県は、障がい者等が犯罪の被害に遭った場合、関係機関と連携しながら、社会全体で支援していくための体制をより充実させるよう努めます。 ※ 青色防犯パトロール:「自分たちの街は、自分たちで守ろう」との思いから、地域住民、民間団体、行政機関などが、青色回転灯を装備した自動車(通称:青パト)により自主的に防犯パトロールを行うもの。平成30年9月末現在、山形県内では164団体、2,192台の青パトが青色防犯パトロール活動を行っている。 (4) 災害時の支援・防災対策等の推進 (災害時の障がい者支援)  [現状] ・ 東日本大震災では、全国で多くの尊い命が失われましたが、障がい者の死亡率は被災地住民全体の死亡率の約2倍となる民間調査もなされています。高齢者、障がい者等の要配慮者(防災上何らかの配慮を要する者)について、情報伝達、避難支援、避難生活等、様々な場面で対応が不十分であったと指摘されています。(内閣府『災害時要配慮者の避難支援に関する検討会』(平成25年3月)) ・ このような課題を踏まえて、平成25年6月に災害対策基本法が改正され、避難行動要支援者(要配慮者のうち災害時の避難に特に支援を要する者)の名簿をあらかじめ市町村が作成するとともに本人の同意を得て地域の支援者(消防機関や民生委員等)と情報を共有することや、避難所における良好な生活環境を確保することなどが規定されました。 ・ この法改正に伴い、各市町村では、避難行動要支援者名簿や、それぞれの要支援者に係る具体的な避難方法等を定めた個別計画の策定を進めているところです。 ※ 避難行動要支援者名簿作成済み市町村数:15(平成26年7月1日現在)⇒33(平成30年6月1日現在) ※ 避難行動要支援者に係る個別計画  全部(名簿記載者全員分)もしくは一部(名簿記載者の一部のみ)作成済み市町村数:21(平成30年6月1日現在) ・ 平成28年台風第10号による水害では、死者・行方不明者27人が発生する等、東北・北海道の各地で甚大な被害が発生しました。特に岩手県岩泉町の高齢者施設において避難準備情報の意味が伝わっておらず、グループホームが被災し、入居者9名が全員亡くなる等、要配慮者の被災が相次ぎました。 ・ これを踏まえ、平成29年1月に市町村が避難勧告等の判断・伝達マニュアルを作成するための手引きとなる指針をとりまとめた「避難勧告等に関するガイドライン」が改正され、高齢者等が避難を開始する段階であることを明確にするなどの理由から、避難情報の名称が次のとおり変更されました。 ・ また、要配慮者が円滑に利用するための体制等を整えた「福祉避難所」については、全ての市町村において事前の指定が完了しており、計281箇所の福祉避難所が指定されています(平成28年12月1日現在)。 ・ 避難行動要支援者の避難支援については、地域における自主的な防災活動が大きな役割を担うことから、その基盤となる自主防災組織の結成促進と活動の活発化による地域防災力の向上がますます必要となっています。  ※ 県全体の自主防災組織率 89.5%(平成30年9月1日現在) ・ 在宅の重症難病患者には人工呼吸器を使用している方もおり、災害発生時も安心して療養を継続できるよう市町村や地域の医療機関などと連携を図っています。   [課題] ・ 災害時に支援が必要な要配慮者である障がい者を事前に把握し、関係機関や地域と情報共有を行い、災害時における避難支援及び安否確認ができるよう連携協力体制を確立する必要があります。 ・ 災害時要配慮者については、避難所での生活が困難な場合や、一般の被災者との共同生活に支障が出てくることが想定されるため、市町村において、あらかじめ要配慮者を受け入れられる福祉避難所を確保しておりますが、県内の福祉避難所のうち、障がい者施設は16箇所となっており、障がい者を受入れ可能な避難所の拡大が課題となっています。 ・ 社会福祉施設等を利用する災害時要配慮者の安全を確保するため、社会福祉施設等の耐震化を図るとともに、自衛消防組織の設置や情報連絡体制の確立、防災訓練の実施など、社会福祉施設における防災体制の充実が必要です。 ・ 避難所生活を余儀なくされることもありますが、生活をする上で特別な支援を必要とする方もおり、避難所での生活が困難な側面があり、そのための配慮や備えについての情報周知等が必要です。 ・ 災害発生時に、自力避難等が困難な状況に置かれる避難行動要支援者を適切に避難誘導するためには、避難支援者の確保が必要ですが、地域によっては、高齢化の進展や昼夜の人口差等、様々な要因から避難支援者の確保が困難となる場合があり、県や市町村、防災関係機関、社会福祉施設、医療施設、地域住民等が連携した支援体制の整備など、避難行動要支援者の安全確保対策を進めることが必要です。  [今後の取組方向] ○ 県は、災害等緊急時に備え、市町村が作成する障がいのある人の迅速な避難支援及び的確な安否確認等を行うため、「避難行動要支援者名簿」の作成を促すとともに、自治会組織、自主防災組織、消防団、民生委員・児童委員等福祉関係者が情報を共有し、災害時に要支援者名簿を活用できるよう働きかけます。 ○ 県は、自主防災アドバイザーの派遣やリーダーの育成研修等を実施し、市町村と連携した自主防災組織の育成・活性化支援を通して、災害時要配慮者の安全確保の基盤強化を図ります。 ○ 県は、災害時要配慮者へのパンフレットの配布等により避難行動要支援者名簿の作成や迅速・確実な避難のための避難支援者との情報共有等について理解を深めてもらうとともに、広報誌等により災害時要配慮者支援の啓発と知識の普及に努めます。 ○ 県は、避難行動要支援者の避難支援に係る全体計画及び個別計画の作成を市町村に働きかけ、支援体制の整備を促進します。 ○ 県は、福祉避難所の指定や避難所運営マニュアル等の整備を市町村に働きかけます。 ○ 県は、市町村に対し、地震・津波情報や気象警報、避難勧告・指示などの危機管理情報について、障がいの内容や程度に対応した提供手段の構築を働きかけるとともに、市町村防災行政無線や緊急速報メール等の多様な情報伝達手段の整備を促進します。 ○ 県は、県が実施する防災訓練において障がい特性に応じた災害時要配慮者対象の訓練を積極的に取り入れるとともに、市町村や社会福祉施設における障がい者の避難訓練や障がい者自身が参加する訓練の実施を働きかけます。 ○ 県は、障害者支援施設等に対し、自衛消防組織の設置や情報連絡、応援体制の確立、防災訓練の実施など防災体制の整備を促進するとともに、障害者支援施設等が実施する防災教育や防災訓練を支援します。 ○ 県は、災害発生時における緊急入所及び社会福祉施設等の被災に伴う居所の移動等に備えるため、地域住民等の連携や施設相互間のネットワークの形成を促進します。  (災害時精神医療) [現状] ・ 県は、災害発生により、被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、更に災害ストレス等により新たに精神的問題が生じる等、精神保健医療への需要が拡大した際に、専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援を継続する「災害派遣精神医療チーム(DPAT)」を配置する病院として、7病院を指定しています。なお、平成30年3月末現在、精神科の医師や看護師など64人が隊員として登録されています。   DPAT指定病院(平成30年3月末現在)  山形さくら町病院、若宮病院、かみのやま病院、秋野病院、佐藤病院、吉川記念病院、県立こころの医療センター ・ 県は、災害発生時において、精神障がい者の優先受入れ対応及び広域搬送に係る調整などを担う「災害拠点精神科病院」として、県内4病院を指定しています。  [課題] ・ 災害発生時の精神科医療のニーズの把握や地域精神科医療への支援などの対応力を強化していくためには、DPAT隊員登録者数の拡大が必要です。  ・ 災害時における災害拠点精神科病院の対応力強化のため、運用計画策定や関係機関も含めた連携訓練等が必要です。  [今後の取組方向] ○ 県は、DPAT指定病院の追加指定と新規隊員の養成により、DPAT隊員登録者数の拡大を図ります。  ○ 県は、病院の事業継続計画(BCP)の整備を促進するため、必要な支援を行うとともに、各病院が医療関係団体の医療チームと適切な連携をとることができるよう定期的な訓練の実施を促します。  第5次山形県障がい者計画において重点的に取り組む事項の数値目標  計画の進捗状況等を客観的に判断できるよう数値目標を設定します。  なお、設定にあたっては、障がい福祉サービスや障がい者雇用・就労に関する数値目標等、障がい者の地域生活に影響が大きい事項を重点的に設定します。  また、設定にあたって、他の計画から数値目標を引用しており、障がい者計画の計画期間中に数値目標が見直された場合、計画期間途中で改訂します。 1 障がい福祉計画に関する目標値等 (1) 障がい者の地域移行の促進 目標 数値目標[目標年度] 精神病床における1年以上入院患者数(65歳以上)  1,034人[R2年度] 精神病床における1年以上入院患者数(65歳未満)  602人[R2年度] 精神病床における入院1年時点の退院率  90%[R2年度] 精神病床における入院後6か月時点での退院率  84%[R2年度] 精神病床における入院後3か月時点での退院率  69%[R2年度] 施設入所から地域生活へ移行する者の数  145人の移行[R2年度] (2) 指定障がい福祉サービス等の必要な見込み量 目標 数値目標[目標年度] 訪問系サービス利用時間数  29,582時間/月[R2年度] 生活介護利用人数  2,858人/月[R2年度] 自立訓練(機能訓練)利用人数  25人/月[R2年度] 自立訓練(生活訓練)利用人数  223人/月[R2年度] 就労移行支援利用人数  330人/月[R2年度] 就労継続支援(A型)利用人数  862人/月[R2年度] 