更新日:2020年9月28日

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宮坂考古館・東光の酒蔵

いま、山形から・・・ 山形漫歩 今に伝わる、城下町のいにしえを訪ねて 宮坂考古館・東光の酒蔵(米沢市)(JPG:121KB)

(平成27年3月6日掲載)

山形県の南部に位置する米沢市は、古くから城下町として栄え、上杉景勝、直江兼続、前田慶次らの武将や江戸時代の名君として知られる上杉鷹山と大変ゆかりのある町です。そんな米沢市では、現在でも当時の面影をさまざまな場所で感じることができます。

甲冑(かっちゅう)、屏風、鉄砲に土器までも…。700余点を収蔵する考古館。

前田慶次の甲冑(JPG:69KB)

前田慶次の所用と言われている甲冑。傾奇者(かぶきもの)と呼ばれた姿をほうふつとさせる鮮やかな朱色。

米沢駅より徒歩10分。兜(かぶと)の形を模した建物が宮坂考古館です。こちらでは初代館長である宮坂善助さんが約80年の生涯をかけて収集した、約700点の貴重な資料を収蔵・公開しています。そのほとんどが、米沢市をはじめとした置賜地方の考古、歴史、民俗資料。上杉謙信や前田慶次らが所用したと伝えられている甲冑も展示されています。兜には観音の像や神仏の名前などが刻まれた前立(まえだて)があり、持ち主の想いや当時の職人のこだわりを垣間見ることができます。細部までじっくりご覧になって、ときの武将に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

直江兼続の甲冑(JPG:62KB)

桃山時代に作られ、直江兼続が着用したと伝えられる甲冑。山形県指定有形文化財。

上杉まつりでも使われる、火縄銃がずらり

宮坂考古館 第二館として、敷地内にある土蔵の1階が開放されています。こちらでは火縄銃約20丁を展示。この火縄銃は毎年4月の末から5月の初めにかけて開催される「米沢上杉まつり」で、実際に使われているものだそうです。火縄銃のほか、米沢市糠野目から西村山郡大江町までの川の流れとその周辺集落の様子を描いた「最上川舟運図屏風(びょうぶ)」も展示。川の中の瀬や淵が詳細に描かれていて、当時は舟運の安全をはかることに一役買っていました。こちらも山形県指定有形文化財に指定されています。

最上川舟運図屏風(JPG:108KB)

「最上川舟運図屏風」。川と周辺の集落の様子が、地名とともに細かく描かれています。山形県指定有形文化財。

宮坂考古館(JPG:143KB)

入館料は大人400円、学生・高校生300円、小中学生100円。開館時間、休館日など詳しくはHPでご確認ください。

宮坂考古館の展示は、そのほか、刀の鍔(つば)など江戸時代のものが中心ですが、縄文・弥生時代の石斧や各種土器といった埋蔵文化財も展示されています。縄文時代から江戸時代まで、幅広く時の流れを感じることができるのではないでしょうか。

昔は貴重なたんぱく源だった鯉(こい)料理

鯉のアライ(JPG:117KB)

鯉のアライや、鯉こくのスープもあります。これらの鯉料理は、山形県内の観光物産店、デパートや通信販売などで購入可能です。

「米沢・味のABC」をご存じですか? これは米沢を代表する3つの名産のことで、AはApple(りんご)、BはBeef(牛肉)、そしてCがCarp(鯉)を指します。ここでいう鯉は、観賞用ではなく食用のこと。米沢には昔から鯉を食べる風習があるのです。米沢鯉は享和二(1802)年に米沢藩の藩主上杉鷹山が、海が遠く動物性タンパク質の乏しい米沢に、当時すでに鯉料理の文化があった相馬(現在の福島県)から稚鯉を取り寄せ飼育したのが始まりと言われています。

お持ち帰り用の鯉料理を購入できるのが創業160余年の「鯉の宮坂」。もっともよく食べられているのが、鯉の輪切りを、たっぷりの砂糖で甘辛く煮付けた「鯉の甘煮(うまに)」です。鯉の宮坂では、通常の「鯉の甘煮」のほか、骨まで軟らかく煮た「柔らか仕立て」や、山形県の学校給食でも人気の「鯉のことこと煮」も販売しています。

「『柔らか仕立て』は骨まで食べられるようするために、圧力をかけて煮ます。最近は県外の方へのおみやげに人気で、売り上げも伸びています」と教えてくれたのは製造部長の田中昭次さん。「『柔らか仕立て』は圧力をかけて煮る際に、鯉の脂が少し逃げてあっさりした味になります。地元の方は、ベーシックな『鯉の甘煮』を購入されることが多いですね」。米沢では『良い新年よ来い(鯉)』という願いを込めて、12月31日に鯉料理を食べる風習があるそうですが、お客様の9割は鯉の甘煮を購入していかれるのだとか。鯉料理は1年を通して食べることができますが、特に脂がのるのは2月から3月にかけてですから、旬の時期の鯉をぜひ味わってみてください。

鯉の甘煮(JPG:75KB)

昔の米沢では冠婚葬祭に欠かせない料理だったのだそう。つやつやと輝くごちそうだったのですね。

酒づくりを深く知り、もっとおいしく呑(の)む。

小嶋彌左衛門さん(JPG:71KB)

「日本酒への理解を深めていただければ」と、(株)小嶋総本店23代目社長の小嶋彌左衛門さん。

米沢の歴史文化を感じに行きたいもう一つのスポットが「東光の酒蔵」。昔の酒蔵(仕込蔵)を利用した酒造資料館で、現在の社長が23代目となる(株)小嶋総本店が運営しています。明治後期の住居の様子や酒づくりの様子を復元、展示していて、平成25年には、アカデミー賞受賞監督による化粧品のテレビCMの撮影が行われ話題になりました。撮影当時のセットが、そのままにしてあり、撮影の様子がパネル展示されています。

資料館内には、そのほか、奈良県桜井市の三輪山にある大和一ノ宮三輪明神(みわみょうじん)大神(おおみわ)神社の分社、「三輪明神御分社(ごぶんしゃ)」も。こちらは日本最古と伝えられている神社の分社で、お酒の神を祭っているのだそうです。そのほかにも上杉鷹山や、米沢牛に関する常設展示もあり、米沢の歴史や文化を学べるようになっています。

城下町・米沢には奥深い歴史がいっぱいです。ぜひ、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

休憩所(JPG:119KB)

休憩所には酒樽のふたを使ったテーブルが。酒造りの様子の上映も行われています。

雛回廊(JPG:85KB)

現在、雛回廊開催中。4月3日まで雛人形を展示しており、貴重な亨保雛などを見られるチャンスです。

試飲&直売所(JPG:105KB)

入館料は一般310円・中高生210円・小学生150円。試飲&直売所もあります。

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