更新日:2020年9月28日

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本間美術館・本間家旧本邸

いま、山形から・・・ 山形漫歩 出羽の豪商の面影を訪ねて 本間美術館・本間家旧本邸(酒田市)(JPG:243KB)

日本一の大地主として知られた酒田の本間家。彼らのおもてなしの心や商人としての気概、地域貢献の精神は、今も酒田の人々に語り継がれています。酒田市にある「本間美術館」と、「本間家旧本邸」では、本間家の精神や想いを肌で感じることができます。

地域社会の発展のために尽くした本間家

江戸時代に紅花や米を関西へ運ぶ西廻り航路が開かれ、酒田は北前船の拠点として「西の堺・東の酒田」と言われるほど栄えました。その中でも「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」と俗謡に謡われるほどの豪商だったのが本間家です。

本間家には、初代・原光(もとみつ)以来、「弱者救済」、「地域貢献」の精神が受け継がれていました。特に三代目・光丘(みつおか)は、千石船(せんごくぶね)による商いを始める一方で、農業振興のための土地改良や、長年にわたる海沿いの飛砂の害から人々を守るための砂防林の植林に心血を注いでいます。また、藩主のために建てた別荘や庭園には、本間家の家族ですら立ち入らせなかったことや、庭園の造成は農民の仕事を確保するため行ったものであることなど、控え目で、常に地域の人々のことを考えていた姿が伝えられています。地域と共に歩み発展に尽くした本間家は、現在でもその業績をたたえられており、酒田市には、松林や寄進した寺社仏閣など、本間家ゆかりの場所が数多く存在します。

1本間美術館(清遠閣・鶴舞園)(JPG:91KB)

本間美術館(清遠閣・鶴舞園)

酒田の中心街に広がる、雅な別世界

清遠閣(JPG:198KB)

本間家の粋を集めて建てられた別荘「清遠閣」

戦後まもなく、人々の心を癒し励ますために「本間美術館」として公開されたのが、本間家の別荘「清遠閣(せいえんかく)」と庭園「鶴舞園(かくぶえん)」です。こちらは、文化10(1813)年に四代目・光道(こうどう)が荘内藩主酒井候を領内巡視の際に迎えるため建築されました。明治時代末には一部二階建てに増改築され、大正14(1925)年には東宮殿下(後の昭和天皇)がご宿泊されるなど、酒田の迎賓館として国内外から多くの貴賓・名士を迎えた場所です。

清遠閣・内装(JPG:87KB)

見る角度によってうっすらと金の雲が浮かび上がる壁紙など、随所にこだわりが。

庭園「鶴舞園」に一歩足を踏み入れると、鳥や虫の鳴き声や水のせせらぎ、木々のざわめきが聞こえてくる、別世界に迷い込んだような空間が広がります。池の周囲にある園路を回りながら鑑賞する池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)で、北側に「深山幽谷(しんざんゆうこく)」、南側には「里山」を配置。地元産の石に加え、諸国から運ばれて来た銘石や石灯籠なども使い、人里離れた山中の静かな谷から人の手の入った里までの雄大な景色を表現しています。滝に見立てた石や渓流を模した小川、生い茂った木々に囲まれていると、酒田駅から徒歩5分の市街地にいることを忘れてしまいそうです。天気が良ければ木々の間から鳥海山を臨むことができ、四季折々の表情が楽しめます。

この庭園は、平成24年1月に国指定名勝に指定されています。

鶴舞園(JPG:149KB)

鳥海山を借景にした庭園「鶴舞園」。北前船で運ばれた佐渡の赤玉石や、伊予の青石といった諸国の銘石も使われています。

館長の田中章夫さん(JPG:193KB)

「清遠閣から臨める鳥海山など雄大な景観も含めて大切な財産ですね」と、今回お話をお聞きした、本間美術館 館長の田中章夫さん。

別荘「清遠閣」は、茶室「六明廬(ろくめいろ)」を備えた京風造り。趣のある手づくりのガラスがはめられた窓や、室内に取り付けられたシャンデリアなど大正ロマンを思わせるモダンな内装で、部屋ごとに異なる形の欄間や欅(けやき)造りの重厚な階段と、細かなところまで気配りが行き届いた作りになっています。かつては藩主や皇族しか足を踏み入れることができなかった広いお座敷で、地域の人々に愛され続けている庭園を眺めて…。時代をこえたひとときを堪能することができます。また、本間美術館は、清遠閣と鶴舞園の他、昭和43(1968)年に開館した美術展示会場もあり、こちらでは古美術から現代美術まで幅広い企画展を実施するとともに、美術工芸から歴史資料に至る多様な収蔵品を紹介しています。

おもてなしの心を随所に感じて…

(JPG:124KB)

本間家旧本邸(薬医門)

本間美術館から車で10分ほどの場所にある大きなお屋敷が「本間家旧本邸」。こちらは、三代目・光丘が、幕府の巡見使一行の宿として、明和5(1768)年に新築し、荘内藩主酒井家に献上したもの。武士の宿として使用された書院造りの武家屋敷と、本間家が生活した商家造りが一つになった、全国的にも珍しい建物です。一つ屋根の下ではありますが、武家屋敷の部分と商家造りの部分では、使用している木の材質や壁の仕上げ、欄間や梁の塗りなどがまったく異なります。例えば、武家屋敷の縁側の板は「滑って転ぶことがないように」と横貼りにされている一方で、商家造りは掃除をする際に楽なように縦貼りにされています。そのほかにも、武家屋敷には「訪れた方が飽きないように」とさまざまな形の障子を使用していたり、家の奥から見通したときに末広がりに見えるように襖を設置していたりと、細やかな気配りが見られます。

本間家旧本邸・内装(JPG:118KB)

本間家旧本邸は、戦後の混乱期昭和24~51年にかけて公民館として使われていました。この志を未来に伝えるため、当時のままの姿を公開。町とともに歩んできた歴史を感じてほしいそうです。

板張りの台所(JPG:95KB)

本来、商人の台所は土間ですが、本間家は様々な事業が認められ武士の身分を評されていたため板張りの台所です。

旧本邸の中は自由に見学することもできますが、ガイドをお願いしてひと部屋ごとの解説を聞くのがおすすめです。見落としてしまいそうな細部にまでこだわりがつまっていることがわかります。本間家の想いを感じられるよう、当時の背景も含めて説明をしてくれますよ。

旧本邸と長屋門は、山形県指定有形文化財に指定されています。

この夏、酒田市内を巡るなら

酒田市では山形デスティネーションキャンペーンにあわせ、6月14日(土曜日)~9月15日(月曜日)の3ヶ月間「DCライナー」を運行中です。これは酒田駅をはじめ「山居倉庫」や「さかた海鮮市場」、今回ご紹介した「本間家旧本邸」など市内観光に便利な7カ所に停留所を設けたジャンボタクシー。料金300円(小学生100円)で一日中乗り放題で、リーズナブルに酒田観光を楽しむことができます。チケットは当日乗車時に車内で乗務員より購入してください。また、酒田市内では観光用自転車のレンタルも行われています。市内各所に貸し出し場所がありますので、日差しを浴びながら、港町を駆け抜けるサイクリングもいかがでしょうか。

この夏、土地の文化や歴史を味わいに、ぜひ酒田を訪ねてみてください。

DCライナー停留所(JPG:115KB)

DCライナー停留所はこののぼりが目印です。

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