就労継続支援(B型)利用人数  3,312人/月[R2年度] 就労定着支援利用人数  86 人/月[R2年度] 自立生活援助利用人数  60 人/月[R2年度] 共同生活援助(GH)利用人数  1,547人/月[R2年度] 施設入所支援利用人数  1,572人/月[R2年度] 療養介護利用人数  222人/月[R2年度] 短期入所利用人数  534人/月[R2年度] 計画相談支援利用人数  2,799人/月[R2年度] 地域移行支援利用人数  42人/月[R2年度] 地域定着支援利用人数  41人/月[R2年度] (3) 福祉施設から一般就労への移行に関する目標 目標 数値目標[目標年度] 年間一般就労移行者数 134人[R2年度] 就労移行支援事業の利用者数 286人[R2年度] 就労移行支援事業所のうち、利用者の就労移行率が3割以上の事業所の占める割合 50%[R2年度] 就労定着支援による支援開始1年後の職場定着率 80%[R2年度] 就労移行支援事業及び就労継続支援事業の利用者のうち、一般就労への移行者数 120人[R2年度] 職業訓練の受講者数 2人[R2年度] 公共職業安定所へ誘導する福祉施設利用者数 125人[R2年度] 障害者就業・生活支援センター事業へ誘導する福祉施設利用者数 45人[R2年度] 公共職業安定所経由による福祉施設利用者の就職者数 90人[R2年度] 2 雇用・就労に関する目標 目標 数値目標[目標年度] 障がい者の委託訓練修了者における就職率 55% [R5年度] 就労継続支援B型事業所の平均工賃月額(山形県工賃向上計画) 13,900円 [R2年度] 3 障がい福祉を支える人材の確保、養成 目標 数値目標[目標年度] 福祉人材センターの紹介状を通じた就職件数(累計:2015(H27)年度〜) 800人[R3年度] 看護職員の従事者数(常勤換算) 15,216人以上[R4年度] 4 差別の解消と権利擁護の推進 目標 数値目標[目標年度] 心のバリアフリー推進員の養成  2,000人[R2年度] 5 バリアフリー化の推進 目標 数値目標[目標年度] バス事業者におけるノンステップバス導入率  70.0%[R2年度] 6 災害時の支援・防災対策等の推進 目標 数値目標[目標年度] 自主防災組織率  95.0%以上[R5年度] 避難行動要支援者名簿及び個別計画作成率  名簿100%、個別計画100%[R5年度] DPAT隊員登録者数  106人[R5年度] 第5次山形県障がい者計画 策定経過 平成30年4〜5月  関係団体から意見聞き取り 平成30年7月    平成30年度第1回山形県障がい者施策推進協議会           ・第4次山形県障がい者計画の主な成果と課題について           ・障がい者を取り巻く諸課題について           ・第5次山形県障がい者計画の基本的な考え方について           ・第5次山形県障がい者計画の策定スケジュールについて 平成30年9月    山形県障がい者施策推進連絡会議幹事会            県関係課と計画の策定スケジュール等について協議 平成30年10月    平成30年度第2回山形県障がい者施策推進協議会           ・第5次山形県障がい者計画の構成(案)について 平成31年1月    平成30年度第3回山形県障がい者施策推進協議会           ・第5次山形県障がい者計画の原案について 令和元年6月28日  パブリックコメントの実施    〜7月26日 令和元年8月    第5次山形県障がい者計画策定 山形県障がい者施策推進協議会委員 (平成30年7月〜平成31年1月) 氏 名    役  職  名  等 青 山 永 策  社会福祉法人山形県社会福祉協議会会長 阿 部 高 之  社会福祉法人山形県手をつなぐ育成会理事長 石 山 由紀子  特定非営利活動法人山形県視覚障害者福祉協会理事 石 山 良 子  山形県商工会議所女性会連合会副会長 井 上   博  山形県知的障害者福祉協会会長 小笠原 眞佐子  山形県難病相談支援センター主幹難病相談支援員 木 村 弘 美  山形県小規模授産施設・共同作業所連絡協議会副会長 小 関 和 夫  一般社団法人山形県バス協会専務理事 小 松 幸 悦  一般社団法人山形県聴覚障害者協会会長 清 治 邦 夫  一般社団法人山形県医師会副会長  橋   和  山形大学人文社会科学部教授 田 中 仁 美  就労継続支援B型利用者 土 田 正 剛  山形県市長会会長、東根市長 椿 原 和 子  山形市・県肢体不自由児者父母の会会長 馬 場 信 也  山形労働局職業安定部長 原 田 江美子  一般社団法人山形県建築士会理事・女性部委員長 松 田 英 雄  社会福祉法人山形県身体障害者福祉協会会長 村 形   緑  山形県立楯岡特別支援学校校長 吉 田 啓 一  山形県精神障がい者団体連合会会長 渡 部 千代子  山形県精神保健福祉会連合会監事 (五十音順、敬称略)