更新日:2021年12月3日

ここから本文です。

作文 高校生部門 優秀賞

ありのままを受け止めること
山形県立東桜学館高等学校 3年
矢萩 さくら 

  これまでの様々な人との出会いが、自分にない価値観を教えてくれました。その中でも、小学生の頃に障がいを持つ人と一緒に過ごしたことは、自分にない新しい価値観を受け止める基礎を形作る、素晴らしい経験になったと思います。
 私の通っていた小学校には、特別支援学級が設置されていました。特別支援学級とは、障がいを持つ生徒の特性に配慮しながら、個別性の高い教育を行う学級のことを言うそうです。そのため、普段の授業で、支援学級の生徒と普通学級の生徒が同じ教室にいることは限られていました。
 しかし、遠足などの機会には、支援学級に通う子と一緒に活動していました。その子は、思っていることを言葉にしたり、じっとするのが難しい子だったので、いつものように話すだけではコミュニケーションが取れませんでした。はじめは、その子の考えていることが読み取れず、怖いと思ってしまっていました。しかし、一緒に過ごす時間が長くなるにつれて、その子の考えていることが行動から少しずつ分かるようになりました。恐怖心も無くなりました。そして、その子の純粋さに気づくことができました。
 小学校の文集でお互いの良いところを紹介する企画では、その子が私の良いところを出来事を絡めて、詳しく書いてくれました。私のことをたくさん見てくれていたのだなと、とてもうれしかったことを覚えています。
 この気持ちを通わせられた経験のおかげで、私は、どんな人とも自分の個性を共有したい、そしてお互いを否定せずに尊重したいと思う気持ちを強く持つようにようになりました。自分の考えが人と違うことは良いことだと感じるようになりました。
 この当時は幼く、自分が何を思っているのかを認識するのも難しかったと思います。しかし、このような自我の確立していない時期に、障がいをもつ子と活動することを通して、多様性を尊重する他者とのかかわり方が学べたことは、私にとってかけがえのないことです。
 私のその子に対する怖いという気持ちは、「分からない」「普通ではない」と決めてけていたことが根源にあったのだと思います。無意識に私の「普通」という基準にその子を照らしていたのだと思います。
 人はみんな個性を持っていて、自分の思う「普通」という基準にぴったり当てはまる人はいません。他者を理解しようとせずに自分の価値観で決めつけ否定することが、どれだけ自分の可能性を狭めているのか、はかり知れません。他者を否定することは、自分のこころの豊かさまで否定していることになると思うからです。
 私は、障がいをもつ人に対しても、もたない人に対しても、目の前の人のありのままを受け止め、自分の中の価値観の幅や質を広げていくことが大事なのではないかと思います。お互いの個性を認め合い、尊重し合える共生社会を目指して、自分の中の価値観に疑問を持ち続け、向上心を大切にする人間でありたいと思います。

 

お問い合わせ

健康福祉部障がい福祉課 

住所:〒990-8570 山形市松波二丁目8番1号

電話番号:023-630-2266

ファックス番号:023-630-2111